-
ネットワークの可視化を始めるには
ネットワーク管理初めまして、生田和正と申します。本ブログをご覧頂きありがとうございます。私は、運用管理に関わるシスコの技術・製品の観点から、社内外の様々なプロジェクトに関わらせて頂いております。新たに会社のブログを開始させて頂くということで、単なる製品や技術の紹介に加えて、それらの背景や裏話、ドキュメントになり得ないけれども雑談としては面白い話などなど、差し支えない範囲でご紹介できればと考えています。どうぞよろしくお願い致します! QoSとトラフィック識別? 企業用 LAN/WAN の設計時に、平均トラフィック量やピーク時に必要な帯域幅を基準に必要な回線や機種を選定します。特に、企業利用の場合、事業部門の配置や業務内容から、大まかにトラフィック種別・パターンやアプリケーションがわかるため、QoS の設計が可能であり、特にピーク時に輻輳が発生しうる箇所では、一般的に QoS の設定が行われています。 トラフィック種別やアプリケーションの優先処理を行うには、事前にトラフィックを識別し、マーキングを行います。具体的には、特定のアクセスリストにマッチするパケットに対して、IP ヘッダーやイーサネット フレームの優先フラグを設定します。マーキングされたトラフィックは、輻輳箇所の装置(主にルータ)にて、特別なキューで処理されることになり、事前に設定された一定の帯域幅が確保されるなどの優先処理が行われます。 以上、一般的なQoSのお話でした。 トラフィックの可視化、見える化 ここ数年、ビデオ会議アプリケーションや仮想デスクトップなど、企業内のアプリケーションも変わってきており、ネットワークの設計もそれに対応していく必要があります。冒頭で「企業利用であれば、大まかにトラフィック種別・パターンやアプリケーションがわかる」と申し上げましたが、実態はそうそう簡単ではありません。私がこれまで対応させて頂いた企業のお客様でも、トラフィックをきちんと把握されているお客様はかなり珍しい部類となり、ほとんどの場合は、まずは何がどの程度、どの時間帯に流れているかを可視化するところから始めましょう、となります。これは、Polling、SNMPや Syslog を中心としたネットワーク管理を中心に行われてきた前提では当然のことです。企業内での「トラフィックの可視化」は、日本では 2007-2008 年頃から普及し始めたように思いますが、まだまだ広く一般的とは言えません。 一方で、「見える化」という言葉自体は広く普及しており、様々なテクノロジーや製品があります。シスコも、様々な高度な機能や製品を次々とリリース しており、私自身もイベント等で技術セッションを担当することが多いですが、どうしても最新機能や製品の話が中心になってしまいます。実際、最新技術はとてもエキサイティングなものが多く、デモも盛り上がります。技術が好きなお客様が「見える化」を検討すると、どうしても最新のものに目が行ってしまい、実際に進めていくと現状の制約やまだまだ技術的・実装的に枯れていないこともあり、頓挫してしまうことになります。これは、現在のステージと、段階的な可視化のステップのギャップが、大きすぎるからだと思います。
続きを読む