シスコジャパン カスタマーエクスペリエンス( CX )部門では 2023 年 8 月から 9 月にかけて CE(Consulting Engineer)職と TCE(Technical Consulting Engineer)職のインターンシップを実施し、実際の業務に近い仕事と、シスコおよび CX 部門の文化・環境を体感していただきました。前回は CE 職についてご紹介しましたが、今回は、TCE 職のインターンシッププログラムの概要と、参加していただいた学生 10 名のみなさんの中から代表して 4 名方々にの感想をお伺いしました。
TCE 職インターンシッププログラム概要
TCE 職は、顧客企業やパートナー(協力会社)で解決できない高度な技術的問題の調査とソリューションの提供など、主に運用フェーズに特化したトラブルシューティングのサポートを行っています。エンタープライズ、サービスプロバイダ、セキュリティ、データセンター、コラボレーションといった各テクノロジーについての深い知識・技術力を元に、問題の解決へ取り組みます。
今回の TCE 職インターンシッププログラムは、次の 2 つのコンセプトで実施しました。
1. 技術を身に付け、実際のトラブルシューティングを体験
トレーニングを受講して各種技術を学び、実際のトラブルシューティング業務における調査の過程を体験していただきました。
2. シスコ(CX Center)の業務内容/文化/環境を理解する
現場の第一線で活躍する TCE のエンジニアとの交流や社内イベントに参加してもらい、シスコおよび CX Center チームのカルチャーや環境を体感いただきました。
今回 TCE 職インターンシップについてインタビューにお応えいただいた 4 名
高橋正弥さん
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻
高専の電気電子工学専攻を修了後、大学院へ進学。現在はショウジョウバエを使った脳神経科学の研究を行っている。
吉村海輝さん
早稲田大学大学院 先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻
機械学習において、一般的なコンピュータによる数値計算よりも高速・低消費電力となる、物理デバイスを用いたリザバーコンピューティングの研究に取り組んでいる。
荒木羅衣也さん
立命館大学大学院 情報理工学研究科 情報理工学専攻 計算機科学コース
デジタルデータに資産価値を付与する NFT を、メタバース空間や、IoT デバイスを通じて、現実空間でも利用可能にする研究を行っている。
森孝介さん
京都大学 工学部 物理工学科 航空宇宙工学コース
IT のバックグラウンドはほとんどないが、生涯にわたって多くの人の役に立てる分野としてネットワークに興味を持ち始めた。
シスコのインターンシップに参加した経緯と、TCE 職を選んだ理由を教えてください。
高橋正弥さん(以下、高橋):高専での専攻は電気でしたが、たまたま寮でネットワークの管理者になったのがきっかけで、新設の寮や学内でネットワーク作業のプロジェクトに関わるようになりました。シスコの認定資格である CCNA の講習会が学内であり、来校していたシスコ社員の方と話す中でインターンがあるのを知って応募しました。TCE 職を選んだのは、ネットワーク管理をしていてトラブルシューティングが好きだったからです。
吉村海輝さん(以下、吉村):応募した理由は大きく 2 点あります。一点目は元々シスコに憧れがあったからです。ネットワーク業界の世界トップであり、「働きがいのある会社」ランキングで 1 位になったこともあるなど、シスコは内部からも外部からも評価が高いです。そのような企業でエンジニアとして働いてみたいと思っていました。もう一点はインターンの期間です。長いインターンでも 10 日程度しかない企業が多い中、シスコは 2 カ月間もあるので、技術面でも経験面でも成長につながると思いました。TCE 職の魅力は、お客様をサポートして課題を解決するところにあります。学部時代に活動が低迷していた天文サークルで副代表として 100 人近くにヒアリングを行い、さまざまな課題を解決して再興させた経験から、課題解決するような職に就きたいと思っていたため、TCE 職を選びました。
荒木羅衣也さん(以下、荒木):ネットワークにはかなり以前から興味があり、所属する研究室もネットワークをテーマにしています。ネットワーク関連の技術力が世界一だと思っているシスコの新卒採用も当然ながら気になっていたので、今回インターンに応募しました。TCE 職を選んだのは、日頃からネットワークの技術的なトラブルを解決していて、他の研究室のトラブルまで相談に乗るほどに楽しさを感じているからです。
森孝介さん(以下、森): 将来やりたいこと、好きなこと、得意なこと、この 3 つが重なっているのがシスコで、そういった企業でぜひ働いてみたいと思いインターンシップに応募しました。1 つのことに集中したい性格なので、技術にどっぷり浸かれそうな TCE 職を選びました。
インターンシップでは、どのような業務を行いましたか?その感想も教えてください。
高橋:最初の 5 日間は TCE 職のインターンシップに参加した 10 名全員でネットワーク、Linux、VMware などの基礎や、問い合わせや対応を管理するサービスリクエスト(SR)ツールの使い方を学びました。その後は 5 つのチームに分かれ、より専門的な内容を経験しました。
私が配属された XR チームは、「 Cisco IOS XR 」という OS を使用したハイエンドルーターを担当しており、お客様は大手通信企業が中心です。8 月はメンターの方がお客様役となり、テスト環境の SR を使って対応を経験しました。例えば「アップデートに失敗してしまった」「ルーティングを変更したがうまく動かない」といった問い合わせに対し、ドキュメントや事例を調べて回答したり、同じ環境をラボのシミュレーターで再現して解決に導いたりします。そして 9 月からは、実際に本当のお客様に対応します。メンターの方が教えてくれたりヒントを出してくれたりとサポートも受けつつ、なんとか解決できました。
実は、XR チームは第二希望でした。ネットワークに詳しいわけではなかったので、高専時代に触ったことのあるような、身近なルーターの担当を第一希望にしたのです。しかし、ハイエンドのルーターを何台も並べて管理する非常に貴重な経験ができたので、結果的にはよかったですね。
吉村:私はコラボレーションチーム内のオンプレチームで、IP フォンの電話機や Cisco Jabber(通話やチャットができるアプリ)のサポートを担当しました。実際のお客様対応では、一般企業や行政機関を支援するパートナー企業のエンジニアさんを相手にするのですが、ある程度の知識を持っている方々ですので、シスコ内にしかないような情報に関する質問もされました。とはいえ、高度な技術知識が求められるわけではありませんし、その日のうちに解決しなければならないような緊急度の高いケースもなかったので、なんとか対応できました。ドキュメントを調べる能力が身に付き、技術の勉強にもなってよかったです。
荒木:自宅でネットワークを構築しているのですが、法人向けソリューションにも興味を持ったので、DCC(データセンターコンピュート)チームを希望しました。さまざまな製品をサポートするチームで、基本的にはシスコ製のサーバー、ネットワークの仮想化技術、それら全体を統括できるクラウド運用管理プラットフォームの 3 つが柱です。このインターンでは基礎であるシスコ製サーバーの部分を一番深掘りしながら、対象を他にも広げて勉強できました。サーバーを立てて環境を再現してトラブルシューティングする中で、Linux やネットワークを改めて学べました。普段触れている機器では身に付かないような専門的な知識や考え方を理解できたのもよい経験でしたね。
森:シスコに興味を持ってから少しネットワークの勉強をしていて、一番熱中したのがルーティングだったので、ルーター SD-WAN チームを第一希望にしました。自分の知識が足りなくて対応に時間がかかってしまいましたが、お客様の不具合を直していく過程が謎解きのようで、深掘りしていくのが楽しかったです。
今回のインターンはリモートワークで実施しましたが、問題なく業務ができましたか?
荒木:別の会社のインターンもフルリモートで経験しているからかもしれませんが、何の不自由もなく、働きやすかったです。
吉村:メンターの方がチャットですぐに返信してくれたり Webex でミーティングを開いたりしてくださったので、ほとんどオフラインの環境と変わらなかったと思います。
インターン中には社員と交流する機会も設けましたが、いかがでしたか?
吉村:10 名程度の方と 1on1 を設けていただき、そのうち 2 名はテクニカルリーダーで、自分の好きな技術の話で盛り上がりました。今後この技術はどうなっていくのか、どのようにシスコへ取り入れられていくのか、といった話をできたのが楽しかったです。もし入社した場合にも、こうしたコミュニケーションを通して成長できそうだと感じました。JapanTAC(テクニカル アシスタンス センター)のトップの方ともお話ししたのですが、物腰が柔らかくて話しやすく、さらに後日の交流会で覚えていてくださったことがとても嬉しく、印象に残っています。
森:1on1 でお会いしたマネージャークラスの方は、話の目線を合わせてよい雰囲気を作ってくださいました。また、入社 3 年目の方々と接する機会もあり、技術が好きで、習得したことをお客様に還元しようとする意識を持った方々が多かったです。
オフィスツアーも実施しましたが、どのような印象を持ちましたか?
高橋:通常の執務は 25 階ですが、そこだけでなく他のフロアやお客様向けの展示スペースも見学しました。ラボには検証環境の機械が集約されていて圧巻でした。
荒木:非常にクリーンでかっこよかったですね。お客様向けの場所と社員だけが入れる場所では雰囲気が異なり、社員にはゆったりとした働きやすい環境が用意されていました。
インターンと学業を両立する上で、困難はありませんでしたか?
吉村:平日昼間はインターン、夜と土日を 9 月下旬の学会に向けた研究に充てていたので、プライベートの時間がほとんどなくて大変ではありましたが、インターンの残業などはなかったので、しっかり睡眠時間を確保した上で両立できました。
高橋:普段はショウジョウバエを使った研究をしているので、餌を作ったり引っ越しさせたりといったルーチンワークが必要なのですが、教授にインターンのことを相談して、期間中はルーチンワークを免除していただきました。
最後にインターンシップ全体の感想を教えてください。
高橋:実機を何台も使いながら触ったことのない技術を勉強させてもらえたこと、1on1 などを通していろいろな方と会えたこと、そして「もしシスコに入社したら」という実感がとても湧いてきたことがよかったです。聞くだけと、実際に中に入って自ら仕事をしてみるのとでは、その企業に対しての印象や理解度がまったく異なりますね。人から聞いた情報だけだとイメージがピンボケした感じでしたが、今ははっきりとしています。
吉村:端的にまとめると、本当に充実した 2 カ月間で、参加して本当によかったと思っています。今後の就職活動の参考にもなりそうです。
森:吉村さんと同じく、とても充実した 2 カ月間だったなと思います。「シスコで働く」とはどういったことかを知ることができました。
荒木:すごく充実した毎日でした。インターンを通して入社後をイメージできましたし、噂に聞いていたように素晴らしい会社だなと感じました。また、シスコ製品だけでなく、広くサーバーやネットワークの技術と知識を得る機会をいただけたこともよかったです。そして TCE 職は、目の前の問い合わせへの対処にとどまらず、より広いお客様の課題解決に焦点を当ててお仕事をされているということを、インターンを通して実感できました。
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前編後編と 2 回にわたりお届けしてきたインターンシップ体験記はいかがでしたでしょうか。今回参加いただいた 14 名のインターン生の皆さん、約 2 か月間本当にありがとうございました。