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ネットワーク アーキテクチャ考 (20) 「ネットワークはシステムだ!」

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当たり前過ぎて言うまでもないことかもしれないけれども、ネットワークはシステムです。システムとは「相互に影響を及ぼしあう要素から構成される、まとまりや仕組みの全体[*]」を意味するため、要素同士のつながり方が大きな意味を持ちます。そして、その「つながり方」を決定するのは、ネットワークに他なりません。

元々インターネット は、「核攻撃によってどこが破壊されてもネットワークは機能する」ように設計されていました。この発想は、まさにシステムとしてのネットワークです。

しかしその後、ネットワークは、「ネットワーク機器」を中心に考えられ過ぎだったのではないでしょうか。ネットワークの高可用性を求めるために、「ネットワーク機器」の装置内冗長とか、ISSU(In Service Software Upgrade)とかが求められるようになりました。

このことによって、サーキット スイッチ的な電話も IP 網で巻き取ることができたので、よかったのかもしれません。しかし時代は、多くのものが仮想的に実装され、統計的または機械学習的に処理される「ディジタル時代」に向かっています。ネットワークは、分散された、または仮想化された要素同士をどのように接続するか、ということを中心に捉え、システムとして再定義する必要があると思います。そのためには、次のようなことを一層追求することになるでしょう。

 

  • ステートレス化・シンプル化
    できる限りネットワークをシンプル化し、ネットワークで保持するステートを縮減します。ステートレス化により、少ないコストで可用性とスケール性を高めることができます。

 

  • 帰納法的管理
    Data Drivenと言い換えても良いかもしれません。例えば障害箇所の特定に、演繹法でなく、帰納法を持ち込みます。これまでの障害箇所特定は、「このユーザは、このパスを経由している。このパスはこの障害ノードを経由している。従って、このユーザは障害の影響を受けている。(演繹法的)」というものでした。それに対し、「得られたデータを総合すると、このプロファイルを持つユーザグループに障害が起きているらしい。(帰納法的)」

 

  • 自動運転
    ネットワークの運用・設計を、人手でなく機械的に処理することにより、よりシステマティックかつ低コストに目標を達成することができます。

 

これまでも、キャリアクラスの再定義が必要、ということは発言してきましたが、私自身、迷いや迎合もありました。しかし、年も改まりましたので、決意を新たにして取り組みたいと考え、年頭のエントリーとさせて戴きます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 

[*] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

Authors

Miya Kohno

Distinguished Systems Engineer, CTO for GSP Japan

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