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ありのままで働きたいあなたへ。LGBTQ 就活×PRIDE 対談(後編)【2021年入社新卒ブログリレー Vol.18】

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こんにちは! 2021 年度入社新卒でセクシュアル マイノリティ当事者の髙木です。
前編に続き、シスコ PRIDE の前リーダー 大崎さんをゲストに迎えた対談「LGBTQ 就活×PRIDE 対談(後編)」です。

 

B to B の企業ができること

大崎  求職者向けにシスコはフレンドリーですよとアピールする事はできるけど、ビジネスの相手として起こせるアクションのアイデアはまだないです。唯一 B to B の相手としてできたことが、東京2020大会に向けたプライドハウス東京 レガシーのスポンサー活動。オリンピック憲章に「スポンサーは SOGI に配慮した対応をしなければならない」と書いてあるんですね。それにシスコは PRIDE 活動を通して応えることができたかなと。

B to B でのニーズに関して進んでる企業は他にもあって、僕がおもしろいなと思ったのは E 社ですね。コンサルティングの会社じゃないですか。だから、お客さんとチームを立ち上げてプロジェクトを進めることがあるんですよね。プロジェクトの最初の段階で、自社側のチームに当事者がいるということをオープンにするんだそうです。そのうえで、クライアントに対して「自分の会社にもあなたの会社にも当事者はいるという前提でこれから仕事していきましょう」と伝えるんです。こういうオペレーションをやりなさいということが E 社のマニュアルに書いてあるそうです。B to B でのひとつの見せ方かなと思います。

髙木  興味深い例です。シスコでもやり方はありそうですね。

 

 

生理休暇は誰のもの?

髙木  今回の対談を機に社内規定を見直してみたのですが、生理休暇とか産休とかの文面を変えられるなら変えたいなと思いまして。「女性従業員は産後何日間は産休が取れる」とか「女性従業員は生理休暇が取れる」っていう風に書いてあったんですよ。それって単に「従業員」じゃダメなのかなって。

海外で最近話題になっている「生理や出産を経験するのは女性だけじゃない」っていう話がありまして。じゃあ誰なのかと言うと X ジェンダーだったり FtM だったり、ノンバイナリーやインターセックスの人だったり。シスジェンダーの女性に含まれない人も生理や出産を経験するかもしれないんですね。そういう人たちの権利も包括するんだったら、女性という枕詞を抜いて「従業員」と書いた方がいいんじゃないかなと思いました。そういうところから変えられたな良いなって思います。

大崎  変えましょう。たぶん簡単に変えられると思います。それは今年中の目標にしましょう。グローバル シスコとして打ち出してる基本規則が大原則ですが、シスコシステムズ合同会社っていう日本法人の規定もあって、そっちの記述内容が古いんですよ。情勢に合わせてどんどんアップデートしていかないといけないんです。

実は PRIDE で最初にやったことが就業規則の見直しだったんですね。宗教、性別、地域……。そういったことに基づいて差別的な言動をしてはいけないという文章に、セクシュアル オリエンテーションや性自認という言葉を加えました。そのときには「女性従業員」というところに気づきませんでしたね。僕が変えたときは 1 年で変えられました。

髙木  それはすごいです。

大崎  年に 2 回くらい就業規則を変えていいかという投票の機会があるんです。そのときまでに私と一緒に資料を作って提案しましょう。

髙木  絶対やります!

 

 

インクルーシブな表現を考えれば、制度の本質が見えてくる

大崎  たとえばシスコで働いていて「自分は FtM なんだけどこの権利を行使できるのかな」って不安になったとしても、人事に「これ使っていいですか」と聞いてダメだと言われることは絶対にないです。就業規則に書いてある言葉が単純に古いってだけです。人事の中にそういう古い文化が残っているっていう意味ではないです。

2019 年の東京レインボー プライドの様子

大崎  女性だけのための制度とか男性だけのための制度というものは極力排除していこうというのが最近のグローバル シスコの姿勢で。育児休暇に関しても、実子以外の子供を養育することができるというケア・ギバー制度を作ったんです。Take care しないといけない存在が必ずしも実子でない場合があります。そういうよりインクルーシブな制度を作って広めているところです。

そのうち就業規則の中の「女性従業員はこういうことができます」という文言はだんだんなくなっていくはずで。生理休暇だって、結局は単純に体調が悪いってことじゃないですか。生理休暇という枠にするのではなく、傷病休暇というものの中に含めていくっていうことをしなきゃいけないと思っています。

 

 

シスコ PRIDE のこれから

髙木  シスコ PRIDE としてこれから何ができるんでしょうか。

大崎  就業規則もそうだし、Job Rainbow の LGBT 就活イベントに参加していくということもそうだし。来年は東京レインボー プライドのパレードに出たいなと思ってます。まだコロナ前の 1 回しか参加できていないので。前回の参加者が 20 人くらいだったので、今度は 5 倍の 100 人くらいにしたいなと思います。

2019年の東京レインボー プライド パレード

2019 年の東京レインボー プライド パレード

大崎  他にも、シスコが会社として入っている保険の受取人を同性パートナーも対象にしたい。今使っている保険が同性パートナーを対象外にしていたら、契約自体を変えないといけないんですよ。最近は同性パートナーも保険金を受け取れるということを売りにしている保険会社もいっぱい出てきているので、必要があれば保険会社を変えてもいいと思ってます。

直近だと、12 月にデジタル スクール ネットワーク(DSN)を使って遠隔地の高校生にセクマイの授業をする予定です。具体的なことはこれから決めていきますが、PRIDE として協力できないかと計画中です。なんなら髙木さんに登壇してもらっても(笑)。
とにかくね、当事者のストーリーを生徒や先生に聞かせるってことが重要なんじゃないの、と DSN の担当者と話しています。コロナ禍で Webex での授業というのも相性がいいし。
高校生と年齢の近い方と話をすれば、より身近に感じてもらえるんじゃないかとね。

髙木  私でいいなら、ぜひ。

 

 

リモート就活の匿名性が当事者を救った

大崎  本当はもっといろいろとやりたいことがあったけど、この 1、2 年はコロナで制限されちゃってました。去年は Job Rainbow の LGBT 就活イベントも完全オンラインで出展しました。来年の 2 月とか就活が本格化する時期に、また合同就職説明会に参加したいと思ってます。

髙木  その Job Rainbow のオンラインでやったのは、就活生の匿名性は保たれてましたか?

大崎  うん。もう、ハンドルネームで。顔も写したい人は写して、って。

髙木  それはすごく良いですね! 今のお話を聞いて、オンラインでしかできないことってあるって確信しました。当事者の就活生の中には、匿名でありたいって人も相当数いると思います。今まで LGBT 就活イベントに行きたかったけど、現地だと顔がバレるから怖いって層が行けるようになります。

大崎  出展時も、そういう趣旨のフィードバックがありました。逆に本名を明かして採用担者と面接の話がしたいって人は、専用フォームからコンタクトを取ることができました。

髙木  今後コロナ禍を脱してオンラインにする必要がなくなっても、匿名性が担保されるオンラインの場は用意した方ががいいなって思いました。

 

 

ありのままで働きたいあなたへ

大崎  僕は当事者の若い人にシスコはすごくいい会社だよってことを言いたくて。個人的にはすごくフレンドリーな会社で、受け入れるカルチャーがあると思ってます。本当に多様な人が普通に働いているんで。だから何も心配せず入ってきてください。あなたが仕事をできるかというそこだけしか見てないんで。まあ、そういうと語弊があるんだけど(笑)。完全防御で盾を構えて入ってくる必要はなくて、自分のありのままで自然と仕事ができるすごくいい会社なので、ぜひ入ってきてください。

逆に、違う視点を持っている人が入ってこないと、会社は古い体質のまま死んでいくだけです。会社の未来にとってもよくない。だから本当に Welcome です。ぜひぜひ来てください!

 

私の「PRIDE」も、2019年のレインボー プライドから始まりました

私の「PRIDE」も、2019 年のレインボー プライドから始まりました

 

大崎さんとの対談を終えて、シスコが本気でインクルーシブな働き方をつくろうとしていることが分かりました。「あなたが仕事ができるかというそこだけしか見てないんで」と言った大崎さんの言葉は、私が就活生だったときに一番言われたかった言葉だ、と感じました。

就活時、面接官にセクマイであることを言おうか言うまいか悩み、LGBTQ フレンドリーだと公表している企業には言うことに決めました。それでも、カミングアウトしたことによって、鬱陶しい存在だ、不安因子だと思われて「落とされる」んじゃないかという考えは払拭できませんでした。そんな不安があっても、どうしても自分を偽って生きたくなかった。だから、私はシスコに出した ES にも当事者だと書きましたし、入社後も早い段階から周囲にカミングアウトしました。シスコではその事実を受け入れてもらえていると実感します。

このブログは、自分らしく働きたいあなたに読んでほしい記事です。

Authors

髙木 美沙

Technical Consulting Engineer

Japan TAC

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