Cisco IP Fabric for Media – シスコ 5G ショーケースで実施可能なデモ

日本だけでなく、世界の放送業界は大きな変化の中になります。それはビジネス的にも、また技術的にもです。放送業界においては、「放送のIP化」という流れが世界的に起きており、旧来の SDI (Serial Digital Interface) から IP ネットワークへと進化しようとしています。

シスコでは、ネットワークスイッチである Nexus 9000 シリーズと、その制御用ソフトウェアである NDFC (Nexus Dashboard Fabric Controller)からなる放送専用ソリューションであるIPFM (IP Fabric for Media) を開発しました。このソリューションは、2021年の東京オリンピックを皮切りにした “All IP 放送”を始め、多くの放送局やスポーツ、ライブなどのエンターテイメント環境で利用されています。

東京オリンピックの事例はこちら

今回のブログでは、この IPFM と各種放送機器、また 5G を組み合わせて作った Cisco 5G Media Showcase (5GMSC) の中身について、何ができるのか、どのような構成になっているのかをお伝えします。

放送の IP 化に伴う課題

弊社で放送局向けに行ったアンケート結果をご覧ください(複数回答可です)。

放送の IP 化とは、今まで放送に携わる方がほとんど触れてこなかったであろう IP という技術、つまり IP ネットワークを導入することに他なりません。正しい IP ネットワークを作ることは専任プロの仕事であり、決して簡単なことではありません。実際、いくつもの課題を感じていることがアンケート結果から推察できます。

5GMSC 構成図

5GMSC は論より証拠、習うより慣れろの精神で、お客様が直接 IP ネットワークに触れ、体感していただくことで IP 化の一助となることを目的として設立されました。例えば放送におけるネットワークの作り方、要素技術などの座学を提供したり、実際に導入される予定の機材を持ち込んだ試験やデモなど多くのメニューをご用意しています。詳細については、別の機会にご紹介したいと思います。

では、5GMSCの構成図をご覧ください。

 

本環境はスタジオサブをイメージして作られており、商用レベルの IP ネットワーク構成に加え、各種放送端末、ソフトウェアでの制御、ローカル 5G や ISP を利用したリモートプロダクション、クラウドベースの配信システムなどを取り揃えています

5GMSC の特長

この5GMSCの特長を簡単にご紹介します。

1. マルチベンダー

この環境では放送端末はマルチベンダーで構成されており、カメラ、スイッチャ、SDI-IP ゲートウェイなどを合わせて現在 10 社の製品を揃えています。

各社製品の IP の実装レベルや運用性、性能、相互接続性などを体感できます。

2. リモートプロダクション

ローカル5G と ISP を使ったリモートプロダクションをご覧いただけます。ISP を使ったリモートプロダクションでは、シスコの大阪オフィスと接続し、5GMSC(東京)から映像を見るだけでなく、Pan/Tilt/Zoom の制御も可能になっています。

5G や ISP でかかる遅延や、回線の品質、PTZ の操作感などが体感できます。

3. クラウド

スタジオサブ内に閉じた通信をするだけではなく、その通信をクラウドまで運び、インターネットを介して来場者の携帯やパソコンにリアルタイムで配信することができます。

End-to-End の IP 通信を体感し、現実的なクラウドの利用方法などをお伝えできるようになっています。

4. ST-2110

局内通信は ST-2110 で行っています。すべての端末が非圧縮のマルチキャストで通信をしており、IP ネットワークの動作やデザインのポイント、運用方法、トラブルを擬似的に起こすといったことができます。なお、リモートプロダクションの通信は SRT を利用しています。

5. NMOS

5GMSC はマルチベンダーで構成されていることもあり、NMOS での運用が肝心になります。この環境では、NMOS を通じて IS-04 と IS-05 の運用を体験できます。

6. ソフトウェア制御

複数の放送メーカーから提供されているブロードキャストコントローラーと、IP ネットワークを制御するための Cisco NDFC や局外の遅延や可視性を高めるための Cisco ThousandEyes、先述の NMOS など、多くのソフトウェアを通じて管理や運用ができる環境にしています。

これらを通じて、CLI ベースでの運用と、ソフトウェアベースでの運用の違いや、現実の運用に耐えられるレベルの製品なのかどうかなど見極めることができるようになっています。

7. 測定器

放送のネットワークの大きな要件の1つが遅延です。更にいえば、遅延の偏差(ばらつき)がとても大切になりますが、その遅延の測定を行うためには専用の測定器が必要であり、5GMSC ではそれらも揃えています。また、リモートプロダクションの試験などで必要になる遅延を入れるための測定器などもあります。5GMSC ではネットワーク機器のみならず、ゲートウェイも含めて定量的にその性能を測ることが可能です。

8. 端末数

5GMSC の環境では、IP 製品に加えて多種多様な放送製品をご用意しています。現在では 80 を超える機器が設置されており、多くの試験パターンや、単純なデモ環境ではなく商用環境に近い構成で試験を行うことができます。

5GMSCをご利用ください

本環境は無償で利用することが可能です。今後も多くの放送ベンダーの参加と最新技術への対応を行っていきますので、ぜひ多くの方々に来ていただきたいと思っています。

利用にあたっては、御社の担当営業までご連絡をいただくか、以下までご連絡ください。

お問い合わせ先:5gsc_yoyaku@cisco.com

シスコ 5G ショーケースの詳細はこちら:
www.cisco.com/jp/go/5gsc

 

下川 洋平

2009年入社。 データセンターネットワーク開発本部のアジア市場における技術マーケティングを担当するプロダクトマネージャーとして活動中。 それ以前はサービスプロバイダーSEとして、Cable、Mobile Carrier、ISPのネットワークを担当しながら、インドやアメリカの開発部門で修行。日本国内のデータセンターネットワークを担当するプロダクトマネージャーを経験し、現在に至る。 データーセンターネットワークに加え、放送のIP化が専門分野。