この記事は、Chief Communications Officer , Senior Vice President である Steve Clayton によるブログ「 The Network is the Foundation: Powering the Agentic AI Era 」( 2026年 6月 2日 )の抄訳です。
シスコに加わってまだ日が浅いものの、お客様やパートナー、同僚との会話は例外なく同じ認識へと収束します。AI を巡る議論は、モデルだけにとどまるものではありません。問われているのは、モデルの基盤となるインフラストラクチャが、安全性とセキュリティを確保しながら、大規模に運用できるかどうかです。
シスコは 40 年以上にわたり、「ネットワークはノード以上の価値を生み出す」という中核となる考え方を礎としてきました。モデル、アプリケーション、エージェント、シリコンといった今日のノードは、すべてが重要な役割を担っています。しかし、真の力は、それらを結ぶつながりにあります。
その考え方は、これまで以上に重要になっています。AI エージェントは、今まさに実稼働環境で運用されています。だからこそ、エージェント型時代のネットワークは、どのノード単体にもできないことを担わなければなりません。人間だけでは対応できない速度と規模で、世界を支えるシステムを組織が運用し、防御し、将来にわたって維持できるよう支援することです。
シスコは、まさにその変革を推進しています。私たちは接続性の実現にとどまらず、人と AI エージェントが共に働く時代を見据えて、インフラストラクチャの構築、保護、運用の在り方を刷新し、AI 時代の中核となるインフラストラクチャへと発展してきました。
今週の Cisco Live では、その未来像を示す 3 つの取り組みを発表しました。
協調して運用する
重要なインフラストラクチャを人間だけで管理する時代は、もはや終わりつつあります。AI エージェントは企業環境に導入され、システムへアクセスし、データを移動させ、ワークフローを開始し、意思決定を加速させています。このような活動は、これからますます増えていくでしょう。問うべきなのは、エージェントを運用に取り入れるべきかどうかではありません。重要なのは、運用基盤がエージェントに対応できるよう設計されているかどうかです。
Cisco Cloud Control は、この課題に応えるソリューションです。人と AI エージェントが重要な IT インフラストラクチャを一緒に運用できる統合プラットフォームとして、ネットワーク、コンピュート、セキュリティ、オブザーバビリティ、コラボレーションを、1 つの環境、1 つのログイン、1 つの共有ビューで提供します。IT チームは、朝から十数個のブラウザタブを開いて、状況を不完全に把握する必要がなくなります。Room & Board は、Cloud Control を活用して環境を単一のビューへ統合している初期ユーザーの 1 社です。統合の結果、チームは手作業で情報を寄せ集める代わりに、担当するインフラストラクチャの運用に専念できます。

Cisco Cloud Control
単一のビューは、見えている部分にすぎません。真の力は、その内側と基盤にあります。
Cisco AI Canvas は、シスコ全体の環境から集約したリアルタイムのエビデンスを共有しながら、オペレーターとエージェントが協働するワークスペースです。エージェントループでは、シスコのテレメトリと目的に合わせて構築されたモデル(40 年に及ぶシスコのネットワーク運用データを土台とした Cisco Deep Network Model など)によって動作するエージェントが、問題を検知し、診断し、多くの場合は人が確認する前に解決へ導きます。これはネットワークへ直接組み込まれたインテリジェンスであり、可視性を備え、ガバナンスの下で運用され、ネットワークが実際にどのように動作するかを踏まえて判断します。
また、企業ごとに運用方法は異なるため、Cloud Control Studio は、お客様やパートナーが自然言語を使って独自のエージェントやアプリでプラットフォームを拡張できる設計環境です。Open AI Codex のエージェント型コーディングアシスタントを標準搭載し、AWS、ServiceNow、Slack をはじめとする多数のサードパーティツールやプラットフォームのエコシステムとも連携します。エージェント型運用は、他者の設計図をそのまま適用する形で実現されるべきではありません。プラットフォームは、お客様自身の手で自在に構築できるものであるべきです。
プラットフォーム アーキテクチャについては、Jeetu Patel が自身の投稿でさらに掘り下げています。ぜひ本記事と合わせてご覧ください。
共に守る
Mythos は、セキュリティ情勢の変化がいかに速いかを改めて思い起こさせる存在となりました。脆弱性が発見されてから悪用されるまでの猶予は、数週間から数分へと劇的に短縮されています。「火曜日にパッチを適用して、あとは無事を祈る」というやり方では、このスピードには対応できません。セキュリティは、後から追加するレイヤーではなく、業務そのものの中で機能する必要があります。
だからこそ Cisco Live における一連のセキュリティ発表では、製品をその場で保護することと、自社インフラストラクチャを攻撃者と同等の厳しい目で検証することの両方を同時に進めています。
Live Protect は、その象徴的な例です。サポート対象のシスコ製品に向けた「デジタル免疫システム」として、再起動もメンテナンスウィンドウも不要で、実行時に新しく見つかった脆弱性への防御を支援します。穏やかな火曜日で済むか、それとも非常に厳しい 1 週間になるかは、この種の機能があるかどうかに左右される場合があります。この機能は現在 N9000 シリーズスイッチで利用可能となっており、今後数か月かけて対応製品を拡大していきます。また、Anthropic の Project Glasswing と OpenAI の Daybreak の創設メンバーとして、シスコは攻撃者に先んじてフロンティアモデルによる攻撃を想定したストレステストを自社製品に実施しています。そして、その知見をオープンソース化した Foundry Security Spec を通じて共有することで、あらゆる防御担当者が同じ厳格な手法を適用できるようにしています。
力を合わせて備える
リアルタイム防御は現在の最前線を守ります。しかし、一部の脅威は表面化する何年も前からすでに進行しています。Support と Professional Services を AI で支える Cisco IQ は、お客様がどこに脆弱性を抱えているかを確認し、リスクが切迫する前に強化すべき対象を判断するための基盤です。Cisco Cloud Control との完全な統合も実現しています。
新たな Resilient Infrastructure Services は、お客様が自社のリスクを評価し、モダナイゼーションを進め、フロンティアモデルのリスクを軽減できるよう支援します。さらに Cisco IQ では、データ主権への対応が求められるお客様向けにオンプレミス運用の新しい選択肢を発表するとともに、データドリブンなインサイトの一環として、自社のセキュリティ態勢を同業他社と比較できる新機能も発表しました。AdventHealth、GlobalFoundries、Nestlé をはじめとするお客様は、すでに Cisco IQ のインサイトを活用し、より適切なインフラストラクチャに関する意思決定を行っています。
その取り組みをさらに進化させるのが量子技術です。量子コンピューティングはいずれ現在の暗号技術に大きな影響を及ぼし、攻撃者もそのことを理解しています。「今データを収集し、後で復号する」という攻撃活動は、すでに始まっています。5 年後や 10 年後にも価値を持つ暗号化データであれば、今からリスクとして対応を始めなければなりません。新しい Quantum Ready Assessments は、2026 年 7 月に Cisco IQ でグローバル提供を開始する予定であり、お客様がどの資産にリスクがあるのか、そしてどこから着手すべきかを把握できるよう支援します。当社は今年末までに、コア製品ポートフォリオの大半で量子耐性通信機能を提供することを約束しています。また、新たに投入されるキャンパス、ブランチ、データセンター向けのすべてのルーター、スイッチ、およびファイアウォールシリーズは、量子耐性のセキュアブートを搭載した状態で出荷されます。

Quantum Readiness Assessments
エージェント型時代を支えるのはネットワーク
これらの発表に一貫して流れているのは、ネットワークは、人と AI エージェントが世界に不可欠なインフラストラクチャを運用するために交わるレイヤーであるという考え方です。
AI の性能が進化の速度を決めます。信頼がその限界を決めます。そして、その両方を証明するのがインフラストラクチャです。
だからこそ、ネットワークはノード以上の価値を発揮します。
1984 年に異なる建物にある 2 台のコンピューター同士が通信していた時代から、この考え方は変わっていません。今なお、この考え方は真実です。何百もの組織に属する何千ものエージェントが、重要なシステムを壊すことなく協調して動かなければならない時代だからです。
歴史が示してきたように、すべてのコンピューティング革命はネットワーク革命へとつながります。
AI 時代を支える重要なインフラストラクチャを築くこと。それが私たちの使命です。そのために、私たちは今週 Cisco Live に集いました。
Cisco Live のプレスリリースは、こちらをご覧ください。
この記事は、Chief Communications Officer , Senior Vice President である