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ネットワーク アーキテクチャ考 (26) Dis-Aggregation Again! – 分解、そして新たなつながり

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Dis-Aggregation(当時De-Aggregationと表現しました)のことを取り上げたのは 年前(記事)。年前とは状況も大きく変わり、今となってはかなり恥ずかしいですが、ある問題に取り組み解決するためには、まずは「分解」することが必要であること、しかし、一体どこまで細かく分解すればよいか、分解する対象が明確でない場合はどうするか、という懸念があり、何が何でも分解すればよいという訳ではない、適度な分解を見極める必要がある、という主旨のことを書きました。

その後 Dis-Aggregation への勢いは増し、シスコにおいても相次いで Dis-Aggregation に関する発表を行いました(IOS-XRNexus-OSIOS-XE。また、それに対して Cumulus から「Welcoming Cisco to disaggregation」という若干皮肉も交えたメッセージも戴きました

現在の Dis-Aggregation の潮流は、コンピューティング分野での実践ハードウェアと OS の分解、仮想化、そしてモノリシックな 3-tier アーキテクチャから Micro Service への変遷などに大きく端を発しています。ネットワーキング分野では、HW ベンダーが OS やルーティングおよびスイッチング ソフトウェアを提供することがほとんどだったため、それに対する見直しが起こり、現在に至ります。

一方、ネットワーキング分野では、ハードウェアとソフトウェアの分解以外にも、至るところで分解が起こっています。例えば光伝送の分野における Open-ROADM や、Telecom Infra Project。無線アクセスの分野における x-RAN。モバイル パケット コアにおける CUPSControl- User- Plane Separation。そもそも、ネットワーキング分野において、分解はお家芸と言ってもよいかもしれません。階層分け、User plane と Signaling の分解、Data plane、Control plane、Management plane の分解は従来より常に行われていました。

最近起こっていることの従来との違いは、分解を行う可能性としての箇所が増えていること、そして、分解した後の統合(当たり前ですが、システムとして機能するためには、分解したものを統合する必要があります)を、これまでネットワーク ベンダーが責任を持って行っていたところを、必ずしもそうではなく、ユーザ企業自身、またはそれに準じる第三者が行う可能性がある、という点です。

では、分解を行う可能性としての箇所の増加を見てみましょう。

IOS-XR を例に取ると、これまでの Model Driven API に加えて、Service Layer API(SL-API)Open Forwarding Abstraction API(OFA-API)というものを追加しています。SL-API により、IPv4/v6 RIB、MPLS Label Manager に対する操作や BFD session の制御を可能にします。SL-API の活用例としては、Open-R との連携実装があります。また、OFA-API により、Forwarding Plane を抽象化しました。これは P4 runtime agent の実装に使用されています。

データセンター スイッチである Nexus では、OCP 標準の SAI(Switch Abstraction Interface)を実装し、SoNIC などのネットワーク OS をサポートします。

Optical では今まで一体だった Control、Lambda、Transport、Switch の分解が、xRAN では Control plane/User plane および CU(Central Uni)DUDistributed Unit)の分解が、それぞれ検討されています。

という訳で、Dis-Aggregation 潮流は勢いを増し、アーキテクチャ選択肢が増えています。可能性が増え、従来の枠にとらわれずアーキテクチャ再考できることは嬉しいことです。Declarative 性を活かしながらどう抽象化するか、どこでどう分解するのが良いか、を見極めて行きたいと考えています。

期待:

  • プレーヤーの増加、業界の活性化
  • 選択肢、自由度の向上
  • 一旦分解し再統合することによる新たなアーキテクチャ可能性

課題:

  • 適切な抽象化の度合いの見極め
  • 検証、インテグレーション、継続性

ところで、Dis-Aggregation は、ひとつの大きなトピックであるため、これまで同僚と何度となく議論を重ねてきました。そこで意見が一致したのは、分解してアーキテクチャを見直すことによって、領域を越えた新たな構成方法が見えてくる、ということです。

今週行われる Janog では、弊社の精鋭が、他社のご協力も得て、Dis-Aggregation に関するディスカッションを行います。

To disaggregate or not to disaggregate – そして良いディスアグリゲーション.悪いディスアグリゲーションとは

発表日時:712()  17:2518:25(60分)
発表会場:三重県総合文化センター(三重県津市) 多目的ホール
https://www.janog.gr.jp/meeting/janog42/program/disaggregate-or-not-disaggregate

ぜひご参加の上、ご意見を頂戴できればと思います!

Authors

Miya Kohno

Distinguished Systems Engineer, CTO for GSP Japan

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