2017 年のエンタープライズ ネットワークのトレンド
2016 年はネットワーキングにとって興味深い年でした。これは毎年言っていることですが、2016 年は特に画期的なイノベーションを経験した年でした。業界ではデジタル変革において大きな進歩を遂げ、シスコはネットワークに関するさまざまなイノベーションをリードし、多くの賞を獲得しました。
私は立場上、お客様(CIO、CTO、エンジニア、事業部門の責任者)、パートナー、サービス プロバイダーと定期的に目標や課題について話し合う機会があります。また、同時に、業界で最も経験豊富なシスコのプロダクト マネージャやエンジニアから、市場での導入に対する明確な見解や、近い将来どのようなイノベーションがもたらされるのかに関する内部からの視点も得られます。情報源がどこであろうと、明らかなことは 1 つです。私たちは大きなテクノロジー シフトの出発点に立っています。この 1 年間、全貌が明らかになりつつある未来に通じる道を開き、体制を整えてきました。このシフトによって形成される、2017 年のエンタープライズ ネットワーク環境には次の 10 の側面があります。
1 – WAN の再設計:多くの組織/企業がアプリケーションをクラウドに移行し、WAN のアーキテクチャを大幅に変更することになるでしょう。自社のデータセンターにある従来の緩衝地帯(DMZ:DeMilitarized Zone)は拡張されるか、場合によっては、コロケーション施設でホストされる POP(ポイント オブ プレゼンス)に置き換えられます。つまり、クラウド向けのトラフィックを、データセンターにバックホールしてからインターネットにバックホールする必要がなくなるということです。
2 – 企業での NFV(Network Functions Virtualization) の導入:仮想化は今注目を集めていますが、それにはもっともな理由があります。ネットワーク機能仮想化(NFV)が、サービス プロバイダーから企業(最初はブランチから)にまで普及するでしょう。これにより、多数のブランチをもつ最先端のネットワーク チームは、ブランチのネットワーク サービスのプロビジョニング、チェーニング、スケーリングが簡単にできるようになります。
3 – カーペットが敷かれた世界での IoT:IoT(Internet of Things)は組織の業務/運用テクノロジー(OT:Operational Technology)部分で広く使用されるようになっています。今や COO は、IoT が職場(バックオフィスではない、カーペットが敷かれた世界)にもたらす価値を理解し始めています。これはインテリジェントな照明、職場でのロケーション サービス、または接続された AC システムによってもたらされます。企業はカーペットが敷かれた空間に無数の「モノ」を集めて、さらに統合を推進すると予測されており、これらはすべて、セグメンテーションやプロファイリングなどのより優れたセキュリティ メカニズムによって可能になります。
4 – SDN(Software Defined Networking) がデータセンターを越えて展開:SDN(ソフトウェア定義型ネトワーク )の種は、すでにデータセンターで根付いており、今や WAN にも広がりつつあります。SDN の種は、有線とワイヤレス両方の環境のキャンパス ファブリックで芽を出し始めると思われます。すべてのネットワーク ドメインでのエンドツーエンドのプログラマビリティと自動化のビジョンは、2017 年には現実のものとなるでしょう。
5 – ネットワークアシュアランス(保証)がクラウドにまで拡大:機械学習によって、興味深い機会が実現しつつあります。さらに充実した効果的なネットワーク アシュアランス(保証)およびトラブルシューティングの機能が登場します。これらの機能をクラウドから提供し、広範囲に及ぶ集約されたエクスペリエンスを活用することにより、さらに優れた(かつ迅速な)診断と修復が実現するでしょう。
6 – ロケーション ベースのサービスがニッチから主流に:ワイヤレス環境、特に、小売、医療、娯楽、サービス業の領域でのワイヤレス環境はテクノロジーによる恩恵を受けており、最終的には、ロケーション ベースの分析が実現するという予測を達成するでしょう。ナビゲーションやスペース最適化などのアプリケーションとシスコのビーコン ポイントなどのテクノロジーと組み合わせた Wi-Fi により、企業でのロケーション ベースのサービスは、ニッチから主流に躍り出ることになります。
7 – Voice over Wi-Fi (Voice over Wi-Fi )の拡大:VoWi-Fi のサポートが Apple iOS デバイスにまで拡張され、一部の主要なサービス プロバイダーによるサポートが拡大されることで、モバイル コールを Wi-Fi ネットワークへさらにシームレスに転送できるようになり、2017 年はユーザ エクスペリエンスやローミング コストにおけるメリットが広く認識されるでしょう。
8 – ネットワーク「管理者」からネットワーク「プログラマ」へ:ネットワーク プログラマビリティと SDN が普及するにつれて、新しいスキルセットに対する要求も高まります。ネットワーキングに関する豊富な知識とプログラミング能力を組み合わせることができるネットワーク管理者には、ネットワーク運用の速度と範囲を大幅に向上させる機会があります。2017 年は、シスコ ラーニング ネットワークなどのプログラムを通して付加価値の高いプログラミング スキルを習得する多くのネットワーク管理者にとって、転換期になると予測しています。
9 – プログラミングはデバイスからコントローラに移行:デバイス レベルのプログラマビリティは持続可能な自動化ネットワーキングの基盤ですが、2017 年はその基盤をコントローラベースのプログラマビリティに移行することに大きく焦点が当てられると予測しています。そうなれば、ネットワークのシンプル化、拡張性、高度化が現実のものになるでしょう。プログラミングのイノベーションの大部分は、個々のデバイスに対してではなく、ネットワークを横断するサービスに直接影響するコントローラ レベルで行われることになります。
10 – 低電力ワイヤレス アクセスの導入:低電力ワイヤレス アクセス(LPWA: Low Power Wide Area)の導入が始まり、多くの新しい IoT アプリケーションが生み出されています。大規模で地理的に分散された環境で、長バッテリ寿命/省エネルギー消費、低コストが求められる低データ レートのセンサーに最適なソリューションです。低消費電力でIoT を提供するLoRaWAN はさまざまな企業のケースで採用が進んでおり、通信事業者はモバイル ネットワークを強化するためにナローバンド IoT(NB IoT)に期待しています。
以上が 2017 年に予測されるネットワーキング シフトに関する私の見解です。
ご意見をお聞かせください。同じ意見ですか、それとも、インターネット史上最大のネットワーク シフトで見落としているものがあるでしょうか。皆様の予測やご意見をお待ちしております。
この記事は、エンタープライズ ネットワーク担当シニア バイス プレジデント Jeff Reed によるブログ「Trends in Enterprise Networking for 2017」(2016/12/14)の抄訳です。
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