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サービスプロバイダーのイノベーションがデジタルデバイド(情報格差)解消の鍵に


2021年8月24日


シスコ、楽天モバイルにSRv6 と Cisco Routed Optical Networking を導入

2021 年 6 月 25 日、シスコは楽天モバイル株式会社(以下 楽天モバイル)の基幹システムに Segment Routing over IPv6(SRv6)と Cisco Routed Optical Networking を導入することを発表しました

本ブログでは、「未来のインターネットを共に構築」と題して楽天モバイルと共同で開催したバーチャルパネルディスカッションからの内容をご紹介します。


冒頭、シスコのアジアパシフィック&ジャパン サービスプロバイダー事業のプレジデントを務める Sanjay Kaul が、コロナ禍の 18 か月間におけるデジタル化の急速な進展と、200 億ものデバイスが接続されていることによるネットワークの負荷増大について、今後 10 年間で、接続されるデバイス数が約 10 倍になるとの予測に言及。続いて 2 名のパネラーを紹介しました。

一人目は楽天グループ CTO、楽天モバイル株式会社 代表取締役副社長兼 CTO の Tareq Amin 氏。そしてもう一人は、シスコ マススケール インフラストラクチャ担当エグゼクティブ バイスプレジデントを務める Jonathan Davidson です。

クラウドネイティブなモバイルネットワークを実現した楽天とシスコの道のり

 楽天モバイルは、世界初となる完全仮想化されたクラウドネイティブなモバイルネットワークを運用しています。2020 年 4 月に本格的な商用 4G サービスを開始、同年 9 月には記録的な速さで NSA(ノンスタンドアロン)方式の 5G サービスを立ち上げました。2021年5月11日時点でモバイル キャリア サービスへの累計申し込み数 410 万件を突破。楽天モバイルは在宅勤務・モバイルワーカーの増加など拡大するモバイルサービスへの需要に対応すべく、既存のネットワークの拡充・拡張を継続的に行っています。

楽天の Tareq 氏は、これまでのシスコとの取り組みについて次のように語りました。「2018 年、シスコのサンノゼ本社から、楽天モバイルの世界初となる『エンドツーエンド バーチャライゼーション インフラストラクチャ』への取り組みがスタートしました。なぜこの業界をハードウェアからソフトウェア連携に移行させるのか、OpenRAN の実現にどのような意味があるのか、日本で最も優れた IPV6 インフラストラクチャの実現と俊敏性の確保など、さまざまなチャレンジがありました。もちろん、日本市場の商業サービスで求められる高品質なエクスペリエンスへの回答も重要でした。このシスコとのパートナーシップと共創プロジェクトは、当社にとって非常に興味深く、エキサイティングな道のりでした」

モバイルネットワークのシンプル化がもたらすデジタルデバイド解消への貢献

これを受けてシスコの Jonathan は「コロナ禍においてインターネットとデバイスの重要性がさらに高まり、一方でデジタルデバイドの存在への認識も高まりました。地球上には 30 億人もの方がインターネットにつながらない、もしくは完全なサービスを享受できていません。シスコはこれまでもこれからも、世界中のパートナー企業や政府などと連携し、この格差を解消していきたいと考えています」と語ります。

そして「そのためにはインフラの構築と運用にかかるコストを下げる必要があり、新たなテクノロジーが求められる」として、「複雑化してサービスプロバイダーごとに分断、サイロ化したレガシーアーキテクチャをシンプルに、自動化しやすいものにする。IP ルーティングと OTN、オプティカルの 3 つの階層をシンプルに統合できれば、設備投資だけで約 35%、オペレーションコストも含めると 50% もの削減が可能です」と説明しました。

そしてそれをどのように実現するのか、については下図のとおり「通信の中で用いられる 短距離オプティック やトランスポンダなどのハードウェアを削減し、ネットワークをシンプル化します。この変革はインターネットを必要とするこれまで以上に多くの方につなぎ、それにより多くの機会を得ていただけるためのものです」と説明しました。

オープンクラウドネイティブ、楽天の OpenRAN 戦略とは

続いてTareq 氏に「楽天はなぜ OpenRAN (相互運用可能でオープンな無線アクセスネットワーク)を選択し、どのような戦略を考えているのか」と質問が挙げられ、Tareq 氏は「デジタルデバイド解消のためには、インフラのアーキテクチャを進化させ、通信事業者がコストコントロールできる形に変えることが求められます。サービスプロバイダーの TCO を見てみると、設備投資の約 70% が無線の領域に投資され、この十何年も進化が無いままでした。次世代への移行についても大規模なマイグレーションと多額の投資が必要で、イノベーションが欠如していたように思います。その課題が、オープンクラウドネイティブである OpenRAN により解消されることになります」と、その理由を明かしました。

そして「そのコンセプトはすべてのハードウェア、ソフトウェアと機能を整理し、ソフトウェアスタックによる統合運用でシンプルな管理性を高めることにあります。さらに当社が OpenRAN を選択した理由は、設備投資削減メリットだけではありません。これまで仮想化できないとされていた箇所も含めて、システム全体をオーケストレーションすることで得られるコモディティ化への効果は、非常に大きなものがあります」と語り、最後に「私自身が今回のプロジェクトで学んだ教訓としては『本質はテクノロジーの難易度ではなく、適切なパートナーを選び、文化の互換性を持つことで解決できる』ということでした。楽天とシスコは、業界を進化させるとのメンタリティで、プロジェクトを推進しています。」と述べました。

SRv6 と Cisco Routed Optical Networking 導入による新たな機会創出とは

楽天モバイルは、SRv6(Segment Routing over IPv6)と Cisco Routed Optical Networking の導入により 5G や IoT を活用したサービス開発を推進します。将来的にはネットワークスライシング機能を持つスタンドアロン方式(5G SA)をサポートするためのマルチドメイン 5G デプロイメントの鍵となる SRv6 マイクロプログラミング(Micro SID)の導入を予定しています。今回の導入に際しては、シスコのカスタマーエクスペリエンス(CX)チームが包括的に網羅した最適なアーキテクチャによる設計を策定、新たなサービス展開の迅速化と新サービス開始時のリスク低減を支援しています。

Tareq 氏は、このアーキテクチャを「シンプルでフラットでグローバルクラス」と高く評価し、「エンドトゥエンドでの IPv6の実装は、5G ネットワークのスライシングとハイパースケールに必須なものであり、長く続いた IPv4 からの大きな転換です。シスコのセグメントルーティングは、例えば日本市場における学校への無料接続の提供といった、新たな機会を生み出すでしょう」と語ります。

ネットワーク全体に SRv6 を導入することで、楽天モバイルはネットワークのレジリエンスを高め、今後の 5G サービスや IoT サービスの土台となる幅広いサービス レベル アグリーメント(SLA)に対応することができます。

また、楽天モバイルは Cisco Routed Optical Networking ソリューションを導入し、ネットワークのシンプル化を加速します。これまでサービスプロバイダー事業者はルータと DWDM(高密度波長分割多重)デバイスを別々に導入する必要がありました。Cisco Routed Optical Networking を利用することで、コヒーレント プラガブル光モジュールをルータに統合できます。これにより、ネットワーク全体の自動化が進み、迅速にサービスを展開(必要な日数が 100 日から 40 日に短縮)し、電力消費を約 30% 削減することが可能となり、高品質なサービスを競争力のある価格で提供することによって収益性の向上を図ることができます。

詳しくは、ビデオをご覧ください。

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