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シスコ 5G ショーケースおよび 5G開発戦略アップデート [後編]


2022年2月8日


前編では、20021年12月15日に実施した「シスコ 5G ショーケースおよび 5G 開発戦略アップデート記者説明会」から、シスコの事業戦略と最新の取り組みをご紹介しました。後編では 5G 開発戦略 およびシスコ 5G ショーケースに関するアップデートをご紹介します。

シスコの 5G 開発戦略

 シスコが 5G に関して重点的に開発に取り組んでいる領域には、次の 4 つがあります。

  • 5G コア
  • 5G IoT サービス
  • 5G プライベート ネットワーク
  • 固定無線アクセス

シスコはこれまでもモバイルコアを開発してきましたが、今後の5G 時代に備えて設計を見直し、1つのコアで複数世代のネットワークを収容できる「コンバージドコア」の開発を進めています。これにより、4G LTEから5G NSA、そして 5G SA への移行をサポートできるようになります。

 

また「マルチアクセスにおけるセキュリティの担保」も重要です。シスコは、サービスプロバイダー アーキテクチャ、エンタープライズネットワーキング、セキュリティポートフォリオを統合した企業向けソリューションの開発も進めています。

シスコの2040年ネットゼロへのアプローチ

Beyond 5G、つまり 5G の高度化や 6G を見据えると、重要となるのがサステナビリティです。「2025年にはインターネットが世界の電力の20%を消費する」との調査結果もあり、お客様との間でも議題に上がっています。シスコは、「2040年までに温室効果ガスの排出実質ゼロ」を掲げ、(1) 再生可能エネルギーの利用の加速、(2) 循環型経済の推進、そして (3) 革新的な製品開発を目標に掲げました。

 なかでも「革新的な製品開発」については、「イノベーション」「先端テクノロジー」「アーキテクチャ変革」の3つに注力しています。

その中心となる Cisco Silicon One を 2019 年 12 月に発表して以降、約 2 年間で 11 種類のシリコンを開発してきました。これまでのシリコン設計を一から見直し、性能・機能・効率の観点で技術革新を進めています。Cisco Silicon Oneを搭載した Cisco 82011ラックあたりの帯域が77倍なのに対し、消費電力は1/38まで削減しており、環境への負荷軽減を実現しました。

イノベーションによる環境への取り組み

 

また、これまではサービスを展開するごとに大きな伝送装置を配備する必要がありましたが、コストの高さや技術革新の遅さの懸念からマルチベンダー化が進み、Acasia社の買収とコヒーレント技術の進化により、トランスポンダをプラガブル オプティクスの大きさまで小型化することに成功しております。トランスポンダをオプティクスとして、ルータに取り込みますので、消費電力の削減に加えて、輸送に伴うCO2排出の抑制にも貢献しています。

さらに、IP レイヤーと Optical レイヤの統合により、冗長かつ複雑で、高コストなネットワークをシンプル化する「Routed Optical Networking」を推進しています。これにより装置点数の大幅な削減に加え、IP+ Optical の技術や End-to-End の IP 化で自動化を適用し、消費電力とスペースオペレーションの効率化を実現し、CO2 削減につなげています。

シスコ5Gショーケース アップデート

 シスコが六本木オフィスに2020年11月12日に開設した「シスコ5Gショーケース」は、12社のパートナーに参画いただき、15 のソリューションをご用意しています。コロナ禍でリモートが中心ではありますが、既に50社以上の企業にご利用いただき、100回以上のデモを実施しています。さらに 2021年にはミリ波とSub-6の商用免許を取得し、パートナーである JMA Wireless 社と Airspan Networks 社の基地局を用いてシスコの 5G コアネットワークと接続することで、ローカル5Gのネットワーク環境を構築するに至りました。

 

シスコはミリ波とSub-6、双方の免許を持つことから、アプリケーションによってそれぞれの周波数帯をつなぎ替えての比較などができるほか、Sub-6の帯域は100MHz幅の2つの免許を獲得しており、2つのチャネルをまたいだハンドオーバーの性能検証も可能です。さらに将来的には、2つのチャネルを束ねたキャリアアグリゲーションの実装も予定しています。

その他、3つの追加されたソリューションを以下にご紹介します。

5G ショーケースに追加されたソリューション(1) –パナソニック様・NEC様との協業

パナソニック様のライブ映像制作プラットフォーム「KAIROS」をシスコ5Gショーケースに導入し、放送事業者向けの実証実験を開始しました。4K・8K放送の普及に伴い、放送システムのIP化が求められています。システムのIP化に加えて5Gの活用によって、遠隔からのデータ伝送をしやすくし、機材や設備の柔軟性を高めることが可能です。

 

そしてもう1つが、NEC様との取り組みです。シスコ5Gショーケースでは現在、NEC 様の基地局と、シスコのコアネットワークとの相互接続試験を実施しています。

 

5G ショーケースに追加されたソリューション(2) – フルスタック オブザーバビリティ

「フルスタック オブザーバビリティ」とは、複数のソリューションを組み合わせ、アプリケーションやインフラ、ネットワーク、セキュリティまでの監視を可能にしたものです。フルスタックでの観測により、データノイズに悩まされることなく問題解決までの時間短縮が可能となります。

一方、従来の4Gでは考慮の必要性がなかった「アタックサーフェスの増加に伴い、攻撃箇所の特定が困難」というリスク懸念があります。シスコではこれに対し、「Security by Design」のアプローチが重要であると考えています。ネットワークの要件定義の段階からあらかじめ導入するセキュリティ機能を決めておくことで、セキュリティの向上と運用負荷の低減につなげます。

5G ショーケースに追加されたソリューション(3) – ChatOpsを活用した運用のデジタル化

「ChatOps」は、運用のデジタル化において、場所を問わずにシステム運用を可能にするソリューションです。ネットワーク運用に関わる全員がChatOpsを介することで、場所を問わず、連携した運用が可能になります。業務フローもインタラクティブな形式で実行できるため、チームメンバーがチャット内でコラボしながら運用、問題解決が図れます。

 

5Gを活用したデジタル変革には、5Gで接続した高速通信だけでは不十分です。セキュリティの自動化と可視化も必要不可欠であり、さまざまなユースケースの創出・アプリケーション開発も同時に行う必要があります。

シスコは、シスコ5Gショーケースのエンドツーエンドの5G環境を活用し、お客様、パートナー様と一緒に、新しい価値創出を目指していきたいと考えています。これからのシスコの5Gへの取り組みに、ご期待ください。

 

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