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モバイルトラフィックの爆発的な増加に対するソリューション – CUTO (Cisco Ultra Traffic Optimization)


2021年8月19日


5G 普及を見据えたモバイル事業者の課題

モバイルトラフィックは増加の一途を辿っており、5G の導入に伴いこの傾向が加速すると考えられています。5G には大きな可能性があり、5G の普及を促す要因は数多く存在しています。5G により、超低遅延、あるいは遥かに広い帯域幅が利用可能となり、これまでにはできなかった新しいアプリケーションも登場してくると期待されています。モバイル通信事業者は既存の 3G や 4G 設備を維持しつつ、5G の導入に向けた設備投資が必要となります。

現在のモバイルトラフィックのうち、スタンダードフロー(ビデオフローの割合は電子メール、Web ブラウジング、およびメッセージング トラフィックなどのフロー)に比べればわずかではありますが、ストリーミングビデオのようなラージフローは利用可能な帯域幅のうちの非常に大きな割合を消費します。モバイルユーザの上位 20% がモバイルデータトラフィックの 62% を生成しており、ラージフローは多くの場合、ストリーミングビデオです。実際、Cisco Annual Internet Report によると、2022年までにモバイルデータトラフィック全体の 79パーセントをビデオが占めるようになると予測されています。つまり、ラージフローを消費する少数のユーザがネットワークパフォーマンスに大きな影響を与え、モバイルネットワークの特に無線区間が輻輳してしまう場合があります(例えばお昼休みの時間帯、イベント会場など)。この場合、少数のユーザのために他の多くのユーザも合わせて輻輳状態となり、QoE の低下に繋がります。

モバイル通信事業者様は輻輳状態を低減するため、必要に応じて無線基地局設備の増設をするなどの対処が必要となります。今後、携帯電話加入者は 5G へ移行していくため、5G への無線基地局を含めた設備投資に加え、3G や 4G の無線アクセスも当面の間は残り、トラフィックも 5G が普及するまでは増え続けることが想定されますので、既存無線アクセスも対処が必要となります。

増え続けるトラフィックとそれに伴う無線区間の輻輳への対処は、上記で述べた無線基地局の増設が挙げられますが、別のアプローチとして、モバイルコアネットワーク側からトラフィックを最適化することを本記事ではご紹介します。シスコは、このアプローチとして、機械学習テクノロジーを使用してモバイルネットワークの輻輳を検出および軽減する無線対応の RAN 最適化ソリューション「CUTO(Cisco Ultra Traffic Optimization)」を持っています。

CUTO(Cisco Ultra Traffic Optimization)のご紹介

CUTO を利用することにより、下記のような利点があります。

  • ビデオおよびソフトウェアやオペレーティングシステムのアップデートを含む、すべてのラージフロートラフィックを最適化
  • ラージフローのユーザの利便性を損なうことなく、その他スタンダードフローのユーザのパフォーマンス/ユーザエクスペリエンスを向上
  • 迅速でサービス中断のない導入で、ネットワークパフォーマンスが即座に向上

CUTO はモバイルコアに導入され、機械学習により輻輳を検知すると、トラフィック最適化機能が有効になります。本機能はラージフローを検知し、連続的に流れているトラフィックフローにユーザエクスペリエンスに影響しない程度の「すき間」を作ることで、その他のスタンダードフローを流れやすくします。これにより、ネットワークの非効率性を低減し、スペクトル効率を最大化します。(より正確には、CUTO は送信先の基地局セルサイトの環境やトラフィック状況を理解し、パケット単位でセルへのラージフローの流れ方をインテリジェントにコントロールします。これにより、基地局内のスケジューラでのコンテンションが解消され、容量が解放され、セルサイトのパフォーマンスと容量が向上します。)

CUTO は次の2つのデプロイメントオプションをサポートしています。

  • オプション1:Cisco PGW のモジュールとして組み込み
    • こちらのオプションは Cisco PGW にて運用いただいている事業者に限定されますが、PGW が保持する RAN 情報や加入者セッション情報をもとにきめ細やかなルールによるトラフィックの最適化が可能です
  • オプション2:スタンドアロンサーバとして、S1-U/Gn 区間に設置
    • こちらのオプションは Cisco PGW を導入いただいていない事業者にも適用可能です。PGW に統合されていないことによる制約がありますが、既存の PGW を活用したままで CUTO が導入可能です。

CUTO はテクノロジーにとらわれず、3G、4G、5G、FWA(Fixed Wireless Access)のいずれにも対応しています。したがってインフラの成熟度にかかわらず、CUTO は常に良い投資となります。多くの通信事業者はすでに CUTO を導入しメリットを享受しています。最近トライアル導入した世界中の 25の大手ネットワークでは、下図のようにユーザのスループットが 20%以上、容量が 40%近く増加したことが分かっています。

(出典: Cisco、世界の25のネットワーク事業者による CUTO トライアルの概要)

モバイル通信事業者様は、ユーザエクスペリエンスを向上させるために、CUTO がネットワークにもたらすメリットをぜひ検討ください。CUTO とその利点についての詳細は、Omdia のレポート「無線アクセスネットワーク(RAN) 上でのビデオ増加による輻輳を根本的に軽減する方法」(英語版はこちら)でご覧いただけます。

CUTOに関するご参考URL

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