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ビデオ会議システムからさまざまな会議サービスに接続するための設定方法


2024年3月15日


お手持ちのビデオ会議デバイスがすごく進化するかも?

あなたの会社のビデオ会議デバイスから Web 会議サービスに参加できますか?

オフィスから Web 会議に参加する場合、皆さんは PC やモバイルから参加されますか?自宅からリモートワークするご経験がある方が多い昨今かとは思いますが、その延長線上で自分の PC などから参加することが自然な流れだとお考えの方も多いかとは思います。

私の場合はオフィスから会議に参加する場合はたとえ一人であってもビデオ会議デバイスがあるスペースを探し、そこから参加しています。理由はいろいろありますが、大きな理由の一つは専用のデバイスを利用する方がコミュニケーションをするという作業を快適かつ効率的にできると感じるからです。(これらのメリットはまた別の機会でご紹介できたらと思っています。)なお、私のようなビデオ会議デバイスの営業を行う立場ではない一般の営業担当やマーケティング、サポートの同僚たちも同じように競ってデバイスを確保しにいくので案外競争が厳しいです。。

さて、このようなデバイスから会議に参加しようとする場合、すこし型式が古いデバイス(「ビデオ会議端末」「テレビ会議端末」などと呼ばれますよね)では Webex や Microsoft Teams のような比較的新しい Web やアプリを利用する会議サービスへの接続ができないというケースが多いかもしれません。そういった場合はむしろ必要性がなくなったとお考えに至ってしまうケースをたまにお見かけします。実に勿体無いのですが。。最新型のモデルの中にはいくつかの会議サービスには接続できるものがありますが、予算取るの大変だなということで PC やタブレットで済ませてしまっているという現場対応になっているようでした。

また、法人のオフィスの設備として考えた場合は、最新型ではないけれども、まだ比較的新しいので経済的または税制上の事情などですぐには買い換えられないというお悩みについてご相談を受けることも多くなっております。最近はお手頃な価格の製品もありますのでご紹介しておりますが、とはいえ、一方では取引先やお客様との会議を行う場合にはそういったいろんなサービスに接続が今すぐに求められることが多いですよね? 社内の会議であれば IT 部門などから提供される会議サービスだけを使えば良いのですが、現実にはそれだけであらゆる会議を実施するということは叶わないことが多くなっています。このお話をすると、IT 部門の方も、実際にエンドユーザとしてオフィスで働かれている事業部門の方々は「我々も同じ状況にいます」とおっしゃいます。

 

お持ちの会議デバイスからすぐに MS Teams や Zoom などに接続できるかも?

もし、これをお読みなられている皆様が Cisco ブランドまたは Webex ブランドの比較的新しい製品(2017 以降ぐらいに発売されたものなど)がオフィスにある場合は、さまざまな会議サービスに接続できるようになります。

以下の写真は画面に Webex、Microsoft Teams、Google Meet、Zoom Meeting に簡単に接続する丸いボタンが表示されたデバイスです。このボタンを押して、会議の番号などを入力するだけですぐに参加できるというものです。(あるいは、会議の予約する場合にこのデバイスを参加者として設定されている場合は、左側に会議のリストが表示されているところの緑のボタンを押すだけで会議番号の入力することなくすぐに会議に参加できてしまうのです。)

 

Room シリーズ(Room Kit や Room 55 など)、Desk シリーズ、Board シリーズなどであれば、後ほど説明いたします簡単な設定変更でこのボタンを利用していろんなサービスに接続できるより便利なデバイスへと進化してしまいます。

 

ビデオ会議デバイスは実はすごく進化していました?!

ビデオ会議デバイスといえば、昔は非常に高価で、さらに社内に設置された会議デバイスとしか接続できませんでした。このようないわゆるレガシーなデバイスは、Webex や Microsoft Teams への接続などまったくできません。(少し懐かしいですが、Skype for Business などには接続できる場合がありましたね。)さらに会議デバイスのための高価なオンプレミスのサーバも必須でした。

しかし、2010 年代前半ぐらいから Webex への接続が可能になりました。

さらに、2015 年から会議デバイスはオンプレミスのサーバは必須ではなくなり(ただし、研究開発部門や役員会議など秘匿性の高さが重要なケースでは積極的に維持されているケースはまだまだ多くあります)、ビデオ会議デバイスはより近代的なスペックを備えるようになり、クラウドで管理できるようになりました。

現在の最新のデバイス(2017 年以降の Room シリーズなど)は高性能な GPU 並みの計算機性能が組み込まれているために内部のハードウェアの性能が非常に高く、より多くの会議サービスに接続できる機能が追加されました。発売当初はそのような機能を全て備えていたわけではないのですが、開発チームが新しい需要がでてきたことを理解し、デバイス内部の性能的な余地を限界まで活用して機能を拡張してきました。また、Webex クラウドの機能拡張もデバイスの機能拡張に大きく寄与しています。デバイスとクラウド、そしてデバイスのソフトウェア(Room OS)の全ての要素を一緒に開発しているためにできたことなのです。レガシーなデバイスを知っている身からしますと、発売当初とはもはや別物になってしまっている感もありますね。会議デバイスはハードウェア製品という見方もありますが、アーキテクチャが進化しており、ソフトウェアによる進化をする余地が大きくなっていたのです。

 

会議デバイスを進化させていく設定のやり方

今回は、これより具体的な設定手順とともに会議デバイスを MS Teams 会議に接続できるようにする方法をご紹介いたしますので、皆様も是非チャレンジをしてみてください。もし、ご自身で設定変更することに不安のある方は製品の販売店や弊社担当営業チームなどにご相談ください。お客様のネットワーク環境やご利用方法(エンドユーザの方々に配布されているマニュアルなど)を加味してアドバイスなどができると思います。

必要なもの:

  • Room シリーズ、Desk シリーズ、Board シリーズなどの会議デバイス(Room OS がインストールされていること)
  • Webex クラウドの Web 管理画面へのアクセス
  • 設定変更をしようとしている会議デバイスの情報(IP アドレス、ユーザ名、パスワード)
  • ファイアウォール(さらに、場合によっては Web プロキシー)の設定変更

なお、お手持ちの会議デバイスはおそらく既存のサーバに登録されているか、あるいはスタンドアローンで動作していると思いますが、その前提でご説明をしていきます。すでにオンプレミスのサーバなどがなく、Webex クラウドに登録が完了している場合は、下記の設定の多部分をスキップできます。その場合は残りの設定作業のところだけとなりますので、こちらのステップへ進んでください。

既存のオンプレミスサーバ(ほとんどの場合 Cisco Expressway という製品や Cisco Unified Communications Manager という製品となります)を通じた内線通話などには影響は出ません。ただし、Zoom 会議との接続は場合によってはオンプレミスサーバシステム管理者によってサーバ上で制限が課されているかもしれません。その場合はシステム管理者にご相談ください。(基本的には追加投資など必要なく設定変更で解決できるはずです。)

今回の設定には Webex クラウドのテナント(Webex ではテナントに相当するものを「組織」と表現します)を管理する Web の管理ポータルである Webex Control Hub へのアクセスが必要となります。(全ての権限は必要なく、デバイスの設定のみに制限された管理者ユーザでも大丈夫です。)https://admin.webex.com にアクセスし、Webex Device Conenctor というアプリをダウンロードしていきます。

大まかな流れを図にしました。それぞれ順番にご説明します。

 

1. Webex Control HubからWebex Device Connector アプリ(無償)をダウンロード、インストールする

会議デバイスの会議サービスに接続するというこの新しい機能拡張は端末のソフトウェアの拡張だけではなく、Webex クラウドの機能拡張にも依存しています。会議デバイスと Webex クラウドが協調して各会議サービスへの接続を実現いたします。会議デバイスが Webex クラウドと強調をするためにデバイスをクラウドに「登録」する必要があります。登録されることで、デバイスは今回のような新機能を得られるばかりではなく、会議デバイスが何時ごろに何人ぐらいで利用されていたのか(あるいはあまり利用されない時間帯が何時ごろであったのか)というようなモニタリングをするような各種新機能が得られたりもします。たとえば、ネットワークケーブルやマイクが抜かれてしまったということをすぐにデバイスから通知させるようなこともできたりします。

まず最初のステップとして、クラウドに登録するためのツールであるアプリをダウンロードし、PC などにインストールをします。

Control Hub にログイン後、左側デバイスタブの右上リソースタブ、そしてツールにある [Cisco Webex Device Connector] からダウンロードボタンを押すことでダウンロードが始まります。ダウンロードが終わりましたら、Windows または Mac にインストールして起動してください。

 

2. 設定変更対象となる会議デバイスの情報をまとめる

お手持ちのデバイスのうち、設定変更を行いたいものを決定されましたら、それらのIPアドレス(アクセス可能であればホスト名などでも OK です)、端末の設定変更画面へアクセスする際に利用するユーザ名とパスワードを CSV 形式のファイルとしてまとめてください。

テキストエディタやスプレッドシートアプリケーションなどで上記のような CSV ファイルを生成してください。一行目には ‘Address’, ‘Username’, ‘Password’ の列名を書き、二行目以降は各デバイスの情報を書いて保存してください。

 

3. Webex Device Connector アプリを使い始める

アプリ初回起動後はWebexの管理ポータル Webex Control Hub へのサインインが可能なユーザとしてのサインインが必要となります。

サインインに成功すると以下のようなホーム画面が表示されますので、真ん中を選択します。

4. CSV ファイルをアプリにインポートする

次に、先ほど作成したCSVファイルを選択してインポートします

[Link devices using CSV or Cisco TMS Overview Export files] のリンクをクリックし、CSV ファイルを選択します。

 

5. アプリからデバイスの設定変更を行う

CSV の書式に問題がなければ、次の画面に進み、アプリは CSV 内に記述されている各デバイスのアドレスに HTTPS で接続を行います。アドレス、ユーザ名、パスワードに間違いがなく、アプリをインストールしたコンピュータから会議デバイスへのネットワーク疎通に問題がなければ、アプリはデバイスの設定を変更し、Webex クラウドと通信をし、デバイスを次々と登録していきます。登録済みのデバイスは [Ready to link] というステータスとなります。もし、Linked となっている場合はすでに誰かによって Webex クラウドへの登録が完了しています。その他のステータスの場合は CSV の内容が間違っていたり、デバイス側に何らかの問題がある(ソフトウェアのバージョンが古すぎるなど)可能性が高いため、システム管理者やテクニカルサポート窓口 (Cisco TAC)などへご相談ください。

6. 会議デバイスをクラウドに登録する

登録を完了する場合は、[Link All] またはデバイス毎に [Link] を押してください。

なお、Webex クラウドへの登録を実行する場合、デバイスは Webex クラウドと通信を行います。そのためにはネットワーク(ファイアウォールやプロキシー)の設定変更が完了している必要があります。

ネットワークの要件は Webex のヘルプにて公開されています。

ネットワーク設定:

    • プロキシー(Proxy)でドメインを制限される場合は、「Cisco Webex サービス URL」という表内の「これらのドメイン/URL を使用した Webex アプリとデバイス」列において「すべて」または「Webex Room Kit および Cisco ビデオ デバイス」と書かれている行に書かれているドメインについて許可をしてください。なお、TLSのインスペクションは無効としてください。(もし TLS のインスペクションを無効に出来ない場合はご相談ください。PC などと同様に対策することは可能です。)
    • ファイアウォールで許可すべきトラフィックは「Webex サービス – ポート番号とプロトコル」表に記載されています。「ルールを使用するデバイス」列において「すべて」または「Cisco ビデオデバイス」と書かれている行のプロトコルとポート番号につきまして、内側からInternet方向への接続を許可してください。なおポート番号 9000 番と 5004 番につきましては「メディアサービスのIPサブネット」表に記載のあるサブネットだけに制限することも可能です。

 

7. Control Hub で MS Teams や Google などのサービスへの接続に必要な設定を行う

ヘルプの記事はこちらです

会議デバイスから各種会議サービスに接続する際に Webex クラウドがデバイスの処理を支援をする機能を提供してします。Webex Control Hub でこの機能が有効になっているか確認をする必要があります。[デバイス]タブの[設定]を選択肢、「ミーティングプロバイダー」で利用するサービスについて有効化してください。

デバイスが複数あり、そのうち特定のものだけを有効にしたいという場合は、デバイス毎に WebRTC 接続を有効化または無効化することも可能です。

有効化したいデバイスを Control Hub の[デバイス]タブの一覧から探し、[構成]の[全ての構成]を選択します。検索欄で「Join Microsoft Teams Direct Guest Join」を検索してください。設定値が「Auto」とします。

Control Hub では複数のデバイスを一括して設定変更することも可能です。(デバイスの一覧画面で対象となるものにチェックをつけて[編集]ボタンを押します。)

もし上記の設定を行なっても端末のタッチパネル画面に希望する会議サービスのアイコンが表示されない場合は、こちらの記事を参考にして Web エンジン(Web Engine)機能が無効化されていないかご確認ください。以下のように[WebEngine]の[Mode]が「Off」となっているとWebエンジンが無効となり、WebRTC を利用するための Web ブラウザ機能が無効化されてしまっていますので、「On」としてください。(PC やタブレットのように利用者が Web ブラウザを利用することはできませんので、ユーザが勝手に Web にアクセスできてしまうというご心配は不要です。)

上記で接続用のアイコンは表示されるはずです。

もし、アイコンを押した時に会議に接続できずに黒い画面になる(音声も聞こえない)という場合は前述のネットワーク要件に必要な設定が完了しておらず、ビデオや音声といったメディアのデータが正しく送受信できていない場合があります。(大体の場合はこのケースが多いと思います。)その場合はファイアウォールなどの設定変更を見直していただく必要があります。

ただ、場合によっては諸事情によりメディアの送受信もプロキシー(Proxy)を通じて行う必要がある場合があります。(昨今ではそのようなケースは少なくなってきておりますが、事業所の場所やセキュリティ上の都合でそうせざるを得ないといったようなケースです。)その場合はメディアの送受信もProxyを通じて行うことを許可する設定もございます。[全ての構成]から[Http Proxy For Media Mode]をデフォルトの「Off」から「On」へと変更してみてください。(ただし、Proxyを通じたメディアの送受信は品質が著しく低下いたしますので、せっかくコストをお支払いされて会議デバイスを購入してご利用されておられるかと思いますので、Proxy を経由せずに高品質な映像と音声をご活用されることをお勧めいたします。会議の中でのコミュニーケーションという作業の効率化が上がり、きっとそれだけの価値をお感じになられると思います。)

 

より高品質な接続方法もございます

今回ご紹介した接続方式は WebRTC という、Web ブラウザ上で会議やチャットをリアルタイムで実現するテクノロジーを利用したものです。Room シリーズや Board シリーズなどの機種は Web ブラウザを内部で動作させることができるため、内蔵のブラウザで WebRTC 方式で各種会議(WebRTCに対応したサービスについてのみ)に接続することができます。

Webex では Video Integration for Microsoft Teams (VIMT)という名称のサービスを有償でご提供しております。

この方式以外にも違うものがあり、例えば Microsoft Teams 会議であれば CVI (Cloud Video Interop / クラウドビデオ相互運用性)があります。品質の面ではこちらの方がより高品質でありおすすめです。役員会議や開発に関する会議、営業戦略会議など重要な会議であればより明瞭な映像や音声によって違いが体感でき、意思疎通がよりスムーズになります。(こういうシチュエーションでは声や表情で微妙な機微を見つけていくことって重要ですよね。。)

 

最近はこの機能の有効化方法についてのお問い合わせがお客様とのやり取りの中で多かったのでご紹介いたしました。ぜひお試しいただけますと幸いです。

また、Control Hub の分析機能やトラブルシューティング機能で  WebRTC 方式で接続した会議の品質などもチェックできるようになりました。どの会議の、どの時間帯で、どういった理由で品質が良かったのかあるいは悪かったのかということが細かく確認できるようになっていますので、そちらも併せてご活用ください。(また別の機会で細かくご案内いたしますね。)

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