シスコでは、Inclusion and Collaboration (I&C) の理念のもと、誰もが強みを発揮して自分らしく活躍できる職場づくりを大切にする企業カルチャーを育み、それをイノベーションの創出へとつなげていくことを目指しています。
その中核を担っているのが、次の 5 つのインクルーシブ・コミュニティです:
- Women of Cisco (WoC) – ジェンダー平等の推進
- Connected Disabilities Action Network (CDAN) – 障がい理解と支援
- Emerging Talent @ Cisco (ETC) – 若手・新卒層のコミュニケーション活性化
- PRIDE (LGBTQ+ & Allies) – LGBTQ+理解と支援
- Cisco Citizen Network (CCN) – 社会貢献活動の推進
今回は、CDANの活動を推進する 柴崎昌士さん と竹内太郎さん にお話を伺いました。
柴崎昌士さん は、楽天様向けビジネスの統括を担当しつつ、プライベートでは発達障がいのあるお子さんの子育て経験から、より誰もが暮らしやすく働きやすい社会づくりを目指しCDANの活動をリードしています。
竹内太郎さん は、シスコ製品のリースやローン、ライフサイクル管理などのファイナンスソリューションを日本市場向けに提供するシスコキャピタルの責任者として活躍する傍ら、CDANのSLTスポンサーをつとめています。
CDANとは
柴崎:
CDANのミッションは、障がいがあってもなくても、誰もが安心して力を発揮できる環境をつくることです。 そのために、私たちは次の3つを大切にして活動しています:
- 「違い」を活かせるカルチャーを育てること
障がいに関する理解を広げながら、違いを強みとして認め合える職場づくりを目指しています。
- 役立つ情報やつながりを届けること
障がいのある社員や障がいを持つご家族がいる社員が働きやすくなるように、知っておくと助かる情報やリソースを紹介しています。
- テクノロジーや制度を活用すること
アプリ開発やツールの活用、物理的な設備や制度の整備を通じて、日々の働きやすさを高めています。
障がいの幅広さとCDANの支援対象
竹内:
障がいといっても幅広くて、CDANではまず身体障がいや視覚・聴覚障がい、精神障がいといった支援から取り組み始めました。
最近では、「Neurodiversity(神経多様性)」 と呼ばれる分野にも力を入れています。これは ASD(自閉スペクトラム症)やADHD (注意欠如・多動症)、LD(学習障がい)など、脳の情報処理の特性によって得意・苦手が分かれる違いを「多様性」として活かしていこうという考え方です。
ダイバーシティとニューロダイバーシティの違いとは? と聞かれることがありますが、簡単に言うと:
- ダイバーシティ(多様性) は、体や感覚、心の状態などで生活や働くうえでサポートが必要な状態のこと。
- ニューロダイバーシティ(神経多様性) は、脳の働き方の違いによる得意・苦手がある状態で、その特性を強みに変えていこうという考え方。
どちらも「誰もが自分らしく力を発揮できる職場づくり」にとって大事なテーマであり、CDANでは両方を支援対象にしています。
印象に残っている活動

竹内:
印象に残っている活動のひとつが、認定NPO法人 東京盲ろう者友の会の皆さんと一緒に行った盲ろう体験イベントです。
このイベントで教えていただいた「指点字」というコミュニケーション方法は、相手の指先に触れて文字を伝える方法で、その繊細さと技術の素晴らしさに感動しました。
さらに心に残っているのが、指点字を教えてくださった理事長の藤鹿 一之さんのお話です。藤鹿さんは、「指点字と出会ったことで、自分の声で人とつながれるようになった」と話してくださいました。藤鹿さんの明るく前向きな姿勢、そして指点字を通じて築かれる人と人との信頼関係の温かさに深く心を打たれました。

参考:指点字とは
それぞれの指が特定の点の位置を表しており、相手の指にタッチするだけで言葉のやりとりができる、非常に繊細で温かみのあるコミュニケーションです。
盲ろうの方々にとって大切なコミュニケーション手段の一つです。
点字は「6つの点(2列×3行)」で構成されていますが、この6点を6本の指に割り当てて、相手の手の甲に軽く触れて打つことで文字を伝える方法です。
この体験を通じて、 “伝える手段があれば、人は誰とでもつながることができる”——そんな当たり前で大切なことを〜」改めて学びましたし、私たちももっと「伝える・知る機会」をつくっていきたいと感じるきっかけになりました。
柴崎:
私は、ファミリーデー(社員の家族向けイベント)で実施した子ども向け手話教室が印象に残っています。
この活動を通じて改めて感じたのは、幼いうちから障がいを知り、理解することの大切さです。小さい頃から障がいや多様なコミュニケーション方法に触れておくことは、将来どんな立場になっても、相手を理解しようとする姿勢につながると思っています。
この手話教室を通じて、私自身も「伝える手段を知ることの大切さ」や「小さな学びが社会を変えていく力になる」ということを改めて実感しました。こうした機会をこれからも増やし、誰もが自然に助け合えるカルチャーを広げていきたいと思っています。

社員からのフィードバック
柴崎:
CDANの活動を通じて、発達障がいのある社員の方から「これまでカミングアウトする勇気がなかったけれど、オープンにすることで周囲に良い影響を与えられることに気づいた」という声をいただいたことがありました。この言葉を聞いたとき、「環境やカルチャーが整うことで、一歩踏み出す勇気につながる」ということを改めて実感しました。
竹内:
「障がいについて知る機会がなかったので勉強になった」「職場でのコミュニケーションの参考になった」という声が多く寄せられています。障がいについて学ぶことは、身近な同僚や家族との接し方を見つめ直すきっかけにもなるんだなと感じています。 特に恒例イベントのガイドドッグ体験には多くの方から「アイマスクして歩く恐怖とガイドドッグからの力強いリードは世界観が変わる」との声が寄せられていますので、是非次回に参加して下さい。
CDANで目指すところ
柴崎:
障がいについて知ることは、相手を理解しようとする姿勢を育てる第一歩です。私自身、CDANの活動を通じて学び続けていますし、この学びを多くの社員の皆さんと共有していきたいと考えています。
竹内:
CDANが目指しているのは、障がいの有無に関わらず、誰もがやりがいを持って働ける職場をつくることです。
シスコにはリモートワークの文化やWebexのスクリプト機能の活用など、テクノロジーを使って働きやすくする環境が整っています。また、視覚に障害がある社員が業務管理を行いやすくするためのアプリを有志の社員が開発したこともあり、こうした取り組みは**「お互いを理解し、支え合う空気をつくるカルチャー」**にもつながっていると感じています。
そして、そのカルチャーをさらに広げていくためには、障がいについて知り、理解するための啓蒙活動を続けていくことが非常に重要だと思っています。
最後に
CDANでは、今後も「知る機会」「つながる機会」「学ぶ機会」を大切にしながら、誰もが力を発揮できる職場づくりを進めていきます。