今回はシスコのコラボレーションの中核製品である Cisco Unified Communications Manager を取り上げたいと思います。
Cisco Unified Communications Manager(略称 Unified CM) はコラボレーションアーキテクチャの中核となるサーバです。企業内コラボレーションを支える 4 つの役割という視点でご紹介します。
今月 Cisco Unified Communications Manager 10.5 がリリースされました。私がシスコに入社した 2001年当時、Unified CM の製品名称は Cisco CallManager でした。 当時は旧来のデジタル/アナログの交換機、電話機の世界から 企業内の音声を IP 化する IP テレフォニーへのパラダイムシフトを担っていました。
この 10 年と少しの間、バージョン番号が「3」から「10」へと 2 桁になり、製品名も“Call”Manager (通話管理)から Unified “Communications” Manager (統合コミュニケーション管理)になる道のりのなかで、Cisco Unified Communications Manager は電話だけではなく企業内コラボレーションに必要なの 4 つの顔を持つように進化しました。
その1. 電話の呼制御サーバ
企業内に設置された電話を管理します。呼制御サーバと呼ばれる役割で、構内交換機「PBX」が提供していた機能に相当します。企業内の電話は 家庭の電話とは必要とされる機能が大きく異なり、高度な機能が要求されます。Cisco Unified Communications Manager は企業内の電話コミュニケーションで要求される機能、例えば保留、転送、パーク保留、代理応答、複数ラインなどを Cisco IP Phone や音声ゲートウェイとの組み合わせで実装しています。
ちなみに 17 年前(!)の 1997 年、Cisco Unified Communications Manager のバージョン「1」、つまり CallManager 1.0 から変わっていない機能です。
その2. モバイル コラボレーション
携帯電話やスマート デバイスに関わる機能です。フィーチャ フォンと呼ばれる従来型の携帯電話やスマート デバイスと企業のコラボレーションを連動させることができます。
スマート デバイス向けの Cisco Jabber をソフトフォンとして利用して内線番号を持ち歩く機能はもちろんのこと、携帯電話の番号にコールバックしてから相手に発信する Dial Via Office 機能、企業内の電話機の着信中に、同時に携帯電話も鳴らすシングルナンバー リーチといった機能があります。
モバイル端末の企業内利用が本格化してきた 2007 年に Cisco Unified Communications Manager 6.0 で利用できるようになりました。
その3. インスタントメッセージ
3 つ目はテキストによるコミュニケーションとプレゼンスを提供する機能です。 企業内のコミュニケーションを迅速にかつ円滑に進めるためには、電子メールの利便性と電話のリアルタイム性の二面性を持つテキスト コミュニケーションが不可欠です。また、これらはコンシューマの分野での発展が目覚ましいため、「企業内で管理できるアプリ」が求められています。 以前ご紹介した Cisco Jabber を利用します。
2012年にリリースされた Cisco Unified Communications Manager 9.0 から、別製品であった Cisco Unified Presence を統合する形で実装されています。
その4. テレプレゼンス ビデオ
最後はビデオによるコラボレーションです。
デスクトップ端末である EX/DX シリーズから、会議室に設置する MX シリーズ、 SX シリーズなどの TelePresence エンドポイントを収容し、ビデオのブリッジ機能を提供する Cisco TelePresence Server やスケジューリング機能を提供する Cisco TelePresence Management Suite と連携して小規模から大規模まで、モバイル デバイスから会議室ビデオまで、さまざまなビデオ コラボレーション環境を提供します。
コラボレーションを一元管理するメリット
これらの 4 つの機能はいままではそれぞれ別製品が提供するようなものでした。 Cisco Unified Communications Manager は、4 つの機能を 1 つのサーバで提供することでコラボレーションを一元管理することができます。管理しなければならないサーバを最小化し、どのコラボレーション機能を利用されているかを把握することができます。
また、利用者の立場では、コラボレーションの手段ごとに別のサービスを受けるのではなく、一貫したユーザ エクスペリエンスで直感的に利用できます。例えば、複数の会議室をつないで開催されているビデオ会議に携帯電話から参加する、音声での会話中に製品型番やシリアル番号などの音声では伝えにくい情報をテキスト チャットで送信する、などです。
Cisco Unified Communications Manager 10.x
Cisco Unified Communications Manager 10.x は企業間または企業から消費者へのコラボレーションへの広がりに注力しています。
以前ご紹介した社外から接続できる Collaboration Edge や Jabber Guest など、インターネットから接続する機能もその 1 つです。社外との接続ポイントに Cisco Expressway とよばれるオプションのコンポーネントを加えることで、Unified CM を使った会社間のコミュニケーションをインターネット経由で実現することができます。
また、クラウドで提供されるサービスとオンプレミス製品である Cisco Unified Communications Manager との間で一貫した認証技術を提供できるシングルサインオンを実装しました。この機能は別の機会にご紹介できればと思います。
シスコは今後も企業でのコラボレーション環境の変化に応じてCisco Unified Communications Manager にさまざまな機能を追加し続けます。