Cisco Japan Blog
Share

スマート工場 × 5G


2019年6月7日


工場やプラントの生産ラインや機械にネットワークを導入し、データ解析や AI を活用して生産性および品質管理を向上させる「スマート工場」では、無線によるネットワーク接続が不可欠となります。無線接続のテクノロジーには Wi-Fi や LoRa がありますが、IoT の高まりとともに 5G も新たな選択肢として取り上げられるようになっています。

5G は他の無線通信と異なる周波数帯を使用するため、より遠くへ通信する場合や、5G の特長の 1 つである超低遅延の通信が要求される場合に適しています。とくに工場やプラントのように電波ノイズの多い環境では、5G によって、より要件にあった無線通信ネットワークを構築できます。

このような無線特性から、スマート工場のネットワーク構築では、ローカル 5G やプライベート LTE などの自営ネットワークが検討されることがあります。ただし、使用する周波数によって直進性や回り込み特性が大きく異なるため、周波数特性を十分理解した上で構築・運用することが求められます。さらに、アンライセンスバンド(免許不要)を用いる無線 LAN や LoRa と異なり、無線基地局設置には、無線局免許が必要です。加えてデバイス側には対応するチップセットの搭載、ユーザ情報、SIM、機器の情報管理など、IT の負担も大きくなります。そのため現時点では、構築・運用が容易な無線 LAN を活用するケースが多いのが現状です。ローカル 5G の普及のためにも、今後どれだけ構築・運用・管理が簡単にできる仕組みを実装できるかが期待されます。

最近では 5G と Wi-Fi 6 が比較検討されることが多くなっていますし、様々なオプションのなかからユース ケースに合わせて最適なネットワークを選択していくことが、スマート工場を成功させるカギになります。ユース ケースから洗い出しすべき要素として具体的には、データ量、ビット単価、セッション単価、チップセット単価、互換性、市場展開時期、サービス継続性、電波特性(周波数帯域)、所有権、無線基地局設置免許制度、ユーザ情報管理や運用方法などがあります。

もちろん、ネットワークに対する遅延やセキュリティの要件は様々です。さらにデータの所有権についても、データを工場内での処理および管理するのか、クラウド サービスを活用するのかといった議論もあります。ただ、将来的には工場とクラウド サービス間での連携も必要となってくるでしょう。工場内で処理しようとしていたデータを外部と連携するといったニーズも今後どんどん高まってきます。

このように、複雑化するネットワークをさまざまなサービスと連携しながら、効率的に運用するためには、IT の自動化、シンプル化が必要です。それには、無線、有線の通信の種類にかかわらず、ポリシーとセキュリティを統合的にシステムで管理することが重要です。シスコは、エンタープライズ、サービス プロバイダー、デバイス ベンダーと連携しながら、世界中でデジダル変革をすすめており、スマート工場の実現に向けて取り組んでいます。

参考資料:

Tags:
コメントを書く