次世代Wi-Fi、Wi-Fi 6
Wi-Fi は、1998年に世界的な無線技術の標準規格として導入・採用されて以来、6回目の改訂を経て、またしても大きな進化を遂げようとしています。IEEE 802.11ax は、Wi-Fi 6 として一般的に知られている最新の Wi-Fi 規格で、1台あたりの接続帯域の向上のみならず、数百台の Wi-Fi デバイスが同時にネットワークに搭載された場合のサービス品質の問題を緩和するために多くの機能が採用されました。
Wi-Fi 6 を活用することで、より多くのユーザーが、より高速で、より低遅延で、かつ同時に接続することが可能になるため、リアルタイム性を要求されるアプリケーションなど新しい活用の場が広がることが期待されています。Wi-Fi 6 は Wi-Fi 5 と比較して、最大通信速度(理論値)がおよそ2.7倍と高速であり、諸外国では Wi-Fi 6をセルラー5G 補完技術として採用する動きも出てきています。
Wi-Fi 6 の普及予測
Wi-Fi 製品が規格に適合しているかどうかを認証する組織である Wi-Fi Alliance(WFA)は、2019年9月からWi-Fi 6 のデバイス認証を開始しました。2020年5月時点で、スマートフォンからコンピュータ、ルーターからチップセットまで、1,200以上のデバイスが Wi-Fi CERTIFIED 6™ の指定を受けています。
消費者や産業用製品メーカーが最新製品に Wi-Fi 6 を必須アイテムとして組み込むことを検討しているため、業界は2020-21年に Wi-Fi 6 デバイスが大規模に普及すると予測しています。今後の端末の普及を見込み、さらにはニューノーマルに対応するためのリモート会議、クラウド活用などによるトラフィック増加対策として、Wi-Fi 6 へのアップグレードを多くの企業やサービスプロバイダーが検討されています。
Wi-Fi 6 の活用例
Wi-Fi 6 導入により、公衆 Wi-Fi、携帯電話のオフロード、スモールオフィス・ホームオフィス(SOHO)、オフィスITなどの場面でのパフォーマンス向上が期待されます。また Wi-Fi 6 では端末での使用電力消費を抑制する技術も採用されており、製造業、教育、医療、輸送、小売業など業界においてインダストリアル・インターネット・オブ・シングス(IIoT)での Wi-Fi 活用が期待されています。
さらには、Wi-Fi 6 は高帯域、低遅延、高スループットを実現するため、従来の Wi-Fi 環境では実現できなかった拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、自動搬送車(AGV)、没入型動画などをサポート可能になります。実際にスタジアムや空港のような高密度の環境下での試験では、Wi-Fi 6 がこのような状況下でも性能を発揮できることが証明されており、これらの次世代アプリケーションに最適な技術であることが確認されています。
IDC ホワイトペーパー「Wi-Fi 6テクノロジー・スポットライト 」
従来、Wi-Fi はコストセンター、つまり収益源の少ないサービスと考えられてきました。しかし、Wi-Fi 6 の更新や導入により、企業やサービスプロバイダーは、これまで不可能であった新たな収益源や新たなビジネスチャンスを求めています。
Wi-Fi 6 のビジネスインパクトと可能性を示すことを目的とした、シスコ スポンサーのホワイトペーパー「Wi-Fi 6テクノロジー・スポットライト」を IDC が発表しました。IDC は、Wi-Fi 6 技術の特徴、ユースケース、主要な展開上の考慮事項とともに、ユースケースのサンプルとして空港を例示し、ビジネスチャンスの増加を導き出し、投資収益率(ROI)を算出しました。レポートでは、非常に保守的な仮説モデルであっても、空港は Wi-Fi 6 がもたらす、強化されたユーザーエクスペリエンスを収益化することができ、10年間の ROI は21%に達し、導入6年目にはキャッシュフローがプラスになると結論づけています。
空港は、公衆 Wi-Fi、小売店、動線分析、資産管理、IT オペレーションなど、多くのWi-Fi ユースケースが1つの場所に集まっている特異的な環境です。したがって、IDC Wi-Fi 6 テクノロジー スポットライトで使用されているビジネスモデルは、他の高密度な公共/民間企業やサービスプロバイダーのユースケースにも適用でき、同様のビジネスメリットを実現することができます。
様々な Wi-Fi ユースケース、Wi-Fi 6 によるマネタイズ、空港ケーススタディの詳細については、以下をご参照ください。