第5世代移動通信システム、通称「5G」概要編に続いて、今回はより詳細に踏み込んだ内容を詳細編第 1 弾として紹介したいと思います。
昨今の移動通信サービスでは、ユースケースによって様々な要求事項と提供される機能が複雑に絡み合っています。ニーズと要件がそれぞれ異なる複数のユースケースがある場合、ネットワークの複雑さが増し、サービスを提供する通信事業者のコスト(設備費、運用費)が増加します。
したがって、通信事業者がこれらの異なるユースケースに対応し、競合他社との差別化を図るためには、次のような特徴が必要であるとシスコは考えています。
シスコは、通信事業者のニーズと利用するユーザのニーズの双方を念頭に置いて、5G ソリューションを開発しています。 シスコの 5G における戦略では、通信事業者をクラウド中心の世界へと導くことで、通信事業者と利用するユーザの双方がクラウド ネイティブ ソリューションのメリットを享受でき、そしてそれによって双方のニーズを満たすことを目指しています。
また、5G は単なる新しい無線ではないとシスコは考えています。通信事業者および利用者のニーズに応えるために、無線とコア ネットワークの両方、すなわちエンドツーエンドでの課題解決が必要になると考えています。
以下に、Cisco 5G Solution Architectureの主な指針を示します。
パケットコアの主要ベンダーとして、長年にわたり培ってきたノウハウを元に、シスコは 3GPP の標準化に関与してきました。 シスコは、第 2 世代から第 3 世代、そして第 3 世代から第 4 世代への移行を早い段階から目の当たりにしており、現在、4G から 5G への重要な移行のためにソリューションを定義し、市場をリードしています。
シスコの 5G ソリューションは、クラウド ネイティブな Ultra Service プラットフォームベースのソリューションに基づいています。Ultra Services プラットフォームは、モバイル コア サービスの業界を主導する仮想化プラットフォームの1つです。シスコの Ultra Service Platform ベースの Virtual Packet Core(VPC)ソリューションは、グローバルにて40社以上のネットワークに展開され、シスコを主要な仮想パケットコアベンダーの 1 つにしています。
シスコは、3GPP で標準化されるより前から、いくつかのパケット コアのコンセプトに取り組んでいます。例えば、2016 年と 2017 年に MWC で CUPS(Control and User Plane Separation of EPC nodes)についてシスコは実証しました。シスコは、5Gソリューションのプレスタンダード バージョンの導入に積極的に取り組んでおり、5G ネットワークのニーズを評価し、3GPP に準拠させ、規定された方式に則した機能実装を行っています。
以下、シスコにおける 5G 実装の特徴となります。
シスコは 5G の実装方法である NSA と SA の両方への対応を予定しており、それぞれの方式について記載します。
- 5G 非スタンドアロンソリューション(NSA):5G NSA オペレータは、既存の EPC パケット コアを活用して、3GPP リリース 12 デュアル コネクティビティ機能を使用して 5G NR をアンカーします。
これにより、より早い段階で 5G の実装を行う通信事業者にとって、より短期間かつ低コストで 5G サービスを開始できる可能性が高まります。
5G サービス展開の早い段階では、5G NSA ソリューションで十分です。 しかし、5G NSA には、5G のネイティブ ソリューションを得るという点でいくつかの制限があります。すべての通信事業者が 4G の展開前に 3.5G や 3.9G を経験し、4G に切り替えたと同様に、最終的には 5G スタンドアロン ソリューションに移行すると見込まれます。 - 5Gスタンドアロンソリューション(SA):5G SA では、すべての新しい 5G パケットコアが導入されます。
ネットワークスライシング、CUPS、仮想化、自動化、マルチ Gbps サポート、超低レイテンシなどが 5G SA パケットコアアーキテクチャに組み込まれる予定です。
シスコは、5G ノンスタンドアロン(NSA)および 5G スタンドアロン(SA)ネットワークの両製品ラインナップを Packet Core ソリューションにて提供します。
オペレータが 4G から 5G へのスムーズな移行を実現するための 5G パケット コア ソリューションをシスコは目標としています。
次回は詳細編第 2 弾として、具体的な製品実装についての紹介を予定しています。