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シスコプラットフォームのパワーを活用する方法を簡素化


2024年1月30日


この記事は、Cisco Meraki の製品設計リーダーである Mary Piontkowskiによるブログ「Simplifying How Customers Unleash the Power of Our Platforms」(2023/6/6)の抄訳です。

 

IT 運用の変革を目指している企業は、接続性、効率性、スピードの向上を支援する新たな技術の進歩に注目しています。新しい技術を導入すると、既存の課題が解決される、成長目標を達成するための基盤が提供されるというメリットがある一方で、すでに複雑な IT インフラがいっそう複雑化してしまうことも少なくありません。

複雑さを解消し、変革が成功する可能性を最大にするには、簡素な環境が必要です。簡素化こそ IT 関係者が求めているものであり、シスコの委託によるグローバル調査によると、18,400 人の CIO、IT 意思決定者、開発者の 85% が、簡素であることは技術管理の最も重要な価値の 1 つである、と回答しています¹。

プラットフォーム エクスペリエンスの簡素化

プラットフォーム エクスペリエンスの簡素化は、Cisco Networking Cloud のビジョンの中核となる考えです。技術とネットワークの複雑さを軽減する方法の 1 つに、簡単に使える、統一されたプラットフォーム エクスペリエンスを提供することが挙げられます。その結果、一体感と一貫性のあるセキュアな方法でシングルサインオン(SSO)を介してすべてのシスコ製品にログインし、共有メニューやシームレスな統合によってシスコのクラウドネットワーキングの複数のプラットフォーム間を迅速にナビゲートできるようになります。

たとえばこうしたプラットフォーム間が接続された環境で API キー交換やリポジトリを SSO とリンクさせると、シスコのネットワーキング プラットフォーム全体の監視や、自動化によるデータのやりとりが簡単になり、不整合やエラーが軽減されます。また、サイロ化が解消され、必要なリソースに対して場所と時間を問わずに誰でもアクセスできるようになります。

シングルサインオン(SSO)はシスコのクラウドネットワーキングの複数のプラットフォーム間を迅速にナビゲートし、一体感と一貫性のあるセキュアなエクスペリエンスを実現します。

 

統一されたプラットフォーム エクスペリエンスにより、すべてにおいて同じように使い慣れた外観や操作性、用語、API、ワークフローを使用することが可能になります。このため IT スタッフが複数のネットワーキング プラットフォームを学習、運用、利用する際の一貫性と使いやすさが大幅に向上します。プラットフォーム エクスペリエンスの統一は、複雑なプロセスの合理化や調整においても貢献し、運用の簡素化が進み、効率性や信頼性が向上します。これにより、組織はビジネスを変革するためのパワーと柔軟性をさらに高めることができます。

持続可能性に対する可視化の簡素化

Cisco Networking Cloud のビジョンのもう一つの重要な側面は、データセンターの電力消費とエネルギー配分の可視化を簡素化することです。データセンターの消費電力は世界全体の 1% と推定されており、エネルギー消費を可視化し、その情報に基づいて行動できるようにすることは非常に重要です。²

個別の配電ユニットから回路、スイッチまですべて、エネルギーの使用をリアルタイムに可視化します。これにより、シングルサイトまたはマルチサイトのデータセンター環境における電力消費をリアルタイムに把握することも、履歴を確認することもできます。

統計や傾向の情報を利用して、データセンターの運用に関わるすべてのエネルギー消費量の見積もりが簡単にできるだけでなく、インフラのコンポーネントをオフにする、スイッチを再構成する、複数のラックやスイッチ、ポート間の電力使用パターンに応じてワークロードを移動したり可視化したりする、といったことが可能になると考えてみてください。ピーク時のワークロードを、管理された電力消費率が 1 日のうちで最も低くなる時間帯に合わせることもできます。このようなインサイトは、より持続可能なデータセンターを設計するうえで役に立ちます。

これは単なる希望的観測ではありません。Cisco Nexus Dashboard は主要な電源管理ベンダーや環境 API との統合により、データセンターの IT インフラのエネルギー使用量について持続可能性の観点からインサイトを提供し、組織が電力消費量を最適化できるよう支援します。実際、シスコの調査「State of Global Innovation(世界のイノベーションの状況)」では、回答者の 87% が、事業運営の持続可能性とエネルギー効率性を向上させる革新的な方法から、すでにメリットを得ていると回答しています。³

データセンターのエネルギー使用量について実用的なリアルタイムデータと履歴データを利用できるようになると、組織は企業全体のビジネスプロセスを変革し、戦略的イノベーションに予算とリソースを集中させることが可能になります。さらに、持続可能性の焦点をリスクやコンプライアンスから新しい事業成果へとシフトさせて、差別化された長期の価値創造の原動力として、持続可能性を利用できるようになります。

AI/ML のネットワーキングの簡素化

現在、積極的に開発されている複雑なテクノロジーの中には、人工知能(AI)や機械学習(ML)を中心としたものがあります。最近では、デジタル トランスフォーメーションを推進するために、生成 AI 機能の利用を検討している企業もあります。こうした状況により、AI や ML の高い処理能力や、複雑でペタスケールレベルの計算の要件を満たすために、データセンターには大変な重圧がかかっています。

AI/ML のネットワークデータ伝送の簡素化が必要になったことから、シスコはネットワーキングのための新しい AI データセンターのブループリントを作成しました。

このブループリントは、ロスレストランスポート、インテリジェント バッファリング、データ/パイプラインの並列、効率性の高いネットワークプロトコルをサポートすることで、自動化されたスケーラブルな低遅延のネットワークを実現します。また、AI/ML のワークロードの要件とトラフィックパターンを満たし、確定的ロードバランシングやラインレート伝送、輻輳管理などの機能を備えた、検証済みの設計を提供します。高性能コンピューティングの展開、および InfiniBand から Ethernet へのネットワークの移行に関するシスコの専門知識は、このブループリントに大きく貢献しました。

また、このブループリントはネットワーク動作の可視性とテレメトリを簡素化して、スムーズなトラブルシューティングとトランスポートの性能改善をサポートすることも目的としています。たとえば Cisco Nexus Dashboard の自動化テンプレートにより、組織は AI/ML アプリケーション 用のデータセンターをより簡単に構築および管理するための可視性を向上させることができます。

さらに、Cisco Nexus 9000 シリーズのスイッチにはインテリジェントなバッファ管理が組み込まれているため、ロスレスファブリックや、Ansible モジュールを使用した新しい自動化 AI/ML ネットワーク構成を簡単に構築することができます。Cisco Nexus 9000 プラットフォームは、フローテーブルイベントやストリーミング統計などのテレメトリ機能も備えているため、ネットワークトラフィックを分析し、予測分析によって問題のあるインフラに対するインサイトを提供するのに役立ちます。

測定可能なビジネス価値を達成

シスコのネットワーキング ソリューションは、プラットフォーム エクスペリエンスの簡素化、データ主導型の持続可能性に関するインサイト、AI/ML ネットワークパフォーマンスの改善を実現します。組織はこのソリューションにより、IT の変革を推進し、測定可能なビジネス価値を達成する好機を得られるようになります。ネットワークはイノベーションのプラットフォームとして、次世代の仕事、ビジネスモデル、変革を促進します。

これにより組織は、技術のサイロ化や時間のかかる統合を解消し、より簡素化され集約された、成果重視のソリューションを利用できるようになります。シスコでは以上のことから、ネットワークの領域に新しい技術が絶えず導入されても、Cisco Networking Cloud のビジョンによって、お客様はすべてのものを、すべての場所で、複雑さを増すことなく接続できるようになると確信しています。

 

関連資料

 


¹ State of Global Innovation、2023 年、シスコ
² Data Centres and Data Transmission Networks、2022 年 9 月、International Energy Agency
³ State of Global Innovation、2023 年、シスコ

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