Apple とシスコの関係について

私たちがスマートフォンを使うようになってからわずか 9 年しか経っていないことはとても信じられないことです。その先駆けとなったのはもちろん Apple の iPhone です。たった 9 年です。スマートフォンがなかった時代の生活を覚えている人などいるのでしょうか。

個人的には、私は iPhone なしでは生きていけません。たとえば、私は iPhone で地図やナビゲーションを利用しています。iPhone がなかった時代、私はどのようにしてあちこちを移動していたのか、まったく思い出せません。旅行の際にも、チェックイン、航空機の搭乗手続き、フライト状況の変更の確認などに iPhone を利用しています。ニュースを読むのも iPhone です。もちろん、仕事にも利用しています。Cisco Spark、電子メール、カレンダーは、常にアクセスする必要があるツールです。これがなければ、何もできません。

私は仕事の電話にも iPhone を利用しています。ほとんどの人と同様に、スマートフォンが私の主要電話になっています。しかし、興味深いことがあります。私が利用しているほぼすべてのサービスには「専用のアプリが存在する」のですが、仕事の電話は例外といえます。シスコ(およびその他の IP 通信インフラストラクチャ プロバイダー)が、それぞれのインフラストラクチャに接続できるモバイル アプリを提供しているにもかかわらず、ほとんどの人は業務電話に iPhone のネイティブ ダイヤラを使用しています。

これらのモバイル アプリには業務電話のエクスペリエンスを向上するさまざまな機能が付いています。VoIP では、Opus などの広帯域音声コーデックを使用して、きわめて明瞭な通話を実現できます。ビデオ通話も可能で、Jabber や Cisco Spark とも高い親和性を持ちます。Cisco Spark を使用すると、別のデバイス(TelePresence エンドポイントやデスクの電話など)に簡単に通話を転送することができます。これらはどれも、標準電話アプリでは得られない優れたエクスペリエンスです。

IT に詳しい人は、モバイル アプリから Wi-Fi を利用することによって通話料を節約しています。これらのモバイル アプリは企業向けの UC インフラストラクチャを使用するため、国際電話の料金も安くすることができます。また、コンプライアンスとセキュリティを強化するのにも効果的です。

しかし、こうしたメリットがあるにもかかわらず、人々はいまだに VoIP アプリを使用せず、携帯番号を使用しています。その理由は、ネイティブ電話アプリがユニバーサルであるためです。つまり、仕事上の連絡先だけでなく、誰に対しても電話をかけることができ、誰からの電話も受けることができるのです。これは、電話機能の重要な要素です。通話履歴リストやアドレス帳から連絡先を選択して電話をかけるときに起動するのも、着信があったときにロック画面上で着信音を鳴らすのも、標準電話アプリです。簡単に言えば、標準電話アプリとは iPhone の電話機能そのものなのです

このすべてが今、変わろうとしています。

iOS 10 のリリースにより、シスコと Apple のパートナーシップが実を結ぼうとしています。iOS 10 に搭載されている新しい API である CallKit を使用して Cisco Spark などのアプリを構成することで、iOS 10 の機能をフル活用できるようになります。この機能統合の最終的な目的は、ユーザがこれまでと同じ使い方で iPhone を使い続けられるようにすることです。ただし実際の通話は、標準電話アプリではなく Cisco Spark によって処理されます。これによって、両者の長所を生かすことができます。慣れ親しんだネイティブ電話アプリの使いやすさはそのままに、iPhone 上で稼働する VoIP アプリの優れた機能を活用することができるのです。

これはエンド ユーザにとってどのような意味があるのでしょうか。

  • iOS 10 がリリースされる前は、携帯での通話中に別の携帯番号の着信があった場合、どちらと通話するかを選択することができました。しかし、VoIP での通話中に携帯電話が着信すると、VoIP は切断されます。iOS 10 では、VoIP が携帯番号と同じように動作し、携帯番号と同じ待ち受け方法を得ることができるのです。
  • iOS 10 がリリースされる前は、電話のロック中に携帯番号が着信すると、おなじみのスワイプ応答画面が表示され、電話に出ることができました。しかし、着信が VoIP コールの場合、システム通知が表示され、電話に出るには、電話のロックを解除して VoIP アプリを起動する必要がありました。この操作に手間取り、電話に出るのに間に合わないことが多くありました。iOS 10 では、VoIP の着信コールが携帯着信と同じように動作し、着信時の動作が携帯番号と同じになります。
  • iOS 10 がリリースされる前は、携帯の着信に出られなかった場合、着信履歴リストからタップすることによってかけ直すことができました。ただし、VoIP の着信に出られなかった場合は、その着信を別途見つけてから VoIP アプリを起動して、そのアプリから電話をかける必要がありました。iOS 10 では、着信履歴リストに VoIP コールが携帯番号と同様に含まれるため、携帯番号に対する折り返しの電話と同じように VoIP で電話をかけることができます。

今回のテーマをご理解いただけたでしょうか。iOS 10 には、今までスマートフォンにはなかった、マジックのような機能が搭載されています。つまり、iOS 10 によって VoIP コールと携帯番号が統合され、標準電話アプリでどちらも処理できるようになったのです。これで、すべての通話方法が統一されました。しかも、VoIP アプリが提供する独自のメリットはそのままです。

私たちは、iOS 10 がエンド ユーザの皆様に届くのをとても楽しみにしています。また、iOS 10 のリリースに合わせて Cisco Spark アプリのアップデートも行われます。Cisco Spark は、この新しいイノベーションを活用するための最初のアプリの 1 つになるでしょう。

私にとっては、さらに iPhone に依存してしまいそうです。:-)今では、「Cisco Spark iPhone の電話機能である」と胸を張って言うことができます。

Apple iOS 10 の詳細についての投稿など、Apple とシスコに関する最新情報はこちらでご確認ください。

 

この記事は、シスコ フェローであり、バイス プレジデント兼 CTO である Jonathan Rosenberg によるブログ「A Deeper Dive on Apple and Cisco(2016/9/13)の抄訳です。