本日、「シスコ 5G ショーケース」の開設を発表しました。今回はその目的と狙いについて、2021 年度の 5G 重点施策を含めてご紹介します。
日本における 5G 事業支援の現況
2020 年 10 月 8 日、2021 会計年度(2020 年 8 月~ 2021 年 7 月期)のシスコジャパンの事業戦略を発表しました。そのなかで重点戦略として「お客様の『ニューノーマル』への対応」「日本のカントリーデジタイゼーション」の2つを掲げています。これに関連して今後、「5G」が極めて重要な位置づけとなります。
シスコジャパンは、2019 年度、2020 年度、シスコグローバルで最も業績の優れた国を表彰する「Country of The Year」を 2 年連続で受賞しました。これにもっとも貢献したのがサービスプロバイダー事業であり、中でも一番成長したのが 5G の関連事業です。
5G では新しい体験を支えるため、ネットワークのインテリジェンスがコアからエッジ(ユーザ側)にシフトしていきます。これは同時に、シスコが寄与できるマーケットが拡大することを意味しています。
シスコでは昨年以降、日本のモバイルサービスプロバイダー各社との取り組みを相次いで発表してきました。また IDC Japan による日本市場におけるサービスプロバイダーのルータ市場シェアでは 75.1 %(前年比 14.8 ポイント増)を占めており、シスコの果たす役割は非常に大きなものになっています。
2021 年度の 5G 重点施策
こうした経緯を踏まえ、2021 年度の 5G 重点施策を次のように定義しています。
継続的な IP ネットワークのイノベーション
5G に加えてニューノーマルという変化により、トラフィック需要は今後も増加し、通信インフラの今後の主戦場は 400G になっていきます。
シスコは、自社開発の 10Tbps ASIC を搭載した Cisco 8000 シリーズ ルータを投入し圧倒的なスループットとコスト削減を実現し、コヒーレントオプティクスにより従来の伝送レイヤと IP レイヤとの機能融合によるアーキテクチャ変革を進め、このトラフィック需要に対応していきます。
ネットワークオペレーションの変革
大規模かつ複雑、高度化した IP ネットワークの運用自動化を支援するべく、ドメインをまたいで エンドツーエンドの サービス展開を可能とする製品を投入すると共に、可視化やパフォーマンスモニタリングをクラウド、オンプレミス問わず実現する技術を提供してまいります。
無線アクセスのオープン化
これは、これまで専業ベンダーが担ってきた RAN(無線アクセスネットワーク)市場において、シスコはフロントホール(5G 向け無線アクセス周辺ネットワーク)へ向けた新製品の提供により IP 化を進め、オープンなネットワークと共に企業や自治体におけるローカル 5G、エッジコンピューティングの活用支援と、エコパートナーとの連携による、ユースケースの共創といった取り組みを進めてまいります。
5G デジタルトランスフォーメーション推進のカギとは
これらはいずれも、企業の皆さまが本格的に 5G を活用するための取り組みです。そしてシスコにとっては新たなマーケットを創造し、ビジネスを拡大するための戦略でもあります。
従来の 4G と 5G との大きな違いは、利用者がコンシューマーに留まらず、企業であるという点です。そのため、シスコにとっては 5G ネットワークを構築することだけを目的と捉えず、「いかに 5G をエンタープライズ ビジネスの基盤として使っていただけるか」についての支援が肝要であると考えています。
企業が自動運転、スマートファクトリー、遠隔医療といった新しい 5G ユースケースを実現するには、これまで個別に導入、運用されてきた企業側のエンタープライズネットワークと、サービスプロバイダー側のモバイルネットワークとが、シームレスに融合、連携していかなければなりません。
幸い、シスコは長年、両方のネットワーク市場で顧客を支援させていただいており、他のどの企業よりも貢献できるテクノロジーとノウハウがあります。ただし、これまではそれを支援し加速させる「場」がない、というのが業界全体の課題でした。
これを実現するのが、今回、東京ミッドタウンに開設する「シスコ 5G ショーケース」です。
シスコ 5G ショーケース開設の狙い
開設の大きな目標は、「5G で日本発のイノベーションを共創するための場を提供する」ことです。そして今回、サービスプロバイダー、エンタープライズ、エコパートナーの皆様とのコミュニティを形成し、日本発のイノベーションを創出、世界に発信していきたいという想いを込めて、シスコ 5G ショーケースを開設する運びとなりました。
5G に対してはあらゆる業界において関心、期待が非常に高いものの、一方で 5G が持つポテンシャルを最大限発揮するような商用サービス提供にはハードルが高く、1社では解決できない課題も多くあります。
これを解決するには、シスコ以外の業界最新の技術や製品、ソリューションと連携させたオープンな共創の場が必要になってきます。今回、おそらく日本では初の試みとなる、通信事業者の5G商用ネットワークと企業ITシステムをモデリングした環境を接続し、シスコの先端テクノロジーに加えて他社のテクノロジーを組み入れた、5G による完全なエンドツーエンドネットワークを構築します。
シスコ 5G ショーケースでは、実機によるエンドツーエンドの検証環境や、5G と Wi-Fi によるマルチアクセスといったなかなか1社では整備しづらい最先端の環境を、他社製品との連携を含めたエンドツーエンドのインテグレーションで構築し、シスコエンジニアのサポートと共に提供します。これにより PoC(Proof of Concept:概念実証)にかかる時間と投資を抑制し、サービスプロバイダーやエコパートナーの皆様の 5G トランスフォーメーション、つまり新たなビジネスモデルとサービス展開)を加速するための支援を行います。
さらにその中で、サービスプロバイダー、エンタープライズ、ソリューションパートナーの皆様とのコミュニティを形成すると共に、さまざまなご要望に基づく具体的なユースケースの相互接続を行い、日本発のイノベーションを世界に発信していきたいと考えています。
これはシスコ社内でもグローバルのなかで日本が先行した取り組みであり、将来的にはグローバル各国とのユースケースとの連携も予定しています。今後もシスコでは、サービスプロバイダー、パートナー、企業の皆様と共に、日本における 5G デジタルトランスフォーメーションの加速に尽力してまいります。ぜひ、これからの取り組みにもご注目ください。