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ビジネスレジリエンス:マルチクラウド戦略を成功させるために 考慮すべき 5 つのポイント


2021年2月18日


この記事は、Enterprise Networking and Mobility の Vice President of Marketing である Prashanth Shenoy によるブログ「Business Resilience: Five things to consider for a successful multicloud strategypopup_icon」(2021/1/13)の抄訳です。

 

今回の 2021 Networking Trends ブログシリーズでは、「トレンド #3:マルチクラウドの積極導入によるレジリエンスの向上」についてご紹介します。

 

嵐のあとのネットワーク

自然災害が過ぎ去り日常が戻ると、災害を振り返り、対策の不備を反省することになります。そこでは対策がどうあるべきだったかを考え、不測の事態をあらゆるシナリオから描いた上で、再び同じ過ちを繰り返さないよう積極的な予防策を講じることでしょう。

 

ネットワークで問題が起きた後にも、同じことが言えます。将来の不測の事態に備えてネットワークを再評価し直す必要があるからです。しかし個人レベルでの対策と全社的な対策とでは、かなり規模や影響が異なります。

 

レジリエンスのためのネットワーク再考

だからこそ、障害に直面してもネットワークによりビジネスを維持できる(つまり復元力)が必須となります。そうしたレジリエンスを見据えたネットワークで要となるのは、あらゆる事態に対処できるネットワーク機能を戦略的に実装することです。最新の「2021 年グローバル ネットワーキング トレンド レポート:ビジネスレジリエンス特別編」にもあるように、ワークフォースワークプレイス、ワークロード、オペレーションの 4 点をしっかりと考慮することが重要です。以下では、まずワークロードについて説明します。さらに、安全で俊敏なインフラを構築し、マルチクラウドサービスをサポートするうえでマルチクラウド戦略がいかに重要となるかについても解説します。

 

特に、ビジネスレジリエンスに着目したマルチクラウド戦略の構築で考慮すべき 5 つのポイントについて掘り下げます。

 1.「高可用性」だけではないネットワーク

ネットワークの可用性と信頼性の度合いこそが、ビジネスの復元力を高めるための鍵だと思っている方も多いのではないでしょうか。これらの KPI は重要ではあるものの、レジリエンスを見据えたネットワーク戦略においては、あって当然な一要素に過ぎません。あらゆる不測の事態に対応できる体制を整えるには、ネットワークの可用性と信頼性だけでなく、俊敏性、自動化、インテリジェンスなどもすべて求められるからです。たとえば、コールセンターを別の地域に移動させる場合におけるワークロードの可搬性はどうでしょうか。この場合の焦点はネットワークの信頼性ではありません。安全なアクセスとコンプライアンスを維持しつつも、ワークロードを別の地域に移動できる柔軟性と俊敏性を備えているか、その点が問題となるのです。

 

2.「アプリケーションファースト」なネットワークモデル

オンプレミスのプラットフォームでもクラウドプラットフォームでも、アプリケーションの分散化はより幅広く進んでいます。しかし結果的に、融通の効かない古いアプリケーションや従来型のオンプレミスのデータセンターと、マイクロサービスベースのアプリケーションやコンテナ、SaaS、クラウド PaaS といった最新機能を並行して管理する必要が生じています。この問題は事態を複雑化させており、ネットワークにあらゆる側面から影響を与えています。IDC 社のホワイトペーパーで Brad Casemore 氏は「今や分散アプリケーションはネットワークにとっての中核である」*と伝えています。ネットワークはデータをあらゆる場所に運んでくれる重要なシステムです。ユーザーやワークロードの場所を問わず、アプリケーションを最適化するための一貫性、セキュリティ、パフォーマンスがネットワークインフラに求められています。

図 1. マルチクラウドを一体運用するために必要なもの

図 1. マルチクラウドを一体運用するために必要なもの

 

3.今後は主流になるハイブリッドワークロード

現在、多くの組織にとってハイブリッドなワークロード環境が有望視されています。シスコのクラウド プラットフォーム&ソリューション グループ担当バイスプレジデント兼 CTO の Vijoy Pandey は「2020 年グローバル ネットワーキング トレンド レポート」の中で、「ここ数年間、多くのワークロードがパブリッククラウドに移行されつつありますが、これは白黒が明確な問題ではありません。一部のワークロードやデータはローカルに残す必要がある、その点が明確になってきています」と述べています。ハイブリッドなワークロード環境の管理は多少複雑になりますが、障害発生時に重要なワークロードをオフロードやスケールアップできるため、柔軟性の観点から見てビジネスの復元力を高めるためには非常に有効です。オンプレミス環境とマルチクラウド環境で一貫したポリシー、セキュアなアクセス、高パフォーマンスを提供してくれるインフラを確保するという点は、マルチクラウド戦略には欠かせません。

 

4.全体的な観点からの観察力が戦略の要

問題が解決できず、必要なアプリケーションにアクセスできないなどの理由で従業員がヘルプデスクを利用する際には、根本的な原因を素早く突き止めるための優れた観察力が欠かせません。ビジネスが困難な局面にある場合にも同じことが言えます。問題の原因がデバイスなのかホームネットワークやカフェのネットワークなのか、アクセスポイントまたはアプリケーションや ISP、クラウドプロバイダー、キャンパスネットワークなのかなど、ネットワークオペレーターは問題が何なのかを瞬時に理解する必要があります。シスコの ThousandEyes ソリューションでは、2020 年 3 月から 6 月にかけてインターネットとクラウドサービスの両方において世界的に障害が急増するという事態が発生しました。ユーザーからアプリケーションに至るまで、しっかりとした観察力を備えて視界をクリアにしておくということが、マルチクラウド戦略には欠かせません。

図 2. SPとクラウドプロバイダーの障害一覧

図 2. SPとクラウドプロバイダーの障害一覧

 

5.運用モデルも近代化

インテントベースのコントローラが提供する最新の自動化機能やアシュアランス機能を利用し、ネットワークを近代化させていくだけでなく、新しいテクノロジーと運用モデルの足並みを揃えていくということもマルチクラウド戦略を成功させるためには必要不可欠な要素です。IDC の予想によれば、2023 年までに 55% の企業が、従来型の運用モデルから脱却し、クラウド中心の運用モデルに移行する見込みです。その目的は IT 運用とパブリッククラウド運用の連携を強化して部門間のコラボレーションを促進し、ビジネスの向上を図るためです*。部門内だけでネットワークを管理するという従来の方法は、長い目で見ると持続性の点で問題があります。

 

ネットワークレジリエンスを実現できるリソース

デジタル トランスフォーメーションから復元力を見据えたネットワークに至るまで、今やクラウドはすべてを変えつつあります。組織に合ったマルチクラウド戦略を立てることで、予測不可能な将来に備えて万全な準備を整えることが重要です。

 

ビジネスレジリエンスを実現するためのネットワークの準備方法についての詳細は、以下の無料リソースをご覧ください。

 

以下に感想をお聞かせください。次回の 2021 Networking Trends ブログシリーズもお見逃しなく。

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*IDC Brad Casemore マルチクラウドネットワークの課題に対処:クラウド ワークロードとアプリケーション エクスペリエンスの最適化

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