Cisco Japan Blog
Share

全てのモノがインターネットにつながる未来はおもしろい― IoT(Internet of Things) そして、IoE (Internet of Everything)


2013年6月10日


IoEInternet of Everythingとは何か?

IoE とは、全てのヒト、情報システム(業務プロセスとデータ)、そしてモノがインターネットでつながることです。すでに私たちは、スマホや PC、タブレットを使っていろいろなヒトとつながり、インターネットで、メール、チャットや電話をしたり、ブログを書いたり見たり、ビデオを投稿したり見たり、ネット通販を利用したりしています。IoE は、そのつながる対象が、あらゆるヒト、情報システムそしてモノにまで拡大した世界を指します。

現在、つながっているモノは、ごく一部です。世界では 99%以上のモノが未だつながっていません。例えば、家、自動車、電車、飛行機、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電力量計、水道メーター、自動販売機、血圧計、医療診断機器、GPS、工場の生産ラインにあるロボットや工作機械、畑の作物、家畜、気象観測機。これらモノすべてがインターネットでつながり、情報システムによって私たちのためにさまざまなサービスを提供してくれる世界なのです。

今、なぜ、IoEが重要なのか?
すでに私たちは、インターネットを使うことにより、インターネットがなかった世界では想像もできなかった便利な生活をしています。これが IoE により、つながる対象がさらに広がることで、これまでに経験をしなかった新しい能力、豊富な体験、ビジネスの機会、経済成長がもたらされます。

今、まさに、上に挙げたさまざまなモノが IP 化されインターネットへ接続されようとしています。この動きの背景には、IoE を実現させるいくつかの技術の進歩があります。世界各国でブロードバンドのネットワークが普及しています。LTE は次世代 LTE へ、Wi-Fi は高速化するとともに通信距離の拡大が企画されています。プロセッサそして通信用半導体チップは小さくなり、価格も低下しています。そして IPv6 の出現があります。また、映像コンテンツやディスプレイの世界にはスーパー HD が登場し、3D プリンタの開発も進んでいます。これら技術革新がさまざまなモノのネットへの接続を拡大、促進させているのです。

IoTInternet of ThingsIoEInternet of Everythingはどういう関係か?

This is The Internet of EverythingIoT(Internet of Things)は、モノがインターネットでつながることです。そして IoE(Internet of Everything)は、IoT を基盤にしてその上に、モノだけでなく、全てのヒト、情報システム(業務プロセスとデータ)がネットワークによってつながることを指します。これにより、これまで分断されていた情報システムが連携して、協調し、お互いが見えるようになります。

IoE を進めるにあたってのリスクと課題は何か?
IoE を検討するにあたって、考慮すべきリスクには、プライバシー、セキュリティ、エネルギー消費、ネットワーク負荷があります。

これまで私が関わってきた IoE の構想策定・導入コンサルティングにおける大きな課題やチャレンジは、これらのリスク要素を十分にコントロールした上で、経済的に事業として成り立たせることが可能なビジネス モデルを構築することにあります。ただしこのビジネス モデルは、単体の企業で実現できるものではありません。事業生態系(エコシステム)を構想策定し、構築していくことになります。

IoE でこれまでになかった「うれしさ」を創造するためには?
これまでになかった「うれしさ」が、IoE によって創造されようとしています。
それでは、何がつながるとうれしいでしょうか。そして、それを実現するためにはどのような取り組みが必要でしょうか。

例えば、車がインターネットにつながれば、スマホと同じような端末として車を使うことができるでしょう。車をインターネットにつなぐためには、車内ネットワークの IP 化、車と車、車と道路などとのネットワーク接続を進めることになります。このためには、自動車メーカーに加えて、部品サプライヤ、インフラ関連の組織など、さまざまな業界の企業が協業する必要があります。

放送がインターネットにつながれば、世界中のどの放送でもコンテンツの一つとして好きなように見ることができるでしょう。このためには、放送の IP 化も進めなくてはなりません。各国のさまざまな法規制も変わらなくてならないでしょう。放送局に加えて、著作権者、CATV などの通信業者、それにテレビなどの受信端末メーカーの協業モデルが必要となります。

すでに先進的な大学では、インターネットを介して授業を外部の受講者へ開放しています。誰もが有名大学の授業をインターネット経由で受講できるようになってきています。その大学の学生より外部受講者の方が優秀な成績を出しているといった報告も出ています。大学自身の位置づけも変わってくると思われます。

このようなさまざまな関係組織が IoE の事業生態系(エコシステム)を構築していくことにより、従来の産業構造の地殻変動が起こることは、容易に想像できます。私たちは、これから拡大していく IoE の世界を見据えて、戦略的な視点をもって、リードしていくことが求められています。

Tags:
コメントを書く