これまで比較的方法論や要素技術を取り上げることが多かったのですが、年末にあたり、今回は少し視点を高くしてみます。「今我々はどこに向かっているのか。」
これについて、回答は明解です。「Digital Age(ディジタル時代)」へ。もしかしたら期待していたよりも急速な勢いで、現在我々は、ディジタル時代へと向かっています。「インターネット時代」において、人類は国境のない自律分散ネットワークを構築しました。これはすごいことです。技術が政治や経済の遥か先を先導し、現代に至った訳です。そして今「ディジタル時代」へ。
「ディジタル時代」においては、あらゆるものがネットワークに繋がり、多量かつ多種多様なデータが統計的・人工知能的に解析処理されます。 全てが瞬時に検索・照合・取引・流通可能となり、従来の、有形資産のみに依拠する業態や、権威だけに基づいた統治は存続が困難になるでしょう。 様々なディストピア的な事態も想定されます。しかし、現在のテロが多発する世界情勢を鑑みると、国家や政治などの権威が、人間の持つ負の感情を増幅していると言わざるを得ません。個人同志だったら、お互いの心を開くことにより、負の感情を増幅させることなく、むしろ分かり合い、喜びや悲しみなどの感情を分かち合うことが可能です。だから私は「ディジタル時代」に望みを託します。技術を中立に、公正に、活用することにより、できるだけ権威を集中させない。権威やそれを取り巻く世間の状況に過度に依存することなく、個人個人が尊重されれば、負の感情が増幅することはない。
何だか話が大それたものになってしまいましたが、ネットワーク システムのアーキテクチャを考える時も、中央集権的権威や命令型(Imperative)制御よりも、自律性、分散性、宣言的(Declarative)制御、オープン性、モジュラー性を重用することによって、システムの多様性、進化、頑健性、スケール性を支えて行きたい、と、強く考えています。
…次回からは、要素技術を中心としたアーキテクチャ論に戻ります。モデル・パターン駆動性、オープンソース活動、ステートの削減などについて、記述して行く予定です。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます!