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10 年に及ぶ仮想ダイナマイトの歴史:ATM マルウェアのレトロスペクティブの概要


2019年6月18日


エグゼクティブ サマリー

ATM の攻撃に特化して設計された最初のマルウェア、Skimer が発見されてから 10 年が経ちました。当時、その機能を把握するための学習がかなり急ピッチで進められ、分析には、製造業者の ATM API 関数およびパラメータに関する特定の知識が必要でしたが、これは文書で公開されていませんでした。

Skimer が発見される前、マルウェア対策研究者は ATM を、独自のハードウェアを搭載した非標準のオペレーティング システムを実行するセキュアなマシンと見なしていました。また、ATM には、悪意のあるコードを使用した攻撃を防ぐために設計された多数の高度な保護技術が実装されていると考えていました。最終的に判明したのは、人気の高い ATM 製造業者が標準の Windows オペレーティング システムを使用しており、金庫やカード リーダーなどの補助デバイスをいくつか追加しているということでした。

やがて、GreenDispenser や Tyupkin などの新しい ATM マルウェア ファミリを仕掛けている攻撃者は、金融サービス API 用の汎用 Windows 拡張機能popup_icon(CEN/XFS)を使用すると、ATM 製造業者がフレームワークをサポートしている限り、基盤となるハードウェア プラットフォームに依存せずに動作するマルウェアを作成できると気づくようになりました。このマルウェアを使用すると、攻撃者が正当なキャッシュ カードを持っているかどうかにかかわらず、ATM から現金を引き出すことができます。

ATM マルウェアは進化し、さまざまなファミリやそれを仕掛けるさまざまな行為者が現れて、その範囲は犯罪者グループから国家に関わるものに至るまでになりました。ATM マルウェアが重大なのは、攻撃者に多大な金銭的利益をもたらす可能性があり、その結果として、標的となる銀行、金融機関、エンド ユーザに大きな損害を与える危険性があるためです。

この種のマルウェアは 10 年以上にわたって出回っているため、その間に確認された特定のファミリをまとめて、さまざまなファミリがコードを共有しているかどうかを調べることにしました。

ATM マルウェアの概要

重大性

ATM マルウェアは犯罪者にとって、ATM に組み込まれた金庫に物理的に侵入する代わりに使用できる、より巧妙な手段となりました。ATM マルウェアの出現前、犯罪者は通常、ATM 強盗という従来の方法を採用していましたが、多くの場合、物理デバイスを地面から引き抜いたり、ダイナマイトで爆破したりする必要がありました。もちろん、これらの方法では警察や周囲の人々にすぐに気づかれます。

この 10 年で、ATM マルウェア サンプルの検出数は着実に増加しています。それでも、サンプルの検出数は、他のほとんどのマルウェア カテゴリと比べると非常に少ないものです。

VirusTotal に最初に送信された年を基点にした、前年比の ATM マルウェア サンプルの検出数。

犯罪者はダイナマイトをデジタル化した手段として ATM マルウェアを使用するようになり、運び屋を雇って標的の ATM から現金を引き出す方法を指示できるようになりました。通常、現金の引き出しは、トランザクションを承認するために作成された特別な認可コードまたはカードを提示することで行われます。

その前に、犯罪者は標的の ATM を感染させてコードをインストールする必要がありました。多くの場合、それにはデバイスを物理的に動作させて、光学式メディアを読み取るデバイスまたは USB ポートにアクセスする必要がありました。

世界中のさまざまな金融機関に対する多くの攻撃が報告されていますが、中南米や東ヨーロッパでは ATM インフラストラクチャが古くなっており、セキュリティ ソフトウェアや改ざん防止センサーで定期的に更新されていないために、攻撃がさらに蔓延しているようです。ATM マルウェアが銀行や個人に与えた損害はほとんど明らかにされていませんが、年間数百万ドルに達している可能性があります。

ATM マルウェアは、銀行やその他の金融機関のほか、ATM 製造業者の評判や、ATM マルウェアによる攻撃で口座情報が盗まれた個人および企業にも影響を及ぼしています。

分類

ATM マルウェア ファミリを分類するには、いくつかの方法があります。ATM マルウェアは、その機能に基づいて、仮想スキマーと仮想現金自動支払機に分類できます。スキマーの目的は、PIN パッドで使用された暗号化キーが正常に取得された場合に、カードとトランザクションの詳細、ならびに個々の暗証番号を盗むことです。

現金自動支払マルウェアでは、銀行から承認を得ることなく現金が引き出される、いわゆる ATM の「ジャックポット攻撃」を可能にする機能が使用されます。しかし、カードの詳細を盗んで現金を引き出すことができるマルウェア ファミリもあります。

インストール プロセスに関しては、2 つの主要グループがあります。1 つ目のグループでは、攻撃者がデバイスに物理的にアクセスする必要があります。2 つ目のグループでは、攻撃者がマルウェアを間接的にインストールすることを前提としており、通常は銀行の内部ネットワークを侵害し、盗んだクレデンシャルを使用して ATM を標的にします。

これらのタイプのマルウェアには、特定のモデルの ATM を標的にするものと、より汎用的なもの、いずれもがあります。最近では、汎用的な機能を展開する ATM マルウェアが一般的です。

最も一般的なフレームワークは、ATM アプリケーションの開発者が ATM モデルや製造業者に関係なくコードをコンパイルして実行できる CEN/XFS フレームワークですが、その他にも、XFS をベースに構築された Kalignite フレームワークなどがあります。

XFS API には、現金自動支払モジュール(CDM)、PIN パッド(EPP4)、プリンタなどのさまざまな ATM モジュールと通信するための上位レベルの関数が含まれています。上位レベルの関数は汎用 SDK を通じて提供されます。一方、下位レベルの関数はサービス プロバイダーを通じて提供され、ATM 製造業者によって開発されます。このアーキテクチャは Win32 アーキテクチャと非常によく似ています。Win32 アーキテクチャでは、開発者は上位レベルの API を使用して、OS カーネルや、個々のハードウェア コンポーネントの製造業者によって提供されるさまざまなデバイス ドライバと通信することができます。

CEN/XFS アーキテクチャの概要。

 

ほとんどの ATM サンプルでは、標的の ATM に物理的にアクセスする必要があります。通常、ATM はインターネットに接続されておらず、専用回線を通じて銀行の中央システムと通信を行います。ただし、ほとんどの ATM はメンテナンスと管理のために内部ネットワークに接続されているため、最初に内部ネットワークが侵害されると、それによって次は小規模な ATM マルウェア グループが持ち込まれるという事態が起こりえます。この手法ではさらに高度な技術力が求められますが、成功すればより大きな見返りをもたらすものと考えられます。

報告によると、Cobalt Strikepopup_icon などの一部の汎用ハッキング ツールが ATM やトランザクション システムの攻撃に使用されています。この方法は、Carbanak、Cobalt Gang、Lazarus(グループ 77)などのより高度なグループでよく使用されてきました。Lazarus の Fastcash 攻撃は、マルウェアの標的になることがほとんどない IBM AIX オペレーティング システムに影響を与える攻撃です。

注目すべき ATM マルウェア ファミリとその機能

過去 10 年間で、30 種類を超える ATM マルウェア ファミリが確認されました。この項では、注目すべきファミリについて簡単に説明します。

ファミリごとの ATM マルウェア サンプル数。

 

Ploutus

 

Ploutuspopup_icon は、検出されたサンプル数が最も多いマルウェア ファミリです。その大半はメキシコで報告されています。Ploutus は、標準的な ATM 引き出しマルウェアです。攻撃者は、物理ポートまたは CD-ROM ドライブにアクセスしてそこから起動し、ATM システム イメージを変更してマルウェアをインストールすることができる必要があります。

攻撃者は、米国に設置されている ATM を攻撃するために、Ploutus の新しい亜種を使用していたとされます。Ploutus.D は、マルチベンダーの KAL Kalignitepopup_icon フレームワークを使用して ATM と通信します。これにより、コードベースの変更を最小限に抑えながらさまざまなベンダーの ATM を標的にできます。

Ploutus 亜種のインターフェイスの 1 つ。

 

Skimer

 

Skimerpopup_icon は最初の ATM 攻撃の 1 つであり、入念に開発されたマルウェアの機能をすべて備えています。Skimer は、磁気ストライプのトラック 1 および 2popup_icon に保存されている口座のキャッシュ カード番号と関連情報、所有者情報を盗もうとする仮想スキミング デバイスとして機能します。最近の機能のレビューでも、暗号化された PIN パッドの暗号化キーをシステムから取得することで、ユーザの暗証番号を盗もうとすることが示されています。

Skimer は、仮想スキミング機能を備えるほか、その実行者(盗んだデータを収集して現金を引き出すために雇われた運び屋)用の ATM 機能に対するバックドアとして動作します。

Skimer の実行者に現金を渡すように機能するメイン コード ループ。

 

ユーザがバックドアを有効にする秘密コードを知っている場合は、マルウェアによってメニューが表示され、実行者は 4 つの現金自動支払モジュール(CDM)のいずれかを空にすることができます。

現金自動支払モジュールをロックして現金を引き出すコード。

 

他のほとんどの ATM マルウェア ファミリも同様の原則に従っています。攻撃者は ATM に物理的にアクセスできる必要があるため、鍵を入手するか穴を開けて特定のポートまたはデバイスにアクセスする必要があります。マルウェアが展開された時点で、運び屋は、メニューにアクセスして現金を引き出すための特定のコードが必要になります。

 

TyupkinPadpin

 

Tyupkinpopup_icon の最も興味深い特性は、その動作を特定の時間と曜日に制限できることです。いくつかの Tyupkin インスタンスは、日曜日と月曜日の夜にのみ使用できることが報告されました。

動作時間を確認するための Tyupkin 関数。

 

現金を引き出す前に、Tyupkin はネットワーク接続を無効にします。おそらく、疑わしいアクティビティが検出された場合に、管理者が ATM をシャットダウンしないようにするためです。

Tyupkin ファミリのメンバーの中には、C# と .NET Framework を使用して開発されたものや、Microsoft Visual C++ を使用して開発されたものがあります。このファミリは XFS API を使用して、感染した ATM を管理し、複数の通貨で現金を引き出します。Tyupkin は 2014 年以来活動状態にあり、報告によると、関連するギャングが東ヨーロッパ諸国を標的にしています。

 

Alice

 

Alicepopup_icon は、他の ATM マルウェアとパターンが類似しています。攻撃者がインストールするマルウェアであるため、システムに物理的にアクセスする必要があります。実行者がシステムを起動すると、Alice によって暗証番号の入力を求めるウィンドウが表示されます。

Alice の最初の画面。

 

コードが正しければ、Alice が現金自動支払モジュールにアクセスし、実行者が現金を取り出せるようになります。

Alice のメイン UI ウィンドウ。

 

Cutlet

 

Cutlet または Cutlet Makerpopup_icon は、2016 年以降に一部の闇市場で DIY 型 ATM マルウェア キットとして販売されています。バンドルには、システムを感染させる方法と、現金を引き出すために必要なコードを取得する方法について、ロシア語と英語で記述された詳しい手順書が含まれています。

Cutlet Maker のメインのユーザ インターフェイス。

 

Cutlet のマニュアルには、警察に捕まらないようにするために必要な運用上のセキュリティ手法が詳しく記載されており、特定の ATM モデルの USB ポートにアクセスするために ATM 筐体に穴を開ける場所が示されています。このキットには、実際の攻撃を行う前に練習するための「Stimulator」という名前のテスト アプリケーションも含まれています。

Cutlet は、前述の ATM マルウェアとパターンが類似しています。このキットの所有者は、活動に必要なコードを ATM ごとに生成できます。

Fastcash

Fastcashpopup_icon マルウェアの重大性は、その動作モードと、IBM AIX オペレーティング システムを標的にするという点にあります。Fastcash consists of a process injectorpopup_iconと、侵害された銀行支払承認システムのプロセス スペースに挿入されると考えられる共有オブジェクトで構成されます。このマルウェアは、ISO8583 パケットを解析するためのかなり古いオープン ソース ライブラリpopup_iconのコードを使用して、ISO8583popup_icon ベースのトランザクションをモニタします。

ATM トランザクションに攻撃者のコードが含まれている場合、データは元の支払承認アプリケーションに転送されず、トランザクションの承認がターゲットの ATM システムに返送されるため、攻撃者は現金を引き出すことができます。

この動作モードは一部のルートキットと似ています。ルートキットのマルウェアは、ファイルやプロセスなどのシステム オブジェクトのリストアップを試みるアプリケーションに対してオペレーティング システムから返送される応答を変更することで、システムにおける自身の存在を隠そうとします。通常、返されるリストは、マルウェアに属するプロセスの名前を削除するように変更されます。

Fastcash は Lazarus グループによる攻撃で、国家関連の攻撃者が金銭的利益のために金融システムを標的とするケースの一例です。Fastcash では、他の平凡な ATM マルウェアでは見られないレベルの技術力と知識が駆使されています。

ファミリ間でのコードの共有

Xylitolpopup_iconATM サイバー犯罪トラッカーpopup_iconのおかげで、Fastcash キャンペーンに関連するいくつかのファイルが追加された、非常に包括的な ATM マルウェア データ セットを簡単に取得できました。

このデータ セットには 121 個のファイルが含まれており、分析とクラスタリングに適しています。121 個のファイルのうち 114 個が PE ファイルで、静的分析手法を使用するクラスタリングに使用されました。114 個の PE ファイルのうち 37 個が圧縮ファイルで、20 個が DLL でした。圧縮ファイルは静的分析手法には適さない場合があります。

クラスタリングのさまざまな手法について調査する中で、『Malware Data Science(マルウェア データ サイエンス)popup_icon』(Joshua Saxe 氏および Hillary Sanders 氏共著)という興味深い書籍が見つかりました。この書籍には、悪意のあるファイルを分類してクラスタリングするための基本的な手法とより高度な手法が示されており、Talos 独自のセットをクラスタリングするためにそのアイデアをいくつか活用しました。

今回のケースでは、各サンプルの次の属性を抽出してクラスタリングを実施しました。

  • ファイルから抽出された文字列
  • ファイルのエントリ ポイントからの逆アセンブルされたコード
  • ファイルのエントロピーと既知のパッカーの有無
  • インポートまたはエクスポートされた機能
  • 組み込みリソース

各サンプルから属性を収集した後、セット内のファイルの全ペアについて Jaccard 距離が計算されます。Jaccard インデックスは、2 つのセット間の類似性を表す尺度です。2 つのサンプルが類似しているほど、Jaccard インデックスが高くなります。インデックスは 0 ~ 1 の数値です。たとえば、Jaccard インデックスが 0.5 の場合は、2 つのセット間で 50% が重複しています。

Jaccard インデックスしきい値が 0.7 のクラスタ。

 

2 つのサンプルが 1 つのクラスタの一部として接続されるために必要なしきい値を設定する必要があります。選択した Jaccard しきい値が大きいほど、定義されたクラスタのメンバーの関連性が高くなります。しきい値を変えることで、目的に最適な値になります。たとえば、サンプルを正しく分類するには 0.7 よりも大きい値を、コードの共有を目的とする場合は 0.3 よりも大きい値を選択する必要があります。

予想どおり、しきい値を低くするとクラスタが増加し、クラスタの中には個別の ATM マルウェア ファミリ間の重複を示すものもあります。

Jaccard インデックスしきい値が 0.3 のクラスタ。

 

グラフ内の線の太さは、クラスタ内のファイルがどの程度関連しているかを示しています。たとえば、個々の GreenDispenser、Tyupkin、または DispCash クラスタのメンバーは非常に密接に関連していますが、Ligsterac/Skimer、Tyupkin/DispCash、ATMtest/Helloworld の混合クラスタでは、マルウェア コードの重複を示す結び付きが弱くなっています。

保護と検出のベスト プラクティス

ATM マルウェアによる攻撃からの保護とその検出を検討する際には、ATM の物理的セキュリティ、システム上で実行されるソフトウェアのセキュリティ、および ATM と通信する組織ネットワークのあらゆるセグメントのセキュリティを考慮することが重要です。

ここでは、ATM ネットワークを保護し、攻撃を発生時に適切かつタイムリーに検出するために従うべき 15 のベスト プラクティスを紹介します。

  • ATM とすべての関連システムが最新のソフトウェアと最新バージョンのオペレーティング システムを実行しており、最新のセキュリティ パッチが適用されていることを確認します。
  • Windows の自動再生を無効にし、USB スティックや CD/DVD ドライブからソフトウェアを起動する機能を無効にするように BIOS を設定します。強力な BIOS パスワード保護を設定して、ブート設定が変更されないようにします。
  • ATM で Windows デスクトップへのアクセスを無効にし、RDP セッションが Duo Authentication for Windows Logon and RDPpopup_icon などの複数の認証要素で保護されていることを確認します。
  • 使用していないサービスやアプリケーションをシステムから削除して、攻撃対象領域を縮小します。基盤となる ATM オペレーティング システムを強化するその他の対策を実施します。
  • ATM の動作と物理的な整合性をモニタします。リセット、通信障害、およびトランザクション件数の異常なパターンを探します。
  • ATM とホストの間で強力な暗号化を実装します。
  • ATM 筐体へのアクセスが権限を持つ人物のみに制限されており、そのようなアクセスが電子的に記録されることを確認します。
  • ATM(その物理的な場所や接続されているネットワークを含む)のセキュリティ評価を実施します。
  • ファイアウォールとマルウェア対策保護が正しく設定されていることを確認します。
  • 既知の信頼できるソフトウェアのみを実行できるように、ホワイトリスト ソリューションまたはオペレーティング システム機能を設定します。リモート ログ エントリを生成しないとホワイトリスト登録を無効にできないことを確認します。
  • デバイス制御機能を使用して、未認証の USB デバイスがインストールされないようにします。
  • 運用システムへのマルウェア感染を回避する方法について従業員を教育します。
  • Cisco TrustSecpopup_icon などのセグメンテーション テクノロジーを使用して、組織全体で物理的および論理的にセグメント化されたネットワーク環境を維持します。
  • Cisco Stealthwatchpopup_icon などのネットワークの可視性を強化するテクノロジーを使用して、ATM システムおよび支払承認サーバへのネットワーク トラフィックに対する可視性を確保します。
  • 新たに検出された ATM マルウェアの脅威について学習するために、脅威インテリジェンス フィードをモニタします。

まとめ

ATM マルウェアはニッチな分野の攻撃ですが、マルウェアを首尾よく展開できると大きな利益が得られる可能性があります。ATM の Diebold Agilis 回線を標的とすることに特化した最初の悪意のあるコードが発見されてからこれまでの 10 年間に、他にも 30 種類を超えるマルウェア ファミリが確認されてきましたが、それらの洗練度、複雑度、および成功の度合いはさまざまです。成功した攻撃のほとんどは、一部の中南米諸国や東ヨーロッパなどの ATM が古くなっている国で報告されています。

ATM マルウェアを仕掛けている攻撃者の大多数は巧妙な犯罪者ではないようですが、大金を引き出すことができる可能性があるため、Carbanak や Cobalt Gang などのより巧妙な犯罪者グループのほか、Lazarus などの国家に支援されている攻撃者もこのマルウェアを利用しています。

ATM の既知のマルウェア サンプル数は非常に少ないものですが、サンプルの検出数は年々着実に増加しています。

金融機関や銀行は、ATM や支払システムをマルウェアから保護する対策について、特に慎重に検討する必要があります。企業や個人も、カードの詳細が ATM マルウェアによってスキミングされて不正なトランザクションに使用される可能性があるため、金銭的損失が生じる危険性があります。ベスト プラクティスに従って最高レベルの保護を確保し、ATM マルウェアの危険性に関するユーザ認識の向上に投資する必要があります。

カバレッジ

お客様がこの脅威を検出してブロックできる別の方法を以下に記載します。

Advanced Malware Protection(AMPpopup_icon)は、これらの攻撃者によるマルウェアの実行の阻止に最適です。

Cisco クラウド Web セキュリティ(CWS)または Web セキュリティ アプライアンス(WSA)の Web スキャンは、悪意のある Web サイトへのアクセスを防止し、これらの攻撃で使用されるマルウェアを検出します。

電子メール セキュリティは、攻撃の一環として攻撃者が送りつける不正な電子メールをブロックします。

次世代ファイアウォール(NGFW)、次世代侵入防止システム(NGIPS)、およびMeraki MX などのネットワーク セキュリティ アプライアンスは、この脅威に関連する悪意のあるアクティビティを検出できます。

AMP Threat Grid は、悪意のあるバイナリを特定し、すべてのシスコ セキュリティ製品に保護機能を埋め込みます。

シスコのセキュア インターネット ゲートウェイ(SIG)である Umbrellapopup_icon は、社内ネットワークの内外で悪意のあるドメイン、IP、URL への接続をブロックします。

特定の環境および脅威データに対する追加の保護は、Firepower Management Center から入手できます。

オープン ソースの SNORT サブスクライバ ルール セットをお使いであれば、Snort.orgpopup_icon で購入可能な最新のルール パックをダウンロードすることで、システムを最新状態に維持できます。

IOC

SHA256

Alice

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ATMii

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DIAGK

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Cutlet

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Piolin

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Prilex

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WinPot

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ATMitch

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ATMtest

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Ploutus

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Suceful

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Tyupkin

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SkimerWC

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本稿は 2019年5月30日に Talos Grouppopup_icon のブログに投稿された「10 years of virtual dynamite: A high-level retrospective of ATM malwarepopup_icon」の抄訳です。

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