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AIエージェントとともにビジネスの成果を得る時代のネットワーク・セキュリティとは?――「Cisco Scale Innovation Day 2026」イベント開催レポート(セッション 前編)

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「Scale Innovation Day レポート」シリーズ
[第1回:セッション前編] | [第2回:セッション後編] | [第3回:シスコ体験ブース編] | [第4回:販売パートナー・ディストリビューター編]


 

AI の社会実装が進み、ビジネスは「AI による価値創造」のフェーズへと移行しています。その中で成功の鍵となるのは、AI を前提とした「次世代インフラ基盤」の構築です。一方で多くの企業が、複雑化する環境におけるセキュリティの維持や運用最適化といった新たな課題に直面しています。 

そこでシスコは2026 年 7 月 1 日に「Cisco Scale Innovation Day」を開催。中堅・中小企業をはじめとするお客様や販売パートナーの皆さまに向けて、最新の考え方とソリューションをご紹介しました。当日は多くの方々にご来場いただき、セッションやデモンストレーションも大変盛況となりました。 

本ブログでは、当イベントのハイライトを全 4 回の連載でお届けしていきます。 

第1回はセッションパートの中から、AI エージェントが拓く「AI-Ready」なビジネス環境  AgenticOps によるIT 運用の可視化・効率化と株式会社TKP によるWi-Fi 7 導入事例、 そして株式会社ジンズと太陽ホールディングス株式会社がグローバル展開の最前線を語るパネルディスカッションの模様をレポートします。 

 


 

AI エージェントが変える働き方――ライブデモで見る「AI-Ready」の実際 

開会挨拶には、シスコシステムズ アジアパシフィックジャパンチャイナ地域 スケール営業事業担当 バイスプレジデントの鎌田道子が登壇。スケール事業が四半期連続で20% 以上成長し、日本市場がAPJC(アジア太平洋・日本・グレーターチャイナ地域)随一の伸びを見せていることを紹介した上で謝意を表しました。 

それに続いて鎌田は、地政学リスクや関税、円安といったメガトレンドに触れ、シスコとして、セキュリティとネットワークを軸にAI をどう活用してお客様のビジネスを守り成果へつなげるかが重要だと強調。そして当イベントについて、ビジネスだけでなくテクノロジーのトレンドにもフォーカスし、「なぜシスコでなければならないのか」という疑問に応えたいと述べました。 

 

 

開会挨拶後のシスコが描く『 AI-Ready 』なビジネス環境とその必要性と題したセッションでは、シスコシステムズ 執行役員 スケールビジネス事業統括の石黒圭祐が登壇。インターネット、スマートフォン、クラウドを経て「AI の時代」へと至る技術変遷を振り返った上で、シスコが掲げる「 One Cisco 」のストーリーに基づいて戦略を実行していることを改めて紹介しました。シスコはポートフォリオの力を結集し、「AI 対応のデータセンター」「AI を活用した未来を見据えたワークプレイス」「さまざまなデータを集めて新しい知見を提供するデジタルレジリエンス」に取り組んでいます。 

 

  

中でも強調されたのは、チャットで応答するAI アシスタントから、人間の意図を汲み取り実行まで担う「AI エージェント」への進化です。 

会場では、すでに販売中の製品であるWebex コンタクトセンターのAI エージェントを使ったリアルタイムのライブデモを披露しました。デモを担当したのは、コラボレーションアーキテクチャ事業 ソリューションズエンジニアの銭昆と、同事業 アカウントエグゼクティブの芹川拓丸。会議室の照明が乱れているという想定で、芹川がオフィスサポートセンターに電話をかけると、AI エージェントが要望を理解し、裏側で照明システムやチケット管理システムと連携、その場で照明を変更してみせました。 

 

 


さらにエアコンの温度調整を依頼すると、AI エージェントは「環境保護規定により空調操作にはサポートデスクの確認が必要」と判断し、人間のオペレーターへ自動的にエスカレーション。銭が実際にオペレーターとして電話を引き継ぎ、AI が生成した引き継ぎメモとリアルタイム文字起こしを確認しながら対応しました。オフィス環境において、影響範囲が小さい照明操作はAI がセルフサービスで完結させ、より広範囲に影響がでる空調操作は、AI に制限をかけて人間に委ねる。この「AI ガードレール」こそが、エンタープライズにおける安全かつ実用的なAI エージェント運用の鍵になるのです。  

石黒は、AIは学習しながら自律的に判断する一方で、その学習過程でAI 自身判断基準に「ゆらぎ」が発生する現在のAI特性を踏まえゼロトラストの考え方をAIにも適応すること重要性、そして様々なAI への指示の裏側でLLM による指令生成や複数システムへの問い合わせが行われることで生じる、ネットワークトラフィックの劇的な増加に言及。AI 対応のセキュリティとネットワークなくして、次のAI 時代を迎えることはできません」と述べてセッションを締めくくりました。 

 

AgenticOps が開くIT 運用の未来と、Wi-Fi 7 TKP にもたらした価値 

 続く「AI 時代のセキュアネットワーク AgenticOps による IT 運用の可視化と効率化」では、シスコシステムズ ネットワーキング事業 SE 本部長の高田和夫と、スケールビジネス事業 部長の泰道亜季が登壇。ネットワークトラフィックのパターンが、ユーザー操作に応じて断片的に負荷が生じるチャットボット型の「スパイク型」負荷から、複数のAI エージェントが常時連携するエージェント型の「常時負荷」へと変化していく現状を示しながら、AI 時代におけるネットワークはどうあるべきなのか、2026 年から本格化するAI エージェントが主体的に動作する運用「AgenticOps」を解説しました。 

 

高田は個別管理の限界を踏まえ、AgenticOps の実現にはネットワーク全体を一元管理できるコントローラーベースの「プラットフォーム化」が不可欠だと指摘。そのための取り組みとして、クラウド管理のMeraki ダッシュボードとオンプレミスのCatalyst Center の統合、そして2026 年 6 月のCisco Live で発表された統合ダッシュボード「Cisco Cloud Control」を紹介しました。 

Cisco Cloud Control ライブデモでは、ネットワーキング事業 ソリューションズエンジニアの木村まみがデモンストレーションを担当し、人とAI エージェントが協業する「AI キャンバス」を活用したトラブルシューティングを実施。「ネットワークの調子が悪いので分析してレポートしてほしい」という日本語の指示だけで、Meraki エージェントやThousandEyes エージェントと連携し、ワイヤレスの不調に見えた問題が実はWAN側のRADIUS サーバーに起因していたことを突き止める様子が披露されました。 

また、コーディング不要の自動化ツール「エージェンティックワークフロー」でSSID パスワードの変更とQR コード送付を自動化するデモも行われました。 

 

 

セッションとデモンストレーションを通じて、ネットワーク、セキュリティ、AI、開発など運用チームが一体となって協業できる環境の必要性、そしてAI 時代のネットワークは個別管理ではなくコントローラーベース「プラットフォーム化」を実現することで、AI のパワーを最大限活用し、セキュリティを包含しながら一元管理することの重要性を強調されました。 

 

 

このセッションのお客様事例では、株式会社TKP 音響・レンタル事業部 オペレーション課 課長の近藤友也氏にお話を伺いました。同社は企業向けの空間シェアリングの先駆者として、貸し会議室を中心に事業を展開してきましたが、コロナ禍以降、会議室利用がオンラインと現地のハイブリッド形態へ移行し、データ通信量が大幅に増加。ワンフロアで1,000 名近くを収容する会場もあることから「10Gbps の回線をフル活用できるパフォーマンスの高いアクセスポイント」であることと、超高速通信を実現する「Wi-Fi 7」に対応していること、そしてネットワークが専門外のスタッフでも扱えるMeraki ダッシュボードの使いやすさから、シスコのソリューションを選定したといいます。 

近藤氏は「以前はお客様の要望に応じて都度、仮設回線を構築していましたが、その対応が不要になりました。ネットワークの専門家ではないスタッフでも、お客様からの問い合わせにもすぐ答えられるようになり、安心していただけています」と導入効果を語りました。TKP 直営施設 248 拠点のうち、2026 年 4 月時点ですでに18 拠点でWi-Fi 7 環境が利用可能となっており、今後さらに拡大していく方針が示されました。 

また、今後の運用にはダッシュボードに備わっているAI エージェントを活用して、チーム全体で対応できる運用体制へと発展させていきたいという考えをお話しいただきました。  

 

  

パネルディスカッション:複雑性と向き合う海外展開の実際 

パネルディスカッション「グローバル最前線:今IT に求められる海外ビジネス展開の姿」では、冒頭の開会挨拶で登壇した鎌田道子がモデレーターを務めました。鎌田は、日本企業が円安を背景に海外展開の意向が拡大している一方、関税や規制、価格交渉の複雑化により、拠点展開の難易度は過去の数倍に高まっていると指摘。その上で、実際にグローバル展開を推進する2 社から、ニーズや課題を伺いました。 

 

 

アイウエアブランド「JINS(ジンズ)」を展開する株式会社ジンズのグローバルデジタル本部 IT デジタル部でシニアディレクターを務める布袋賢介氏は、日本を含む世界8地域で、800 店舗以上を展開する同社の現状を紹介。「スピード感が求められるグローバル出店に対し、短期間でのIT システム・インフラの立ち上げが求められる」という現地展開の課題と、Meraki で統一された店舗ネットワークの標準化・グローバル展開の取り組みについて語りました。

 

 

電子基板に使われる絶縁膜などの化学品で世界トップシェアクラスを誇る太陽ホールディングス株式会社 情報システム部 企画管理課の小泉真治氏も同様に、ビジネス先行でIT が追随する形で拠点を拡大してきた経緯を共有し、IT 担当者が不在の小規模拠点では日本主導でガバナンスを効かせる体制づくりを進めていると説明しました。 

 

 

ディスカッションでは、インバウンドのお客様に向けた国境を越えたサービス・サポート提供において、国ごとに異なるデータ保管やアクセシビリティの要件が顧客情報の統合を難しくしている点や、小規模拠点ではローカルベンダーへの価格交渉力が弱くなりがちであるといった悩みが共有されました。

ジンズの布袋氏と太陽ホールディングスの小泉氏からは「どの国でも立ち上げから日々の運用まで同じ手順と同じコミュニケーションで対応してもらえるのが理想」「グローバル全体を見据えた統一的な支援と価格をぜひ提案してほしい」といった、シスコおよびパートナーへの率直な期待の声が寄せられました。 

鎌田は、シスコが APJC(アジア太平洋・日本・グレーターチャイナ地域)全体で横断的な支援体制を持っていることを紹介しつつ、今後はネットワークやオペレーションの共通化を土台に、グローバル展開を後押ししていく姿勢を示して、パネルディスカッションを締めくくりました。 

  

 

次回の「セッション後編」では、ランサムウェア対策の新定番「 Cisco User Protection Suite 」のセッションとリンテック株式会社の事例、新製品「 Cisco Secure Router 」や「 Cisco Unified Edge 」を深掘りする「テクノロジー Deep Dive」の模様をお届けします。 

Authors

石黒 圭祐

執行役員

スケールビジネス事業統括

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