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Intersight によるハイブリッドクラウド運用を解説

この記事は、Vice President Product Management である Vijay Venugopal によるブログ「Diving Deeper into Hybrid Cloud Operations with Intersight」(2021/6/2)の抄訳です。

昨年末にシスコの Kaustubh Das が、Intersight Hybrid Cloud Operations Platform に関する意欲的なビジョンを発表しました。そこで本日は、業界で最もシンプルかつスマートなクラウド運用プラットフォームの最新情報と、新しい関連サービスの詳細をお伝えします。

今やアプリケーションは、大半の企業においてデジタル業務の中核的存在です。業界を問わず、どの企業もソフトウェアやアプリケーションを販売や顧客対応に活用しているからです。しかしデジタルエクスペリエンスの質を確保するには、アプリケーションをよりスムーズに、より速く、より確実に実行できることが不可欠です。

IT 運用チームとソフトウェアチームにとって今最も重要なのはハイブリッドクラウド環境です。しかしこの環境には、データセンター、エッジ、ブランチ、コロサイトの各要素にまたがるオンプレミスインフラと、パブリッククラウド IaaS、PaaS、SaaS サービスが混在しています。さらに、コンテナやサーバレス機能などのクラウドネイティブ テクノロジーが開発者にも利用可能になり、アプリケーション アーキテクチャが劇的に変化していることも、複雑さに拍車をかけています。またハイブリッド化に並行して、ベアメタルサーバや仮想マシンで実行される従来のアプリケーションも引き続き使用されています。この状況は今後数十年にわたって続くでしょう。

こうした複雑な IT エコシステムは、アプリケーションの信頼性維持へのプレッシャーと相まって、CIO と IT 運用チームにかなりの負担となっています。これは言うならば、アプリケーションを中段なく稼働させつつ、常に適応・進化させ、最新化させるという難題です。

IT チームは、新旧双方のアプリケーションをオンプレミスとパブリッククラウドの両方でサポートする必要があります。しかしシンプルで統一された単一のプラットフォームを使用して、混在環境を分析、管理、オーケストレーションできる運用モデルはこれまで存在しませんでした。そこでシスコが開発したのが Cisco Intersight です。

Intersight の特徴は、従来のアプリケーションとクラウドネイティブのアプリケーションが稼働するハイブリッドクラウド環境の管理を簡素化できる点です。これにはアプリケーション開発者と運用チームの連携をよりスムーズにする利点もあります。音楽で例えるならば、長年不動の人気を誇るロックに加えてヘビーメタル、ヒップホップやオペラなども手元から簡単に再生できるシンプルさ、それが Intersight なのです。

クラウドは「移行先」ではなく「運用モデル」

これは Cisco Intersight の製品コンセプトです。

つまりクラウドを資産、使命、または移行先と見なすのではなく、IT サービスの中核を担う運用モデルだと捉えているのです。このコンセプトに基づき、プライベートおよびパブリッククラウドサービス向けに、俊敏で単一のクラウドネイティブ プラットフォームを開発してきました。目指したのは、インフラとワークロードの管理を自動化・簡素化し、可視化を強化できる新プラットフォームです。その結果登場した Intersight は、継続的な最適化と環境間の可視化を提供しながら、より高速なサービスを提供します。つまり、クラウドネイティブ アプリケーションの安定性と信頼性を向上させながら、既存インフラの運用にクラウドの特徴である俊敏性を活かせるのです。

さらに、オンプレミスからネットワークエッジ、データセンター、パブリッククラウドまで、広範囲の環境をハイブリッドインフラとして統合して扱い、単一のツールセットおよび運用モデルで管理できます。

Infrastructure-as-Code による DevOps の加速

ハイブリッドクラウドを自動化する運用プラットフォームにおいて、最大の目標は次世代レベルのシンプルさです。今 IT の最新化で特に注目を集めているのは DevOps です。

運用チームは開発時間を最小限に抑えるため、インフラ運用をアプリケーション CI/CD パイプラインと統合してきました。Intersight は、こうした最新の運用モデルをシームレスにサポートします。API ベースで設計されているため、あらゆるアクションを GUI または Intersight の REST API 経由で実行可能です。さらに各 API は OpenAPI フレームワークに準拠しているため、自動生成された Ansible プレイブックまたは Terraform プロバイダーから呼び出せます。

つまり Intersight は高度にプログラム可能な Infrastructure-as-Code モデルです。従来の手動によるデータセンター運用を変革し、高度に自動化されたアプリケーション導入を可能にします。結果的に開発者とアプリケーションチームにとってセルフサービスで対応できる範囲が広がり、俊敏性が劇的に向上することになります。

投資価値を提供することに主眼を置いた Intersight

Intersight はクラウドで提供される SaaS プラットフォームですが、SaaS 以外のオプションやエアギャップをご希望の場合は、オンプレミスのセルフホスト型アプライアンスとしてもご利用いただけます。

Intersight クラウド運用プラットフォームは、次のように機能します。

  1. オンプレミス&クラウド:
    1. データセンター、エッジ、ブランチ、コロケーションを真の分散型プライベートクラウドに変身させるフルスタックマルチテナント型クラウドプラットフォーム。
    2. Bare Metal-as-a-Service、Virtual Machines-as-a-Service、Kubernetes-as-a-Service, and Serverless-function-as-a-Service といった、最新の Infrastructure-as-a-Service(IaaS)(サーバレス機能のサポートは 2021 年後半に提供予定です)。
  2. ハイブリッドクラウド運用に向けた統合ツール:
    1. ハイブリッドクラウドの自動化とオーケストレーション。これには、Infrastructure-as-Code による自動化と、ローコードのワークフロー オーケストレーションも含まれます。
    2. ハイブリッドクラウドの可視性により、ベアメタル、VM、コンテナをサポートするハイブリッド クラウド ワークロードをリアルタイムで可視化・最適化できます。

Intersight の解説

では、Intersight の個々のサービスについて詳しくご紹介しましょう。

Intersight は Capabilities-as-a-Service プラットフォームとして設計されています。そのため、シングルサインオン(SSO)、ロールベース アクセス コントロール(RBAC)、共通インベントリ、および共有 API / SDK と同じバックエンドサービスを共有しています。

Intersight の提供を開始して以来、シスコは数ヵ月ごとに新しい Intersight サービスを提供してきました。Intersight のクラウドネイティブ設計やマイクロサービス、SaaS アーキテクチャ、そしてダイナミックな CI/CD 開発モデルといった特徴により、お客様の開発ペースを飛躍的に高めてきました。またすべてのお客様にアップデートが毎週、自動的に展開されます。

次に、Intersight スイートの新サービスとアップデートについてご説明します。以下の 7 種類のサービスはリリース済みか、あるいは今後数ヵ月で提供予定です。

  • Intersight Infrastructure Service
    2017 年に Intersight を提供開始した際の原点とも言えるのが Intersight Infrastructure Service です。Cisco UCS / HyperFlex のモニタリング、プロビジョニング、トラブルシューティング、およびプロアクティブなメンテナンスといった機能を担う、Intersight の中核的なインフラ管理サービスです。Intersight Infrastructure Service における最新技術は「Intersight マネージドモード」[英語]です。これは、Redfish ベースの標準モデルを通じて UCS ファブリック インターコネクト システムを管理する新しいアーキテクチャです。UCS ラック / ブレードサーバをサポートするほか、スタンドアロン UCS システムとファブリック インターコネクト接続型 UCS システムの管理を一元化します。ラック / ブレードサーバの UCS 製品全体で、ポリシーベースのサーバ管理を合理化できるのが特徴です。Intersight Infrastructure Service はすでに一般提供されています。
  • Intersight Workload Optimizer
    12 月にリリースされた Intersight Workload Optimizer は、Intersight で初めて提供されるハイブリッド クラウドサービスです。SaaS として提供されるハイブリッドクラウド インフラとして、そしてワークロードの可視化サービスとして、業界で初めての製品でもあります。Intersight Workload Optimizer は、ベアメタルワークロード、VM、コンテナ、パブリッククラウド PaaS アーキテクチャなど、あらゆるアプリケーションをインフラにマッピングできる独自の機能を備えています。また、アプリケーションの障害、効率性、パフォーマンスをリアルタイムで診断して修復できます。SaaS 提供型ハイブリッド クラウド サービスの利点は、シンプルかつ容易に導入できることです。その証拠として、SaaS の提供開始からわずか 2 四半期で 350 社以上のお客様がハイブリッドクラウド運用に Intersight Workload Optimizer を導入しています。
  • Intersight Kubernetes Service
    最近リリースされた Intersight Kubernetes Service は、エッジ、データセンター、パブリッククラウドの各部全体で Kubernetes クラスタを数分で作成可能な、シンプルな管理サービスです。これによりインフラの運用・管理者は、対応インフラであれば種類を問わず K8s-as-a-service コンテナクラウドを作成して利用できます。開発者と DevOps チームは、シンプルな REST API または Terraform モジュールを使用して K8s クラスタをオンデマンドで構築・管理できます。今後は VMware ESXi ハイパーバイザへのサポートを追加し、対応するハイパーバイザとクラウドを拡大する予定です。
  • Cisco Service Mesh Manager
    Intersight Kubernetes Service の特徴は K8s クラスタ管理だけではありません。Kubernetes クラスタに拡張機能やアドオンを追加できる能力も備えています。Intersight Kubernetes Service で最初に提供されるメジャーアップデートは Service Mesh Manager の追加です。この新機能により、最新のコンテナベースのアプリケーションを広範に可視化できるほか、管理性が向上し、ポリシーベースのセキュリティが適用可能になります。Service Mesh Manager は、シスコの最高戦略責任者である Liz Centoni が最近発表した、クラウドネイティブ接続ソフトウェアサービスにおける最初の製品でもあります。
    Cisco Service Mesh Manager は、当初は Istio サービスメッシュ向けとなります。Istio サービスメッシュの導入、アップグレード、ポリシーベースの管理、およびマルチクラスタの可視化において、これまでにないシンプルさを実現します。さらに、アプリケーションチームと Site-Reliability Engineering(SRE)チームとの間で役割を分担できるため、アプリケーションチームはアプリケーションロジックに専念し、SRE チームは本番環境のセキュリティ・管理機能を独自に制御できます。また SRE および運用チームは、カナリアモデルを使用してアップグレードのリスクを軽減できます。さらに Cisco Service Mesh Manager は、根本原因の特定や、サービスレベルの監視にも役立つほか、サービスの自動監視・拡張により、テナントクラスタの自動イントロスペクションと制御を実現します。Service Mesh Manager は複雑なトポロジにもシームレスに導入できるように設計されており、本番グレードの Istio ディストリビューションを活用することで高可用性を実現します。
  • Intersight Service for HashiCorp Terraform
    シスコは 3 月に HashiCorp 社との連携 を発表しました。HashiCorp 社の Terraform Cloud Business に Intersight を統合することにより、SaaS で提供される Infrastructure-as-Code(IaC)自動化の効果をプライベートクラウドとハイブリッドクラウドにも提供することが狙いです。Intersight Service for Terraform により、DevOps チームはオンプレミスでの IaC 自動化の導入を簡素化できます。両製品の統合により InfraOps と DevOps の溝を埋めることができ、プライベートクラウドとパブリッククラウドでシームレスな SaaS/IaC エクスペリエンスが実現します。Intersight Service for HashiCorp Terraform は最近リリースされた製品で、Intersight プラットフォームの一部としてご利用いただけます。
  • Intersight Cloud Orchestrator
    Intersight Cloud Orchestrator [英語]は、コーディングスキルがなくても簡単に扱えるローコードオーケストレータです。プライベートクラウドとパブリッククラウド全体でインフラとワークロードをプロビジョニング、オーケストレーションできます。直感的な GUI でワークフローを構成できるため、複雑な自動化ワークフローも容易に作成・実行可能です。厳選されたカタログを活用して自動化を迅速かつスムーズに行い、リスクを軽減できるのが特徴です。Intersight Cloud Orchestrator はすでに一般提供されています。
    Intersight は Intersight Service for Terraform と Cloud Orchestrator の間で、ハイブリッドクラウド向けに専用設計された強力な自動化ツールとして活躍します。高度な Infra-as-Code をご利用になりたい場合から、シンプルな GUI でローコードの自動化をご希望の場合まで、幅広いニーズに対応します。
  • Intersight Workload Engine
    ワークロードの分野ではクラウドネイティブへの移行が進んでいます。それを受けて、最新アプリケーションに向けた新しいアーキテクチャ「Intersight Workload Engine」[英語]をゼロから構築しました。これは、ハイパーバイザとホスト クラスタリング ソフトウェアを統合した、オールインワン型・エンタープライズクラスのハイパーコンバージド高可用性プラットフォームです。VM、コンテナ、ベアメタル Kubernetes ワークロードを同じインフラ上で同時に実行できるのが特徴です。さらに Intersight Workload Engine は、コンテナネイティブの仮想化に最適なオープンソーステクノロジーを採用することで、HyperFlex と統合しています。従来の仮想マシンとクラウドネイティブのワークロードに、次世代のハイパーコンバージド アーキテクチャを提供します。
    Workload Engine は Intersight に組み込まれているため、サーバ管理、クラスタライフサイクル操作、ストレージ管理、および VM ライフサイクルと Kubernetes クラスタ管理を集約できるのが利点です。つまり複雑な複数のレイヤを単一のアーキテクチャに統合できるのです。Intersight Workload Engine for Kubernetes は来月からベータトライアルに移行する予定です。

 

ハイブリッドクラウドの分野でスマートな未来を築く

前述のように、シスコが目指すのは IT 運用を変革することです。シンプルかつ直感的で、開発時間を大幅に短縮できるハイブリッドクラウド運用モデルの提供に至ったのも、それが理由です。Intersight プラットフォームの実力とは、拡大し続けるデータセンターのインフラを、将来を見据えた最先端の設備へと変革できることです。

スマートなクラウドを築くために、今すぐ導入をご検討ください。

お読みいただき、ありがとうございました。Intersight とその仕組みについては、今後もブログにてご紹介していきます。ご意見やご質問がありましたら、お気軽にご連絡ください。Intersight はお客様のニーズを最優先に考えられた製品であり、お客様のご意見は非常に重要です。

開発者向けリソースは DevNet Cloud Dev Center をご利用ください。Intersight 関連の最新資料などをご利用いただけます。

https://developer.cisco.com/site/cloud/ [英語]

 

導入の検討に役立つリソース:

 

小久保 依美

2001年シスコシステムズにプリセールスSEとして入社。2008年よりデータセンターセールススペシャリストとして広く大手民間企業のお客様のデータセンター変革に携わった後、2021年1月より現職に就任し、お客様のDXを実現するマルチクラウド時代における最適なデータセンターアーキテクチャの提言と普及に尽力しています。