AIエージェントとともにビジネスの成果を得る時代のネットワーク・セキュリティとは?――「Cisco Scale Innovation Day 2026」イベント開催レポート(シスコ体験ブース編)
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「Scale Innovation Day レポート」シリーズ
[第1回:セッション前編] | [第2回:セッション後編] | [第3回:シスコ体験ブース編] | [第4回:販売パートナー・ディストリビューター編]
中堅・中小企業をはじめとするお客様や販売パートナーの皆さまに向けて開催した「Cisco Scale Innovation Day」。そのハイライトを全 4 回のレポートでお届けしています。
第 3 回は、講演で取り上げたソリューションに触れられる体験エリア「Meet the Experts」から、シスコのプロダクトエキスパートやエンジニアが講演内容を深掘りして直接ご紹介する 4 つの体験ブースについて、その模様をお伝えします。

ブース 1:シスコが描く「AI-Ready」ソリューション
AI エージェントの活用を、IT 運用と顧客体験の双方で体験できるブースです。中心を担う統合運用プラットフォーム「Cisco Cloud Control」と、その AI アシスタント「AI Canvas」について展示しました。

中でも注目を浴びたのは、セッションでも実演したコールセンター向け Webex AI Agent のライブデモです。ビデオ会議デバイス「Webex Desk Pro G2」を顧客側のインターフェースとして利用しました。
画面上には「IT ヘルプデスク」「市役所」「コラボデバイスサポート」「航空予約」「ピザ注文」「銀行」「大学事務室」「確定申告」「オフィスサポート」という 9 つのシナリオがアイコンで並び、来場者は好きなシナリオを選んで、音声で問い合わせることができます。例えば「オフィスサポート」では、セッション中に披露された空調温度を変更するシナリオを来場者自身の声で体験されていました。
そして隣の PC では、コールセンター側の画面でどのようなオペレーションを行う必要があるのか、それが AI によってどれだけ簡略化されているのかを確認できます。

「ピザ注文」のシナリオでは、AI エージェントが発信者の電話番号から顧客情報を検索し、該当がなければ氏名を尋ねて登録内容を確認します。「ビールに合うピザが欲しい」という曖昧な要望にも、あらかじめ用意されたメニューを踏まえてペパロニやミートラバーズなど複数の候補をその場で提案する、成熟した AI エージェントによる柔軟な受け答えが見られました。
注目したいのが、応答の“間”を埋める工夫です。本格的な回答を担う大規模言語モデルは処理に 1 〜 2 秒を要するため、その間に軽量なモデルが「かしこまりました」「それは大変ですね」といった相づちを即座に返す、暫定応答エンジンが組み込まれています。人間同士の会話に近い間合いを保つための細やかな設計により、不自然な沈黙が発生せず、ストレスの少ないやり取りが可能です。
ブース 2:AI 時代のセキュアネットワーク
「ネットワークからセキュリティ、認証、可視化やデータセンターまで、すべてをシスコのクラウドで。」を掲げるこのブースでは、Meraki ダッシュボードを中心にした シスコのクラウドで IT 環境をいかにスマートに運用できるようになるのかを紹介しました。AI アシスタントには新たに高度な推論モデルが搭載され、より複雑な設定状況においても、トラブルシューティングまで任せられるようになっています。

デモコーナーでは、Meraki クラウド上で提案可能なソリューション一式がオンラインデモとして稼働しており、来場の皆様が関心のままに確認いただけるようにしました。
ハードウェアで目を引いたのは、Catalyst 9000 シリーズの最新モデル「Cisco C9350 シリーズ スマートスイッチ」です。Meraki クラウドにネイティブ接続できるほか、従来通り IOS コマンドでの操作にも対応しています。また、導入が加速しつつある耐量子暗号(PQC)への対応を、ハードウェアレベルで実装しています。

Wi-Fi 7 対応アクセスポイントや、認証サーバーを立てずクラウドのみで認証を完結できる新製品「Meraki Access Manager」も展示。ノーコードの自動化ワークフローで、Wi-Fi パスワードを毎日自動的に変更し、QR コード付きの新しいパスワードを管理者へメール通知するまでの一連の流れを、ワンクリックで実行するデモ体験を披露しました。
データセンター領域では、クラウド管理に対応したスイッチ「Cisco Nexus HyperFabric」を展示しました。
セキュリティ領域では、新しい小型ファイアウォール「Cisco Firewall 200 シリーズ」の中でも最小で、SMB(中堅・中小企業)に適したモデルを展示。特に引き合いが多いクラウド型 SSE(Security Service Edge)製品の「Cisco Secure Access」は、アップデートによって Meraki とワンクリックで連携できるようになったことを紹介しました。

また、XDR との連携による Meraki ダッシュボード上での一元的な可視化や、SaaS 型のネットワーク監視プラットフォーム「ThousandEyes」を組み込むことでアプリケーションの可視化ができるようになることもライブでご紹介しました。
ブース 3:パッチだけに頼らないこれからのユーザー防御 User Protection Suite
「Cisco User Protection Suite」を、2 つのデモを通じてより具体的にご体験いただけるブースでした。

情報漏えいインシデントというと、脆弱性を突く侵入手口をイメージしがちです。しかし実際には、ID・パスワードの窃取や、生成 AI 普及に伴うシャドー IT による被害も見過ごせなくなっています。シスコが提案する対策は、多要素認証「Cisco Duo」と、クラウド型 SSE「Cisco Secure Access」の組み合わせです。Duo からスマートフォンに送られるプッシュ通知に対して承認した場合のみログインを許可し、Secure Access によってユーザーごとに必要最小限のアクセス権限だけが与えられます。
1つ目のデモでは、ChatGPT の画面上で電話番号に相当する文字列を入力すると、Secure Access 側で瞬時にブロックされる様子を確認できました。ChatGPT 自体のインターフェースを損なうことなく、通信経路上でシスコのソリューションが介入する仕組みです。生成 AI サービスの管理機能でブロックするように設定したとしても、ログインしていないユーザーの操作までは制御できません。しかし、Secure Access の管理ダッシュボードでは、誰がどの端末から機密情報を送信しようとしたかを可視化できます。
2 つ目のデモでは、不審な IP アドレスからのアクセスや、多要素認証プッシュ通知への拒否連打といった不審な挙動を検知すると、ユーザーの「トラストレベル」を自動的に低下させて、一定の閾値を下回ると自動的にアクセスが拒否される様子を紹介しました。手動でのアクセス許可・拒否の切り替えに頼らず、侵害リスクを自動で低減する仕組みを体感できるデモとなっていました。

ブース 4:最新テクノロジーDeep Dive
シスコの最先端テクノロジーを深掘りした「最新テクノロジー Deep Dive」の講演内容を、実機とデモを通してさらに理解を深められるブースです。

ルーターもコンピューティングもまとめることができるエッジ AI プラットフォーム「Cisco Unified Edge」は、幅 19 インチ、奥行き 18 インチとコンパクトな筐体です。さらに、前面からすべてのメンテナンス作業が行える機構や電源の冗長化など、拠点や店舗といった設置環境が限られるユースケースを想定した設計になっています。ステージデモでは伝わりにくい筐体サイズの違いやインターフェース構成を、目の前のブースで確認いただく機会ともなりました。
デモの一つでは、工場などの拠点への設置を想定。Meraki カメラの映像を、この筐体内で完結するローカル AI がリアルタイムに解析し、ヘルメットを着用していない人物を検知すると即座にアラームを鳴らして知らせます。クラウドに映像を送らずその場で処理を完結させることで、工場や施設の機密映像を外部に出さずに済む利点を、実用的な処理速度と併せて確認できました。この仕組みを応用すれば、立ち入り禁止区画に、いつ誰が入ってきたかを自動的に記録し、証跡として残すことも可能です。

もう一つのデモでは、簡易な受付業務を AI に任せる「未来の窓口対応」を垣間見ることができました。対話型のデジタルヒューマンに対して「チーズバーガーをください」と話しかけると、AI がその場で注文を復唱して確認してくれます。
「Cisco Secure Router」のコーナーでは、小規模拠点向けの 8100 シリーズと、そこから集約する大規模拠点向けの 8400 シリーズの実機が並べて展示されていました。そして講演ステージで実施された、2 台の実機を接続した暗号化通信のライブデモを、改めて確認できるようになっていました。
次回は、シスコの販売パートナー様とディストリビューター様のブースについて、各社の特色ある提案やサービスを中心にご紹介します。