この記事は、シスコのモバイル ソリューション担当マネージャーであるアンドリュー・マッケイ(Andrew Mackay)によるブログ「Cost Optimised Indoor Coverage」(2014/9/13)を意訳したものです。
前回の投稿「屋内での LTE 利用」では、特に音声に関して 3G からのサービス移行を進めるために、屋内での LTE カバレッジの課題の解決が不可欠であることを述べました。MNO にはさまざまな選択肢があり、屋外基地局を増設して屋外からの電波を増幅(アウトドア イン)するか、分散アンテナ システム(DAS)、リピータ、またはスモールセルを広く導入して屋内の電波を増幅することにより、屋内でのカバレッジの課題を解決できます。
この「アウトドア イン」アプローチでは、BTS の増設も必要ですが、用地の取得は容易ではなく、建設費も高額になるため、都市部では一般的に適切な選択肢とは言えません。そこで、屋内でのカバレッジの拡大が得策となるわけですが、どのようなソリューションが最適なのでしょうか。
屋内でのカバレッジの拡大には、「ツールボックス」アプローチが有効であるといわれていますが、どのような場面でどのようなツールを使用すればよいのでしょうか。1/4 インチのナットに 6 インチのスパナを使用しても意味がないのと同様、解消すべき屋内のカバレッジ ホールの範囲に合わせて、必要とされるカバレッジとキャパシティを最適なコストのソリューションで提供しなければ問題は解決しません。
そこでシスコは、多くの事業者と連携し、さまざまな屋内カバレッジ ソリューションの総所有コスト(TCO)をモデル化しました。そして最近実施した調査では、分散アンテナ システムとスモールセル(MNO が設置した場合とエンドユーザ自身が(DIY で)設置した場合)を比較し、次のような結果が得られました。
それぞれのキャパシティが大きく異なるため、これはもちろん「同じ条件」での比較結果ではありませんが、 設計ユーザ数で正規化しても、スモールセルを設置した場合のユーザあたりの TCO のメリットが明らかに大きくなります。
またこの調査では、カバレッジ内でサービスを提供する必要があるユーザが増えた場合に、DAS の TCO がどれだけ向上するのかを確認する目的で対象範囲を広げ、企業の規模によって DAS とスモールセルの TCO の比較結果がどのように変化するのかを調べました。
50 人未満の小規模企業(大多数の企業)では、スモールセルのコスト効果が明らかに高くなります。このような企業ではモジュール型のキャパシティが多いため、WLAN インフラストラクチャを再利用し、設置が容易なスモールセルを使用すると、所有する場合と比べてコストが 5 分の 1 以下に抑えられます。対象となる企業の規模が大きくなると、DAS の TCO は同程度になりますが、(250 人を超える)大企業でもスモールセルは有効で TCO が 50% 削減されます。ただし、大企業では、再利用可能な 3G 用の DAS
ですでにカバレッジを実現していることが多いなど、結果は個々の比較で異なります。
屋内でのカバレッジの課題の解決には「ツールボックス」アプローチが有効ですが、このような結果から、中堅・中小企業においては、スモールセルが最適なソリューションであると考えられます。
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