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長距離 Wi-Fi 6 と自動接続でスタジアムのワイヤレス環境を刷新


2021年11月8日


この記事は、San Jose State University の Director of Network Services である Shai Silberman によるブログ「Reinventing Stadium Wireless with long range Wi-Fi-6 and auto-onboardingpopup_icon」(2021/9/27)の抄訳です。

サンノゼ州立大学は先ごろ、フットボールの 2021 年秋季開幕戦を迎えました。この日が近づきつつあることを踏まえ、長い間使用されていなかったスタジアム再開に向けて準備を行いました。準備の一環として、スタジアムのワイヤレスネットワークを刷新することにしました。新しい Wi-Fi 6 対応の Cisco Catalyst 9104 スタジアムアンテナを使って、約 45.72 〜 60.96 メートルの距離にあるクライアントにサービスを提供できるようにしたのです。また、短距離向けの屋外ワイヤレスアクセスポイントを、新しい Wi-Fi 6 対応の Catalyst 9124 にアップグレードしました。

屋外で使用できるメッシュ対応 Wi-Fi 6

Catalyst 9124 は非常に汎用性の高い屋外ワイヤレスアクセスポイントです。内蔵の全方向性アンテナと指向性アンテナのほか、外部アンテナと合わせて使用することも可能です。メッシュ対応機器である Catalyst 9124 は、堅牢性に優れています。ワイヤレスは、売店、チケット検査場、駐車場の入り口、ビアガーデンで使用されています。信頼性の高いメッシュ Wi-Fi を導入すれば、必要に応じて柔軟にワイヤレスを拡張できます。要件はイベントごとに変わるため、柔軟性は重要です。

もう 1 つ重要なのが、Catalyst 9124 にリモート LAN ポートを設定できる点です。これにより PoE 対応カメラなどの PoE 対応デバイスを接続できるようになるため、配線や電源を追加しなくてもワイヤレスアクセスポイントの場所にカメラを追加できます。

長距離 Wi-Fi 6 を提供する Cisco Catalyst 9104

長距離 Wi-Fi 6 を提供する Cisco Catalyst 9104

 

屋外と屋内の両方のワイヤレス インフラストラクチャの制御には、IOS-XE ソフトウェアバージョン 17.6.x 以降を搭載した Cisco Catalyst 9800 ワイヤレスコントローラを使用します。17.6 は、Catalyst 9104 スタジアムアンテナ(ソフトウェアで設定可能)のサポートに必要なソフトウェアリリースの最小要件です。また、メッシュ機能を導入するうえでも 17.6 以降が必要です。

OpenRoaming がゲストアクセスのあり方を変える

大学の構内なので、学生、教員、スタッフ、大学関係の訪問者にはキャンパス (大学構内)SSID と Eduroam(大学関係者向けの国際的なワイヤレスローミングサービス) SSID があります。一方大学に所属していない観客向けには、インターネットにアクセスする際に名前と電子メールの入力が必要になるキャプティブポータルをこれまで用意していました。ですが残念なことに、ポータルへのアクセス率は低調なままでした。考えれば考えるほど、問題は観客がポータルに接続するための情報を(煩雑と考えて)入力しようとしないことにあると思われました。

そもそも無制限の LTE データプランが当たり前になっている現在、誰がわざわざキャプティブポータルにサインインしようとするでしょうか。ですが、ただ 1 度「参加する」と意思表示するだけで接続できるのであれば、もっと接続しようという気になるはずです。ここで有効なのが、OpenRoaming の概念です。OpenRoaming SSID が存在する場合、使用可能なパブリックネットワークがあることをスマートフォンやデバイスがユーザに通知して参加するかどうかを尋ねます。以前 OpenRoaming ネットワークに参加したことがある場合は、自動的に接続します。

キャプティブポータルへの依存を低減

もちろんキャプティブポータルには多くの優れた使用例があります。ただ、誰が接続しているかよく分からなくても、接続を許可するだけで同じくらい重要な情報が得られるケースもあります。十分に分析可能ですし、接続率が高くなれば分析の洞察力が大幅に向上することは、OpenRoaming でも確認されています。多くの人に接続してもらえれば、たとえば場内の売店での待ち行列を推定する、観客の通り道のパターンを把握する、トイレを所定の人数が利用したら清掃サービスを派遣するといったことが可能になります。

高機能と接続のしやすさの比較に関する自分なりの理論をテストするため、キャプティブポータル SSID に加えて OpenRoaming を有効にしてみました。その結果確認できたユーザの行動は、興味深いものでした。

  1. キャプティブポータル SSID に接続した 855 クライアントのうち、認証されたのは 20% のみでした。大半がネットワークアクセスに必要な情報を入力しなかったということです。
  2. OpenRoaming ネットワークに接続された 2600 を超えるクライアントは、すべて自動的に認証され、ネットワークを使用していました。
  3. 3400 のクライアントは、キャンパス(大学構内) SSID または Eduroam(大学関係者向けの国際的なワイヤレスローミングサービス) SSID を使用していました。

ここで私は、いくら最新の Wi-Fi 6 テクノロジーを使って優れたワイヤレス接続を提供していても、ユーザにネットワークを利用してもらいたければ、シームレスに接続できるようにしなければならないということを学んだのです。

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