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Internet of Everything で製品リコールの問題を解消


2015年8月1日


John Kernこの記事は、シスコのサプライチェーン マネジメント担当バイスプレジデント John Kern によるブログ「The Internet of Everything Will Help Solve Problems That Lead To Recallspopup_icon(2015/4/22)を意訳したものです。

製品リコールはお客様にとっても消費者にとっても悩ましいものですが、特に製造業者にとっては大きな損失につながります。

たとえば自動車業界について考えてみましょう。ある自動車メーカーがエアバッグのリコールで被った損失は 2 億 3,500 万ドルに及びます。また、アクセル ペダルの不具合によるリコールで 20 億ドルもの損失を出したメーカーもあります。信じられない金額かもしれませんが、これは事実です。

しかし、リコールは自動車業界に限ったことではありません。食品、玩具、テクノロジー産業など、どの業界でもリコールは起こり得ます。

問題となるのはリコールの規模だけではありません。ブランドの評判にも傷が付きます。さらに、製品リコールをとりまく状況もかつてないほどに複雑化しています。

具体的な例でご説明しましょう。たとえばテクノロジー業界では、IT インフラは相互に関連する多数のソフトウェアおよびハードウェア コンポーネントで構成されています。1 つのコンポーネントまたは 1 行のコードの誤りが、破滅的な結果をもたらすおそれがあります。

メーカーがリコール対象部品を探し出して交換しようとしても、調査が必要だったり、巨大なサプライ チェーンに関連する問題があったりして、非常に長い時間がかかるか、ときには不可能であることもあります。

そこでこれまでは、製品リコールを減らすために製造管理をいかに効率化およびシンプル化するか、ということに関心が集まっていました。

シスコはこの 30 年間、製造業者のビジネス プロセスを最適化する IT サービスを提供してきました。 シスコが現在考えているのは、製品リコールをなくすにはどうすればよいか、ということです。

その答えは Internet of Everything にある、というのが私の考えです。 Internet of Everything では、人、プロセス、データ、モノがすべてネットワークでつながります。さまざまなシステムや機器を、高度な分析やクラウド技術に基づいて適切な人やプロセスにつなぐことで、製造工程の効率性と信頼性を飛躍的に高めることができます。

製品リコールがなくなる日 from シスコシステムズ合同会社

シスコは、これらのテクノロジーを活用することで、工場および現場での障害を予測して防止し、最終的に製品リコールを完全になくすという未来を思い描いています。

どうすればそこまでたどり着けるのでしょうか。

最初の一歩は「製造インテリジェンス」

スマート マニュファクチャリング テクノロジーは、製造業者の改革を 3 つのフェーズにわたって段階的に推進します。

第一のフェーズでは、個々の工場や企業組織の全体にまたがって、すべての製造データを統合します。これはコスト節減、安全性向上、環境への配慮において大きな効果をもたらします。

データを高度な分析やモデリングと組み合わせることで、強力な製造インテリジェンスが構築されます。これが第二のフェーズです。これにより、製造工程での柔軟な対応や、生産レートの最適化、製品カスタマイズの迅速化が実現されます。

さらに、製造インテリジェンスの成熟に伴い、第三のフェーズとして、プロセスと製品のイノベーションが促されます。これによってスマート マニュファクチャリングへの道が開き、あらゆる業界が高度にデジタル化されることになります。

ビジネス リーダーやテクノロジー リーダーが考えるべきこと

今すぐ未来に目を向け始めましょう。スマート マニュファクチャリングを実現するには、以下について計画する必要があります。

  • 工業オートメーション/制御システムとビジネス システムとの迅速かつセキュアな統合
  • 工場部門とビジネス部門を結ぶ 1 つの共通した堅牢なコンバージド ネットワークの構築
  • 運用コストの節減と効率性の向上
  • サプライ チェーンの可視化。何が起きているかをリアルタイムに把握することで、問題をすみやかに特定、解決し、製造ラインのアップタイムと可用性を向上
  • ネットワーク アクセス制御によるセキュリティ強化。アイデンティティ サービスを利用してユーザや場所ごとにネットワーク アクセスを制御することで、セキュリティを向上(安全でない偽造部品の流通防止に有用)

インテリジェンスの強化でさらなる品質向上と迅速な意思決定を実現

たとえば Stanley Black & Decker 社は、製造プロセスを改善するために Wi-Fi インフラと工場全域にわたるイーサネットを導入しました。その結果、可視性が向上し、意思決定が迅速になりました。これまでに、同社のラベル貼付ミスは 16 % 低減し、処理能力は約 10 % 向上しました。

ビルトイン冷蔵庫の先駆者である Sub-Zero 社は、製造プロセスを改善するために、大企業向けのモバイル ビデオ ソリューションを利用しています。このソリューションにより、デザインの仕上げや、生産ラインの問題の修正、設置/サービス担当者のトレーニングを効率化するために役立つビデオや画像を従業員に提供できるようになりました。その結果、工場のダウンタイムが 5 ~ 10 % 短縮し、さらに最近のあるプロジェクトでは、出張の回避と意思決定の迅速化によって 40,000 ドル以上の経費を節減することができました。

製品リコールのリスクがほとんど、あるいは完全になくなったら、ビジネスはどう変わるでしょうか。節約される経費や、企業の信用のことを考えてみてください。

きっと、実現に向けて努力するだけの価値があると思われるのではないでしょうか。そのために欠かせないのが Internet of Everything です。 そして、あらゆる組織にスマート インテリジェンスが導入されるようになれば、製品リコールをなくすことは不可能ではありません。一夜にして実現されることはないにしても、それほど遠い将来の話ではないでしょう。

 

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