「Cisco EPN Day」SP ネットワークの未来を見通す 4 時間!
シスコは 4 月 13 日、弊社オフィスにて「Cisco EPN Day」を開催しました。EPN とは「Evolved Programmable Network」の略であり、基盤となる物理ネットワークにソフトウェア プログラマビリティと仮想化をもたらすことで、迅速かつ簡単なビジネス拡大を可能にするネットワーク インフラストラクチャです。その最新技術情報と今後の開発戦略について、このセミナーでご紹介しました。通信キャリア様やプロバイダー様などから数多くのお申込みがあり、予定していた会場には入りきれない状況に。そこで急遽 Cisco Webex でのリアルタイム配信も行うこととなりました。
まず開会の挨拶として、シスコで SP アーキテクチャ ビジネス開発部門 ディレクターを務める吉田 宏樹が登壇。現在のネットワークは膨大な機器をマネジメントする必要がある複雑で巨大なシステムになっており、これに対するアプローチが重要な課題になっていると述べた上で、そのアプローチとしてモデルベースで抽象化を行う「インテント」という考え方が重要なのだと語りました。
次にシスコ SP アーキテクチャ プロダクト セールス スペシャリストの秋山 繁が「インテントベースのインフラストラクチャ」について解説。これにふさわしいプロトコルがセグメント ルーティング(SR)であると説明しました。
セグメント ルーティングに関する5つの最新技術動向を紹介
続いて、私、シスコ SP アーキテクチャ コンサルティング システムズ エンジニアの菅野 洋之が登壇。まず SR の基本を振り返った上で、SR に関する 5 つの最新技術動向について紹介しました。
第 1 は「SR-Policy」。これは、SR のヘッドエンドがネットワークのトポロジーや制約条件を学習し、それを SR-TE(Traffic Engineering)データベース(SRTE-DB)に格納した上で、その情報をベースに最適なパスを計算するというもの。特定のリンクを排除した上で、そのトポロジーにおける最小メトリック計算を行うことができ、柔軟な QoS 制御の実現を容易にします。
第 2 は「Flex-Algorithm」。これは SRTE ソリューションを補完する技術であり、トポロジー情報や SPF 計算方法、制約条件の組み合わせを「アルゴリズム」として定義、これに対して新たな Prefix-SID を割り当てるというものです。アルゴリズムはオペレータが定義でき、各ノードは自分がどのアルゴリズムに参加しているのかをアドバタイズします。そしてこのアルゴリズムを指定することで、トラフィックを自動的にステアリングできるのです。Flex アルゴリズムには 2 つの利点があります。1 つは設定やオペレーションを簡潔にし、制約条件を加味した動的なパスを単一の SR ラベルで作成できること。そしてもう 1 つはバックアップパスに関しても、プライマリーパスを同じ制約条件を加味した計算が行えることです。
第 3 は「Per-Link Latency Measurement」。これはリンク毎の遅延を測定するテレメトリ技術であり、遅延に関する測定値を自動で収集し、変動が生じた場合にアドバタイズするというものです。このデータを SRTE で利用することで、より確実性の高い SLA の提供が可能になります。
第 4 は「Black Hole Detection」。ユーザの設定エラーや間違ったデータプレーンプログラミング、ハードウェアやドライバーの問題などで生じる「トラフィックのブラックホール」を、セグメントルーティングと既存の MPLS OAM ツールを利用して検知します。プロアクティブかつスケーラブルな検知が可能であり、既存デバイスや他ベンダーとの相互接続のための標準化が必要ない点も、大きな特長です。
そして最後に IETF の最新動向を紹介。今年 3 月にロンドンで開催された「SPRING ワーキンググループ」の概要について触れました。さらにユースケースとして、SRv6 を利用した L3 VPN のデモも実施しました。
Cisco NSO と Netrounds の連携で可能になるサービス保証の自動化
休憩を挟んだ後、シスコ APJ MANO ソフトウェア セールス で、コンサルティング システムズ エンジニアを務める渡辺 修と、テクニカル ソリューションズ アーキテクトを務める高橋 寛嗣が「サービス保証自動化ソリューション」について解説しました。
まず渡辺が OpEx 増加がサービスプロバイダ(SP)にもたらすリスクを指摘した上で、シスコが考える「SP ネットワーク自動化」と、それを具現化する「Cisco Crosswork ソリューション」を紹介。これによって「ネットワークからのデータ収集」、「データ統合、保存、処理」、「アクションすべき場面の検出」、「ネットワークオペレーションの自動化」というループを実現できると述べました。「すでに、サービス開始のためのコンフィグレーション変更を行う Cisco NSO(Network Services Orchestrator)と、サービス監視を行う Netrounds は出荷済みです」と渡辺。今後は定形作業の自動化や、リアルタイムの可視化とアクションを可能にする製品も提供し、最終的に「Self-Healing」可能なネットワークの実現を目指すと説明しました。
これに続いて高橋が、Cisco NSO と Netrounds を組み合わせたソリューションを紹介。「Netrounds のアクティブテストはエンドユーザ視点との相関性が高く、これをモデルベースの NSO と連携させることで、サービス保証を自動化できます」と説明しました。その上で実際にデモを行い、NSO が SR パスを設定することで Netrounds のモニタ機能が自動的に開始されること、モニタリングで検知されたサービスレベル低下を NSO に送ることでインテント ベースで対応を自動化できること、などを示しました。
最後に秋山が「SP 製品アップデート」として、ASR 9000 シリーズや NCS 5500 シリーズ、NCS 500 シリーズのポートフォリオ拡充と今後のロードマップを紹介。その後、質疑応答を行った上で、4 時間にわたるセミナーが終了しました。
膨大な情報が凝縮された中身の濃い 4 時間
今回の「Cisco EPN Day」は、わずか4時間とは思えない、極めて内容の濃いセミナーとなったのではないかと思います。ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
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