京都府庁からシスコへ派遣中の池内です。
シスコでの勤務も早数ヶ月、社内でPCを持ち歩き、フリーアドレスで仕事をすることにも慣れてきました。1日の自分の仕事内容に合わせて「今日はあの人の近くで仕事をしよう」「集中したいから個人ブースで」と作業環境を選択できるので、気分転換にもなりますし、メリハリをつけて日々の業務に臨めます。
中には、フリーアドレスといえどお気に入りの席があり、半固定席化している社員もいますが、オフィスの机上に置かれたままの私物は、定期的に実施される「オフィスクリーンアップ」により、強制的に撤去されるので恐ろしいものです。私も油断してボールペンを1本持って行かれました。原則はあくまでフリーアドレス、自分の席はありません。
さて、前回の最後にも触れたように、今回はシスコのミーティングについてご紹介します。
初めてのミーティング
4月の赴任初日、各チームミーティングに挨拶回りに行った際、まず驚いたのは参加者全員が PC を持ち込んでいる会議風景でした。メモ用の手帳とペンだけを握りしめて参加した私にとって、会議で利用するツールの差を感じた瞬間です。PC 内の資料をモニター画面に投影し、会議中に PC 上で取ったメモは終了と同時に参加者へ共有するなど、ペーパーレスかつ迅速な情報共有が徹底されています。会議には、その場にいる参加者のみならず、遠隔地(大阪オフィス、在宅勤務、リモートワーク)の社員も Cisco Webex Meetings(Web会議)を使用して参加しており、「IT 企業ってすごいな、最先端だな…」と仰天しました。
テクノロジー面だけでなく、ミーティングにおける発言量も桁違いです。私はこれまで、会議では主催者が話すことをじっと「聞く」というスタイルを身に着けてきただけに、職階の上下を問わず参加者全員が意見を次から次へと発言している様子は新鮮に感じました。
挨拶回りということで、私にも自己紹介の時間を設けていただきましたが、名前やこれまでの経験を軽く話して切り上げようとすると「まだ時間あるよ、続けて!」と言われ、結局5分程度、自分のプロフィールをあらかたお話しすることとなりました。こんなに長く自己紹介したのは初めてです。ただの形式的な顔見せではなく、人となりをじっくり伝える時間を与えてもらったのだな、と文化の違いも感じた初めてのミーティングでした。
シスコのミーティングとは?
「池内さん、Invite送っといたから!」
「えっ、インバイトってなんですか」
横文字の用語に慣れない中、ミーティングの設定の仕方も一から教わりました。
予定はすべて Outlook の予定表で管理されており、参加者の空き時間と空き会議室を確認してミーティングを設定、議題を箇条書きして参加者に送信(=Invite)します。府庁においても個人の予定は Outlook 予定表を活用して管理していましたが、会議室は紙の使用簿や専用の予約システムで予約状況を確認していたことを思うと、ミーティングの設定が一元化されており、手間もかからずスマートです。
議題も予め共有されるので事前に頭の整理もでき、また所要時間もきっちりと決められるので、その前後の業務計画も立てやすくなります。私はこれまで、担当者間の打ち合わせから有識者を集めた協議会まで、「会議」と一口に言っても大小様々なものを経験してきましたが、その目的や参加者の役割が明確にされておらず、時間だけが過ぎて何かをやった気になる、という儀式的な会議も中にはあったように思います。
あるシスコ社員が「ミーティングの分類として『連絡・報告型・意思決定型・チームビルディング型』等あるが、シスコでは「連絡・報告型」ミーティングは時間の無駄だからしない。」と話していたのが印象に残っています。過去のことをミーティングの場で話すのではなく、次に向けてディスカッションするほうがいい、という考えに基づくもので、連絡・報告事項はメールやチャットで関係者に共有されます。
会議室が多い
シスコは会議室も多く、来客向けの設え、世界中のシスコ オフィスとつながるビデオ会議端末(Cisco Telepresence)の有無や許容人数など、部屋のタイプは様々ですが、大体1フロア当たり 15部屋程度の会議室があります。至る所に打ち合わせ用のスペースもあり、場所に困ることはありません。振り返れば、府庁では使用できる会議室は部局ごとに片手で数えられるほどしかなく、室内には机とイスだけでホワイトボードすらない部屋も多く、打ち合わせスペースは部屋の端にかろうじてある、といった環境でした。シスコでは会議室の設備も整っており、部屋数も多いため、会議室探しに時間をかけたり、部屋がないため会議が先送りになったりということもなく、ディスカッションが活発に行われています。
事前に議題と目的を共有し、会議室の予約時間内できっちりとミーティングを終了し、結果は即時に参加者へ共有するというのは、考えてみれば簡単なことですが、それが会議ルールとして自然と社員全員に浸透しているため、シスコでは効率の良いミーティングが定着しているのではないでしょうか。
恐らく誰もが一度は「あの会議ムダだったな…」と会議の改善の余地を感じた経験があるように、日頃、何となく開催している会議について、参加者の調整、会議室の確保、事前準備、進行の効率性、結果の共有、決定事項の役割分担など、会議一つ開催するために必要な業務の中にムダが発生していないか精査し、ルール化して組織内に定着させることが、効率のよい会議の実施へとつながるのではないかと思います。
さて次回は、夏の企画「カルビー×シスコ テレワークデイズの取組み」をご紹介します。
5 コメント
「会議」を大事にする役所には「会議室」が不足し、無駄な会議をやらない組織では十分な会議室が確保されている。
目から鱗が落ちるよう。いろいろ考えさせられます。
テクノロジーだけでなく、組織の中でどう使うか、ワークスペースはどうかなど、職場環境全体を、総合的によく考えておられることがよくわかります。是非いろいろ京都府に持ち帰ってきてください。
古橋さん
コメントありがとうございます。
上司とちょっとした打合せをするときにも、近くの空いてる場所でPCやホワイトボード使いながらサクッと終わるので、気軽に手早くコミュニケーションがとれるのも利点だと思います。
またコメントお待ちしております!
「会議」を大事にする役所には「会議室」が不足し、無駄な会議をやらない組織では十分な会議室が確保されている。
目から鱗が落ちるよう。いろいろ考えさせられます。
テクノロジーだけでなく、組織の中でどう使うか、ワークスペースはどうかなど、職場環境全体を、総合的によく考えておられることがよくわかります。是非いろいろ京都府に持ち帰ってきてください。
行政の会議体は、やることに意義があるとされていますから発言とかが出ないように事前調整しますからね。出すとしても事務局に有利な様に事前に調整。
シスコでの働き方がうらやましいです!
橋本さん
コメントありがとうございます。
私も初めは「前回のミーティングではこう言ってたのに、今回は全然違う方向の話になってる…」と、どんどん発展していくミーティングに戸惑いを感じましたが、社員の方に「会議はclosingじゃなくてdiscussionだから!」と教えられ、新鮮でした。
行政と民間企業では仕事のやり方が違うのは当たり前ですが、良い点を取り入れて、有意義なミーティングの機会が増えるといいなと思います。