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シスコ IT チームにとっての CX Cloud の価値


2022年3月1日


この記事は、Customer Zero and Technology Excellence の Director である Joel Barbier によるブログ「CX Cloud value for Cisco ITpopup_icon」(2022/1/27)の抄訳です。

執筆協力:Vishal Gupta

多くの競合他社と同様に、シスコの重点事項は、俊敏性の向上、サービス提供の迅速化、お客様へのさらなるイノベーションの提供です。この中には、シスコ製品とサービスの採用率を 100% にすることも含まれます。

シスコ IT インフラストラクチャチームは最近まで、資産、新しい XaaS ソリューション、ステータスをまとめて 1 か所で確認することができませんでした。サブスクリプションの追跡ツール、サービス契約の管理ツール、資産のライフサイクル情報の表示ツールが別々に分かれていたのです。そのため、シスコ IT チームはさまざまな課題に直面していました。たとえば、展開に必要な情報の検索、適切なリソースへのアクセス権の取得、IT 資産の可視化ができないといった課題や、自動化機能によるリスクの軽減、アップタイムの向上、全体的なパフォーマンスの最適化ができないという課題です。このような手動のアプローチはプロアクティブなものではなく、ほぼすべてが事後対応的なものでした。そのため、さまざまなインターフェースに散在する情報を関連付けるのに膨大な時間が必要でした。

ほかにも、ソフトウェアのパッチ適用やアップグレード、設定のコンプライアンスやリスク管理への対応など、反復的で断片的、かつミスを起こしやすいプロセスも課題となっていました。

シスコは明らかに、シスコの全資産を把握できる全方位型の統合ビューを実現するソリューションを必要としていたのです。そのソリューションには、バグ、Field Notice、Product Security Incident Response Team アラート(PSIRT)と、構成の安定性、クラッシュ率、EoX(サポート終了)、推奨構成の最新情報に関する実用的な分析情報を提供する機能も必要でした。さらに最も重要な点として、シスコ IT チームが目標とする成果を迅速に達成できるように、適切な情報を適切なタイミングで提供するソリューションでなくてはいけません。

 

CX Cloud によって複雑さやスキルのギャップが解消し、テクノロジーの導入が加速

この 1 年間で、シスコ IT チームは全社的に CX Cloud を展開しました。CX Cloud は、シスコの専門知識、ベストプラクティスとテレメトリ、AI/ML を活用した分析情報、ユースケース、コンテキスト学習を組み合わせて、ワンストップで提供します。その結果、全方位型の分析情報を備えた信頼性の高い単一の情報源が得られ、シスコの新しいビジネスモデルの実現と導入の促進が可能になります。CX Cloud はこれを以下のような方法で実現します。

  • すべてのネットワーク資産と契約を完全に可視化すべての資産情報とセキュリティアドバイザリを 1 か所で確認できるので、エンジニアは手動でレポートを作成したり、複数のソースを照合したりする必要がなくなりました。その結果、効率化につながり、運用規模が拡大されたため、イノベーションにさらに多くの時間を割けるようになりました。
  • リスクの検出と軽減の自動化CX Cloud は機械学習を活用してネットワークを分析し、セキュリティアドバイザリ(アラート)、Field Notice、優先度の高いバグに関する優先順位付きのリストを生成します。その結果、ユースケースに沿った専門知識とライフサイクルリソースにアクセスして、リスクを軽減しながらテクノロジーを展開、管理、最適化できるようになりました。
  • 実用的なデータと分析情報の提供便利なリストビューですべての未解決サポートケースを確認できます。これは、優れたオペレーションマネージャをいつでも簡単に利用できるようなものです。これにより、コラボレーションと問題解決を迅速に行えるようになりました。
  • 対象の学習リソースと専門知識にすぐにアクセス可能CX Cloud により、シスコのネットワークとセキュリティポスチャに関する高度なインテリジェンスと分析情報が提供されるため、運用リスクを軽減できました。的を絞った分析情報と提案により、ビジネスを最適化し、問題を未然に解決できるようになりました。

現在、シスコは CX Cloud で 100,000 以上の資産を管理し、月間 115 人のアクティブユーザーが利用しています。シスコは現在、CX Cloud でクリティカルマスへの到達の過程にあり、次のような質問をよく受けます。「シスコは CX Cloud によって、定量化できるどのような価値を得られていますか?」

 

CX Cloud がシスコにもたらす真の価値を測定するフレームワークの作成

2021 年 7 月から、シスコの Customer Zero 組織はシスコの他の IT チームや CX Cloud チームと提携して、CX Cloud の詳細なプロセス分析と完全な価値モデルの作成に取り組んでいます。

これは Customer Zero チームにとってなじみのある領域です。Customer Zero チームは製品開発サイクルに早い段階から関与して次のことを達成しています。

  • シスコのエンジニアリング ビジネス エンティティとビジネスユニット全体にわたるソリューションの統合
  • 導入と顧客価値提供の加速化
  • ベストプラクティス、教訓、価値実証の共有
  • カスタマーリファレンスの提供

Customer Zero チームは 12 件のユースケースを調査し、CX Cloud がシスコにもたらす可能性がある価値と、シスコがすでに得ている価値の両方を探りました。Customer Zero チームは最終的に、獲得した価値または予測される価値の可能性が特に高い 7 つのユースケースを特定しました。

 

最も大きな価値がもたらされる可能性:アップグレードの自動化とハードウェアコストの削減

Customer Zero チームの分析では、シスコが CX Cloud によって得られる 2 つの大きな可能性が明らかになりました。1 つ目は、ネットワークデバイスのオペレーティング システム アップグレードの自動化と最適化、2 つ目は、展開されていないハードウェアや実稼働で使用していないハードウェアのコスト削減です。シスコはまだこれらの価値のほんの一部しか獲得していないので、どちらもシスコにとって大きなメリットがあります。

上位 5 つのユースケースの「経済価値」の内訳を以下に示します。

  1. ケース管理の効率化CX Cloud はケースのオープンと処理(RMA)の自動化、重複と誤検知の低減、チケット管理の効率化を実現します。さらに、関連するすべてのメモとファイルがまとまっているケース履歴の詳細ビューを提供してケース解決を迅速化します。また、30 以上のケース管理プロセスとシステムを統合するロードマップが提供されるため、これまで時間がかかっていた、種類の異なる未統合のツール間での検索が不要になりました。その結果、ケースあたり
    2 ~ 5 分短縮されました。シスコのネットワーク サービス ディレクターは次のように説明します。
    「統合されたケース管理によって、シスコ IT チームは一元的にケースの追跡を行えるようになり、ケース登録が重複することがなくなりました。これにより、生産性の向上と迅速なケース解決につながると期待しています。CX Cloud で一元的にケース管理できるため、ケースの登録、検索、重複排除にかかる時間を大幅に短縮できると見込んでいます」
  2. ソフトウェアバージョンの最適化CX Cloud は、Cisco DNA Center と連携してソフトウェアバージョンを最新の状態に保つことで、ソフトウェアアップグレード管理にかかる時間を削減します。また、ソフトウェアの不具合を減らして障害管理を自動化します。さらに、ネットワーク障害のリスクも低減します。シスコがソフトウェアアップグレード自動化の潜在的な効果の代わりに、Cisco DNA Center ソフトウェアイメージ管理(SWIM)で実装した部分的な自動化を使用すると、この機能によって、ソフトウェアアップグレードの作業の 92% を回避できるので(DNA Center を使用した場合)、時間を 59% 短縮できる可能性があります。
  3. アドバイザリと問い合わせの効率化CX Cloud は、セキュリティアドバイザリ、Field Notice、優先度の高いバグに関する優先順位付きのリストを提供します。また、問題、修復手順、影響を受けるデバイスに関する詳細を確認する個別のアドバイザリ機能も備えています。これにより、問題の分析、影響を受ける資産の数の評価、最適な軽減オプションの決定にかかる時間と労力が削減されます。また、CX Cloud によって冗長な異種ツールが統合され、複数のソース間を参照する必要がなくなります。ユーザーの利用調査から、CX Cloud は、診断された問題の影響を受けるすべての資産を報告するため、情報収集にかかる時間と労力を数日から数分に削減できる可能性があることが判明しています。
  4. 資産のライフサイクル管理CX Cloud では、実稼働で使用していない資産の 20% 以上に対して、保有しているインベントリを最適化できる可能性が示されます。たとえば、古いソフトウェアバージョンを使用しているインベントリ、スペア、機器などが含まれます。また、購入やテクノロジーの最新化プロセスの対象となっている機器も含まれる場合があります。可視性が向上するため、資産の使用を最適化できます。その結果、展開されていないソリューションの場合は 5% の削減(推定)になり、シスコは年間 1,560 万ドルの設備投資を回避できる可能性があります。
  5. リスクの可視化CX Cloud は可視化、高度なインテリジェンス、ネットワークとセキュリティポスチャに関する分析情報を提供し、データ侵害のリスクを低減します。Cisco DNA Center の SWIM でオペレーティングシステム(O/S)ソフトウェアのアップグレードを改善することで、同時ソフトウェアイメージ数のばらつきを大幅に減らすことができます。CX Cloud のソフトウェアアップデート、製品アラート、サービスアラートの通知により、ネットワークエンジニアは最新のアップデートをインストールして、ネットワークを最新の脆弱性から保護できます。その結果シスコ IT チームは、数か月間で Catalyst 9000 スイッチのソフトウェアイメージ数を 12 から 1 に減らしました(Cisco DNA Center を使用)。

 

シスコのテクニカル システム アーキテクトは、「(CX Cloud による)一元的なリスク管理でネットワーク全体をさらに可視化でき、スケーリングとデバイスのグループ化が可能になり、いくつかの修正をまとめて展開できるようになりました」と話します。シスコのサイト信頼性エンジニアは次のように付け加えます。「一貫性のある API の可能性に非常に期待しています。一貫性がないと、多くの時間が無駄になりますから」

CX Cloud は可視化

Customer Zero チームの分析に基づくと、CX Cloud はそのほかにも主に2 つの領域で価値を提供します。

  • 契約とサービス対象時間CX Cloud はインベントリ、契約、デバイスライフサイクルの管理を自動化するので、時間を短縮できます。CX Cloud によって社内のハードウェアサービス対象時間が 28% から 89% に改善され、対象時間のギャップと未解決のケースを迅速に特定できるようになります。
  • トレーニングCX Cloud のカスタムトレーニング機能によって、新任エンジニアの習熟にかかる時間を短縮できます。

Customer Zero チームの分析によると、CX Cloud はすでにシスコに大きな価値をもたらしていますが、次の目標は、それをシスコ IT のワークフローに完全に統合することです。その対象には、Cisco DNA Center を超えた O/S ソフトウェアアップグレードの自動化、アドバイザリと分析情報(クラッシュのリスク、PSIRT など)の統合ワークフロー管理の実現、IT サービス管理、機能、デバイスエージェンシーの使用、CX Cloud の資産ライフスタイル管理機能の拡張などが含まれます。

 

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