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ハイブリッドクラウドの分野で Infrastructure as Code(IaC)による自動化を提供するため、シスコと HashiCorp 社が連携

この記事は、Cloud & Compute の Vice President/General Manager である Kaustubh Das によるブログ「Cisco and HashiCorp Join Forces to Deliver Infrastructure as Code Automation Across Hybrid Cloud」(2021/3/24)の抄訳です。

シスコは、Infrastructure as Code(IaC)による自動化のメリットをハイブリッドクラウド環境にも提供しようと取り組んでいます。これによりハイブリッドクラウドの自動化が飛躍的に前進するからです。そこで登場したのが、Cisco Intersight Service for HashiCorp Terraform です。これはビジネス用途の統合型 SaaS サービスであり、HashiCorp 社との長期的な連携による新たな成果でもあります。

IaC による自動化は、パブリッククラウド環境におけるプロビジョニングで採用が拡大しています。それが特に顕著なのが DevOps の分野です。IT Ops チームにとって新サービスの利点は、エッジ、共同、データセンター、あるいはパブリッククラウドが異なっても、インフラとワークロードの運用モデルを一本化できることです。IT Ops ユーザにとっては、一本化されたツールとサービスを使用してハイブリッドクラウドをプロビジョニングできるメリットがあります。つまりオンプレミスあるいはクラウド上の資産に同じクラウド運用モデルを適用し、最新の運用環境を構築できる最もスムーズな方法です。

今回のような Intersight と Terraform の統合を実現できたのは、パブリッククラウドとプライベートクラウドの自動化分野におけるトップ企業が力を合わせた結果です。HashiCorp 社は IaC の先駆的存在であり、HashiCorp Terraform はクラウドインフラのプロビジョニングと管理に広く採用されている IaC プラットフォームです。Terraform Cloud Business は企業向けのクラウド(SaaS)サービスであり、Terraform を本番環境で大規模に展開するための最も簡単な手段です。

Intersight はユニファイド SaaS プラットフォームを提供するために構築された製品で、「クラウドファースト」戦略の実施を可能にして環境の最新化を支援します。シスコが Intersight を初めてリリースした 2017 年には、インフラのライフサイクル管理に特化した業界最先端のサービスも提供しました。それ以来、シスコはビジョンの実現に向けて以下のように取り組み続けています。

2017 年にリリースされたIntersight Infrastructure Serviceは、Connected TAC Support、Advisories、Compliance Checks などの機能により別次元の自動化を実現しました。

昨年 10 月に開かれたシスコのパートナーサミットでは、Intersight の次のようなサービスと機能をご紹介しました。

  • Intersight Workload Optimizer:パブリッククラウドかオンプレミスかを問わず、アプリケーションからインフラまでをフルスタックで可視化して最適化
  • Intersight Kubernetes Service:クラウドネイティブ開発用のサービスプラットフォームとして、厳選された管理型コンテナを提供
  • Intersight Virtualization Service:ハイパーバイザに依存しない、一本化された仮想化サービスを提供

Intersight はモジュール型の SaaS 対応アーキテクチャを採用しているため、プラットフォーム自体の継続的で迅速な進化を可能にします。今回の目玉である Intersight Service for Terraform のような新サービスを実現できたのも、そうした特性によります。Intersight と Terraform はどちらもクラウドでホストされる SaaS プラットフォームであるため、双方の統合はオープンかつシンプルで、スムーズに完了しました。

Intersight と Terraform を統合する利点

Intersight Service for Terraform は、シングルサインオン認証とセキュアなオンプレミスアクセスを介して、Terraform Cloud Business と安全に統合可能です。いったん統合が完了すれば、Intersight を介して Terraform Cloud Business などのプラットフォームにアクセスできます。

今回の統合により、Intersight をお使いのお客様はエンドツーエンドの自動化を活用できるため、セルフサービス機能の管理と均一化を期待できます。開発者とアプリケーションチームにとっては全体的な俊敏性を向上させ、新製品投入までの時間を短縮できるメリットがあります。そのため Intersight はオープンなクラウド非依存型アプローチを採用しています。つまりパブリッククラウド統合にネイティブ対応しているほか、サードパーティツールのエコシステムもサポートしています。このため、開発者や IT ユーザは使い慣れたプラットフォームやソフトウェアを中断なく使用できます。

図 1:IaC による自動化

Intersight Service for HashiCorp Terraform の具体的なメリットは次のとおりです。

  1. プライベートクラウドでもハイブリッドクラウドでも、単一のスムーズ・シンプルな作業で IaC を利用可能
  1. ソリューション全体がセキュアな SaaS として提供されるため、ハイブリッドクラウドの管理が簡素化。それと同時にセキュリティが向上し、リスクが軽減
  1. Intersight と HashiCorp Terraform Cloud Business を導入した環境には Cisco Solution Support プログラムが適用され、シスコが一元的にサポートを提供

Intersight Service for HashiCorp Terraform は ITOps チームと DevOps チームの連携を促進します。さらにはオンプレミスとパブリッククラウドの間を、統一された自動化手法とクラウド運用モデルでつなぎます。両製品の統合により、Terraform Agents のライフサイクル(導入、アップグレード、スケーリング、ネットワーキング)を、安全性が強化された Intersight Assist Appliance からエンドツーエンドで管理可能になり、さらなる簡素化を実現しています。さらに、インフラドメイン管理で IaC パイプラインを接続する際の管理費用も削減できます。また Intersight Assist はより幅広い製品(Terraform、Pure Storage、NetApp、日立、VMware)との統合に対応。IT 運用のレベルアップを支援します。どの製品と統合した場合でも、プライベートクラウドとパブリッククラウドのリソースを Intersight によりエンドツーエンドで迅速かつ安全に管理・プロビジョニングできます。

ビジネス向け分野とサポート分野における、シスコと HashiCorp 社の連携

シスコと HashiCorp 社の連携の成果は他にもあります。それは、HashiCorp Terraform Cloud Business をシスコから再販するための複数年契約です。同製品は Cisco DevNet SolutionsPlus プログラムのグローバル価格表に掲載されます。さらに、Intersight と Terraform Cloud Business をお使いのお客様には Cisco Solution Support プログラムに基づく一元サポートもシスコから提供されます。これにより Intersight と Terraform Cloud Business の購入先とサポート提供元が統一されるため、お客様の負担が軽減されます。Cisco Intersight Service for HashiCorp Terraform は 4 月に一般提供を開始する予定です。

HashiCorp 社の製品マーケティング担当バイスプレジデントである Amith Nair 氏は今回の統合の価値について、「今やデータセンターを設計する際に多くの選択肢があることは周知の事実です。そこで求められるのは単一、つまり万能型のアプローチではなく、数ある中から選ばれた最良のソリューションなのです。シスコと HashiCorp 社は、俊敏性と機動力を向上させ、セルフサービス IT 運用を可能にするクラウド運用モデルを積極推進するという、共通のビジョンを掲げています。今回両社が共同開発した Cisco Intersight Service for Terraform Cloud ソリューションにより、IaC モデルをプライベートクラウドやハイブリッドクラウドに簡単に導入できます」と述べています。

World Wide Technology 社の Data Center Solutions 部門でシニアディレクタを務める Brent Collins 氏によれば、「開発者と従来の IT チームは、アプリケーション進化の加速や、開発の俊敏性の向上、インフラの導入・提供の簡素化を迫られています。そうしたニーズを満たせるよう開発された HashiCorp Terraform は、Cisco Intersight とネイティブに統合可能な IaC プラットフォームです。Terraform 対応であれば、プライベートクラウドかパブリッククラウドかを問わず、一貫した IaC を利用できるのが特長です。両製品の統合により、最新で革新的なマルチクラウド アーキテクチャを当社から顧客に提供できるようになりました」。

詳細は Cisco Live にて

今やインフラの大規模な開発と管理に欠かせないクラウドフットプリントは拡大し続けており、必要なソリューションの種類も増加の一途にあります。こうした問題が IT 運用チームや DevOps チームにとってきわめて複雑であることは明白です。しかし IaC により IT 運用チームは DevOps モデルを採用できるため、アプリケーション導入を加速させることも負担になりません。さらに、安全で予測可能な方法で運用を監視することもできます。Terraform のような IaC プラットフォームの特長は、パブリッククラウドでもプライベートクラウドでも、データセンターとクラウドインフラをプログラマチックに設定できることです。

詳細については、HashiCorp 社の共同設立者・最高技術責任者である Armon Dadgar 氏とのトークにご参加ください。トークは CiscoLive 2021 の iTalk セッションで予定されています。

IoC による自動化を始める方法について、詳しくは DevNet 専用ページをご覧ください。

小久保 依美

2001年シスコシステムズにプリセールスSEとして入社。2008年よりデータセンターセールススペシャリストとして広く大手民間企業のお客様のデータセンター変革に携わった後、2021年1月より現職に就任し、お客様のDXを実現するマルチクラウド時代における最適なデータセンターアーキテクチャの提言と普及に尽力しています。