Cisco Japan Blog

「Interop Tokyo 2018」ShowNet バックボーンを支えるシスコ SP 向け製品群

1 min read



6月13日 から 6月15日まで開催されている「Interop Tokyo 2018」。もう会場にはいらっしゃいましたでしょうか?シスコは ShowNet のトップコントリビュータの 1 社として、今年も最新鋭のさまざまなハードウェア・ソフトウェアを提供し、Interop の会場ネットワークを支えています。この記事では、そのうちバックボーンを支えるシスコのサービスプロバイダー(以下、SP)向け製品とソリューションの活躍の様子をご紹介します。

なお、今年の ShowNet 直前レポートが、リーダーの中口さんにより投稿されていますので、ぜひご覧ください。そして、ぜひ会場に足をお運びください。

ShowNet ネットワークを支えるシスコ SP 製品たち

Interop 会場を支える ShowNet ネットワークは、独自の AS 番号も持っており、あたかもサービスプロバイダーの全国網を 1 箇所に集めたような立派なデザインになっています。そのため、すべての出展社トラフィックをさばくバックボーン ルータ、ISP と接続するピアリング ルータ、出展社ブースの頭に配置されるエッジ ルータ、インターネット フルルートを飲み込むルート リフレクタなど、様々な役割のネットワーク機器が必要とされます。

これらに対し、シスコは豊富なサービスプロバイダー向けポートフォリオから、以下の製品をさまざまなポジションに提供しています。

  • NCS 5508 – ピアリングルータとして
  • NCS 55A1 – 高密度 100ギガ バックボーンルータとして*新製品*
  • ASR 9901 – エッジルータとして。*新製品* [6/14 追記: ASR9901 が Best of Show Award グランプリを受賞しました!]
  • ASR 9001 – 大手町に配置された ISP 収容ルータとして
  • XRv 9000 – フルルート対応のルートリフレクタとして
  • ASR 9904 – ファンクション・プール(後述) でサービスチェイニングを担うゲートウェイルータとして
  • NCS 5501 および VPP – セグメントルーティング相互接続検証(後述)
  • ASR 1001-HX – バックアップ用インターネット経路の確保

 

ShowNet トポロジ図は、Interop のサイトで公開されていますので、シスコの機器がどこにあるのか?ぜひ探してみてください。

https://www.interop.jp/2018/images/shownet/shownet_topology.pdf

 

さて、今年の ShowNet でのチャレンジでもあり、ぜひ会場で見ていただきたいポイントは、個人的に以下の3点です。

  1. 堅牢で大容量なサービスプロバイダー エッジおよびフル 100G バックボーンの提供
  2. ファンクション プールでの BGP FlowSpec を利用したサービス チェイニング
  3. セグメント ルーティング相互接続検証テストベッド

いずれも、近年、キャリアのお客様の関心が大きくなっているホットなトピックと言えるのではないでしょうか。

実は、2. と 3. については、ShowNet の NOC メンバー自身が公式にレポートをとりまとめてくれると聞いています。そちらに期待し、この記事では軽く触れるだけにとどめます。以下では、1. に絞って、利用されているシスコ製品の役割とアピールポイントをできるだけわかりやすくご紹介します。

堅牢で大容量なサービスプロバイダエッジおよびフル 100G バックボーンの提供

シスコのリサーチによると、100GE 市場は急速な成長期にあります。今年の ShowNet のバックボーンはもちろんフル 100GE 構成です。そのバックボーンで活躍するのが、今年 Best of Show Award ファイナリストにもノミネートされた Cisco ASR 9901 と Cisco NCS 55A1 です。[6/14 追記: ASR9901 が Best of Show Award グランプリを受賞しました!]

NCS55A1. 多数の 100GE QSFP28 トランシーバが刺さっています!

NCS55A1. 多数の 100GE QSFP28 トランシーバが刺さっています!

ASR9901. コンパクトながら会場からの多数の 10GE 回線を収容しています

ASR9901. コンパクトながら会場からの多数の 10GE 回線を収容しています

NCS 55A1 は NCS 5500 シリーズに新たに加わったプラットフォームです。コンパクトな 1RU のサイズながら 100G36ポート収容可能なボックス型ルータです(24 ポート版もあります)。適用できるエリアは幅広いです。アクセス、コア、アグリゲーション、データセンターなど、様々なフォームファクタ要件に対応し、IOS-XR によるオペレーションの統一・豊富かつ先進的な機能をエンドツーエンドで実現できる点がアピールポイントです。たくさんの 100GE ポートが必要なコア ルータとして活躍しますが、最近では SP が提供しているデータセンター内でも活用されることが増えてきている点にも注目です。

ASR 9901 は、キャリア様での実績の豊富な ASR 9000 シリーズに新たに加わった固定シャーシモデルです。2RU とコンパクトなサイズながら、100GE 2ポート、10GE(または 1GE) 24 ポート、1G 16 ポート備えています。ベストセラーである ASR 9000 の機能をフルサポートし、通信事業者のネットワークのあらゆる箇所(アクセス、エッジ、コア、ピアリング、ルート リフレクタ、BNG、DCI 等)に適用可能な製品です。 まだ販売して間もない製品ですが、100GE アップリンクをもつポート構成や ASR 9000 の豊富なキューイング機能を活かして、コンパクトなプロバイダー エッジ(PE)での活躍が多く見られることと思います。[6/14 追記: ASR9901 が Best of Show Award グランプリを受賞しました!]

どうやって使い分けるの?

ところで、NCS 5500 シリーズと ASR 9000 シリーズはどう使い分けるの?という質問をよく受けます。一言で言うと「適材適所」です。NCS 5500 はマーチャント シリコンをベースとし、ポート密度に重点を置いた製品です。既存のルータと比べて 3分の 1 のポート単価を実現しました。速度差があまりなく高密度のポートが必要なコアのような場所で最適な製品といえます。一方で、大量のキューイングやセッション処理が求められるエッジ ルータとしては、独自カスタム シリコンを搭載した ASR 9000 シリーズに一日の長があります。これはルータ内部のアーキテクチャからして異なる思想でできているためなのです。世間に流布しがちな、マーチャント シリコン=安い、カスタム シリコン=高い、といった一面的なイメージにとらわれず、シスコは利用される場所の特性に応じた機器を今後も開発し、ご提案していきます。

ここで、どちらも IOS-XR ソフトウェアが稼働することにはご注目ください。長年培った運用性、お客様からのフィードバックを得ながら鍛えられた豊富なプロトコル群、セグメント ルーティングを始めとする最新鋭の機能は、たとえハードウェアが違っても利用可能です。ネットワーク運用の省力化、自動化、プログラマビリティが求められる昨今、シスコのソフトウェアがもたらす価値にぜひ目を向けてみてください。

セグメントルーティング相互接続検証テストベッド

Source: http://www.segment-routing.net/

 

この記事をここまで読んでいただいている方であれば、セグメント ルーティングについてはご説明は不要かと思います(えっ、聞いたことがない? という方はぜひ、JANOG40 で行われた Segment Routingチュートリアルから始めてみてください!)

上述の通り、この相互接続検証結果の詳細はNOC の公式レポートを楽しみに待つとして、ここでは検証に参加したシスコ機器(とオープンソース ソフトウェア)をご紹介します。

セグメント ルーティングには、トランスポートとして MPLS を用いる SR-MPLS と、IPv6 を用いる SRv6 の2種類の仕様があり、今回の検証では両方が対象となりました。シスコは、SR-MPLS には NCS 5501 ルータを、SRv6 には VPP 仮想フォワーダを参加させました。

NCS 5501 はすでに広く採用されている NCS 5500 シリーズの第一世代固定型ルータです。いち早く SR-MPLS を実装し、商用展開が進んでいます。48 ポート 10GE と 6 ポート 100GE という使いやすいポート構成にご注目ください!

ShowNet の相互接続検証ラックに搭載された NCS5501.

ShowNet の相互接続検証ラックに搭載された NCS5501.

一方で、個人的に今回ぜひ紹介したいのが VPP 仮想フォワーダです。VPP(Vector Packet Processing)は、もともとはシスコが推進し、The Linux Foundation に寄贈されたオープンソースプロジェクトの高機能・高速・仮想フォワーダです。ネットワーク サービス ノードの仮想化(NFV)が進むなか、VPP はコンテナ・仮想マシン形態のソフトウェア ルータに組み込むことで、高速転送と高機能を提供できます。特に SR-MPLS と SRv6 データプレーンがすでに実装されている点が大きな特徴です。

今回の検証では、VPP 本体を Cisco UCS サーバ上のソフトウェアとしてインストールして提供し、SRv6 データプレーン転送の実績を示すことができました。シスコは VPP を強く推進しており、自社の仮想ルータ製品にも組み込んで高速化・高機能化を図ろうとしています。モバイル領域や NFV 領域での今後の VPP の活用と進化に、ぜひご注目いただければと思います。どうぞお楽しみに!

まとめと振り返り

ページ数の関係ですべての製品はご紹介できませんが、今年もシスコ SP 製品は ShowNet のバックボーンで安定してネットワークを支えるという期待に十二分に応えたことをご理解いただけたのではないでしょうか。それに加えて、普及拡大期に入ったセグメントルーティングの検証でも業界をリードする成果をあげることができたと考えています。

興味をもっていただけたらぜひ Interop 会場に足を運んでいただき、ShowNet でのシスコ SP 製品の活躍を目で見ていただければ幸いです。

シスコは今後も新製品の提供、最新鋭の機能の投入など、ShowNet での貢献とチャレンジを続けていきたいと思います。

 

Authors

佐々木 俊輔

テクニカル ソリューションズ アーキテクト

グローバルサービスプロバイダー

Tags:
コメントを書く