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『アイドルは探せた?』 Wi-Fi 位置情報利用実験 イベントレポート in Interop Tokyo 2013


2013年7月16日


ちょっと遅くなりましたが、今回は 6月に Interop Tokyo 2013 の展示会場で実施された、Wi-Fi サービスの位置情報分析を活用したトライアル企画の様子をレポートしたいと思います。

CMX_TItle

この企画とそのベースとなったソリューション、Wi-Fi 位置情報分析ソリューション「Cisco Connected Mobile eXperience (以下 Cisco CMX)」は、本年(2013 年)の Best of Show Award Shownet デモンストレーション部門でグランプリを受賞し、多くの来場者に実用的なシステムとしてご利用いただきました。

公式発表資料:2013.06.10 シスコ ニュースリリース

当日は、ナビタイムジャパン様三井情報様、シスコの 3社の技術協力により、Interop Tokyo 開催20 回記念 特別企画として、3つの大きなサービスが提供されました。

  1. 展示会場内の Wi-Fi インターネット アクセス環境
  2. 専用のスマートフォン アプリによる屋内ナビゲーション サービス
  3. 位置情報を利用した来場者参加型ゲーム『実験企画 位置情報でアイドルを探せ!』

このような利用者側のメリットと同時に、Wi-Fi サービスの提供事業者にとって、利用者の位置情報(行動情報)の分析や可視化を事業の収益向上や顧客エクスペリエンス向上に役立てることは、今非常に関心が高まっている検討事項となっています。そこで会場では、具体的にどのような来場者の傾向分析データが得られるのか?その例を三井情報様とシスコのブースでご覧いただきました。こちらでも沢山の方から、この技術の可能性と具体的な利用案について、熱のこもったご質問をいくつも頂きました。

以下では、提供された各サービスについて詳しくレポートをしていきたいと思います。

1. 展示会場内の Wi-Fi インターネット アクセス環境

三井情報様にご協力をいただき、幕張メッセの Interop Tokyo 2013 の展示会場全域に、91台のアクセスポイントを約 18m の間隔で高密度設置し、ShowNet バックボーンを経由して Wi-Fi インターネット アクセス サービスを提供しました。過剰な電波干渉により、今年も 2.4GHz 帯でのサービスは困難となる事態が予想できたので、シスコでは、設置するすべてのアクセスポイントを 2.4G/5GHz デュアルバンド対応機器で揃え、サービス提供に挑みました。

事前の予想通り、2.4GHz 帯では今年も用意した会場内 Wi-Fi、公衆 Wi-Fi サービスともにデータ通信が困難となったのに対して、5GHz 帯では非常に安定したサービスを対象エリアで提供することができました。

シスコ ブースで来場のお客様に 5GHz 用のSSID を改めてご案内すると、ほとんどの方が対応のスマートデバイスをお持ちだったのが印象的でした。昨年と比べ 5GHz 対応のスマホが大幅に増え、オフィスや店舗などの無線 LAN サービスでも本格的に 5GHz への移行を進めるための土台が固まったなと感じました。

2. 専用のスマートフォン アプリによる屋内ナビゲーション サービス

InteropNavi ナビタイムジャパン様が本イベント向けに開発したスマートフォン用アプリ「Interop NAVI」により、展示会場内の簡易ナビゲーション、会場周辺のコンビニや飲食店の情報、JR 京葉線の電車混雑情報などが来場者向けに提供されました。「Interop NAVI」は Google Play を通じて Interop 展示会開催期間限定で無料でダウンロードしてご利用いただけました。

このアプリの屋内ナビ向けには、主に 2 つの機能が搭載されました。 1 つは、ユーザ デバイスの会場内での現在位置を 3点測位の要領で Cisco CMX によって特定し、その情報をナビタイム様の構築したシステムを経由して、アプリのフロアマップ上に自分の位置として表示する機能。もう 1 つは、ブース名からマップ上での位置を検索する簡易ナビ機能です。目的のブースを探すための実用的なアプリとして利用された方も多かったようです。

 

 

屋内ナビとしての精度(誤差)は、概ね 3m~10m 程度でした。今回の会場は、周囲が打ちっぱなしのコンクリート壁で囲まれており、壁際では反射電波が位置情報の精度に大きく影響を与えることも実証して分かりました。それでも、来場の皆様には「これなら十分実用になる精度ですね」との評価を頂きました。GPS からの電波が届かない屋内でこそ、実はこのような徒歩ナビゲーションが必要になるということを、サービスの利用者側の立場で十分に実感していただけたのではないでしょうか。今回得たノ ウハウから設置技術上の対策や製品の改善を図り、実際にご導入頂くシステムでのサービス品質の向上につなげたいと思います。

CMXcfg

3. 位置情報を利用した来場者参加型ゲーム『実験企画 位置情報でアイドルを探せ!』

Idle スマホと位置情報を利用した新しいタイプのアミューズメントの提案例として、来場者参加型のゲームを Interop 主催者企画として用意しました。

これは、展示会場内のどこかにいる、あらかじめ決められたスマートフォンを持った“アイドル”を、来場者の「Interop NAVI」アプリに示される位置情報をもとに、時間内に探し出すゲームです。見事探し出した方にはプレゼントを差し上げました。直前の告知&限られたゲーム実施時間にも関わらず、1日で 200名を超える方(3日合計で 350名)にご参加いただけるイベントになりました。

探し出した『アイドル』役の女の子とノリノリで記念写真を撮られた方も多かったようで、会期中、業界関係者の Facebook のタイムラインがこの記念写真であふれてたという噂も…(笑)。次は「イケメンを探せ」ですかね ?!

 

屋内ナビの項でご紹介したアプリの画面をご覧いただければわかるように、このゲームでは「Interop NAVI」のナビゲーション機能と同じスクリーンを利用しており、ゲーム実施時間のみ 『アイドル』が持つ特定のデバイスの位置(青丸)を、参加者のデバイス位置(赤丸)とあわせて表示しています。シンプルな作りですが、とても開幕 2週間前に追加企画としてムチャぶりで開発をお願いしてから作り込んでもらったとは思えない完成度の高さ!ナビタイムジャパンのスーパープログラマーの皆様さすがです。開発、本当にお疲れ様でした!

さて、基本的なナビゲーション サービスに加え、最後の最後にこのイベントを追加したのには理由があります。

ビッグデータや位置情報のビジネスへの応用については、個人名を特定できるような情報を収集していないとはいえ、サービス提供側の事業者に自分の行動情報を分析され、見たくもない広告をプッシュされるのではないか、と不安を持たれる方もいらっしゃいます。確かにその不安はわかります。しかしその不安を感じないほどの利用価値の高い顧客サービスや、楽しめるイベントがサービス事業者側から提供されればどうでしょう?

例えばベラージオ ホテルの事例があります。このホテルでは、顧客の位置情報をもとに、ラスベガスの巨大なリゾート ホテルに滞在したことがある方なら「そう、こんなサービスが欲しかった!」と実感できるようなサービスを提供しています。

今回の Interop Tokyo の試みは、ベラージオ ホテルのサービスよりもシンプルですが、来場者にとって「便利さ」に加えて「楽しさ」の面から、位置情報に基づくサービスの可能性を体感いただけたと思います。情報利用に関するポリシーやモラル面の整備も含め、この試みが Wi-Fi サービスの利用者と事業者双方の意識を一歩進め、新たなビジネスを切り開くチャレンジにつながることを期待しています。

来場者の位置情報(行動情報)の分析、可視化

シスコのブースでは、Cisco CMX のロケーション アナリティクス(位置情報分析)を活用した、サービス提供者側の分析の様子を、展示会場のデータを用いたデモでご紹介しました。

まずブースの入り口で来場者の目を引いたのは、『アイドルを探せ!』イベントの案内と一緒に展示されていた Wi-Fi デバイスの会場内の分布状況をヒートマップ形式で示したアプリケーションの画面です。Cisco CMX の位置情報分析のコアとなる Cisco MSE (Mobility Service Engine) のデータを利用し、ナビタイムジャパン様が開発された管理用アプリケーションによって可視化しました。いまどこに来場者が多く集まっているかを表示することができ、Cisco CMX のデータ連係によるシステムの拡張例として、とてもわかりやすいと来場のお客様に好評を頂きました。

Navitime Location Monitor

また、条件を設定した主要回遊経路や滞留時間など、実際のビジネスで必要となる詳しい分析とレポートについては、Cisco MSE によるロケーションアナリティクスのデモを展示会場のデータ分析結果を用いてご覧いただきました。外部アプリケーションと Cisco MSE との連携はプログラムやシステムの開発が必要になりますが、Cisco MSE のみでも、主要なデータ分析機能が網羅されており、すぐにビジネスに役立つレポートが作成できます。

LA_CMX

 

おかげ様で、今年もシスコ ブースにはたくさんの方にご来場頂き、混雑の中で十分ご説明が行き届かなかった部分もあったかと思います。Cisco CMX および、シスコ ワイヤレス ソリューションの導入について詳しい情報をご希望のお客様には改めてご説明の機会を調整させていただきたいと思います。どうぞ、御社担当のシスコ営業、またはシスコ パートナー各社の御社担当営業まで、まずはご相談ください。

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