3 回連載でお伝えするシスコのコラボレーション ソリューションの最新情報。前回までに Cisco Jabber Guest と Cisco Collaboration Edge を説明しました。今回はシスコのエンドポイントの新機能である「Cisco Intelligent Proximity」をご紹介します。
Cisco Intelligent Proximity はスマートデバイスとシスコのエンドポイントが連携することで電話をユーザエクスペリエンスを向上させる機能です。デスクトップタイプのエンドポイントおよび会議室タイプのエンドポイントの 2 つのCisco Intelligent Proximity があります。
1 つ目の Cisco Intelligent Proximity : デスク電話とスマートデバイス連携
iPhone, iPad および Android をはじめとするスマートデバイスの発達は目覚ましいものがあります。それは「デバイスそのもの」の機能だけではなく、外部デバイスとの連携についても同じことが言えます。
私は最近車を購入したのですが、最近のカーナビゲーションでは、スマートフォンと連携して電話を発着信する、車に備え付けたマイク/スピーカーでハンズフリー通話をする、あるいは電話帳を同期する、ということが 簡単にできます。これは、カーナビゲーションはカーナビゲーションの仕事、スマートデバイスはスマートデバイスの仕事に専念し、共通の通信規格である Bluetooth を使って連携することによって、便利に利用できる一例かと思います。
1 つめの Cisco Intelligent Proximity は、カーナビゲーションのようにスマートデバイスとを連携させる機能です。例えば Cisco Desktop Collaboration Experience DX650。これは シスコが提供するビデオ エンドポイントで、音声のほか、HD に対応したビデオ通話や各種 Android アプリケーションが動作し、モニター、キーボード、マウスなどの外部デバイスを接続できます。
DX650 の拡張性を 1 つとして、 Bluetooth インターフェイスを装備していることが挙げられます。本来は、ハンドセットやヘッドセットなどを利用するために備わっている機能ですが、最新 Firmware では、スマートデバイスとの連携が可能になっています。
DX 650 とスマートデバイスを接続すると、DX 650 にスマートデバイスの電話番号が表示され、カーナビゲーションの連携でお話ししたような DX 650 からの携帯電話の発着信ができます。
下記がスマートデバイスと連携したDX650の画面です。
内線番号 1003 の下に携帯電話番号 090XXXXXXX が表示され、そこから携帯電話の回線を使った電話ができます。オフィスにいるときは、デスクの電話機のハンドセットを使って通話をし、移動するのであれ ば「移動」ボタンを押すことでスマートフォンに音声を移すことができます。
また、逆に通話をしながらオフィスに戻ってきた際に通話をデスクの電話機に移動することも可能です。下記はiPhone上で通話をしているときの画面です。
赤いボタンを押すことで、通話を DX650 に移動できます。スマートデバイスで電話帳を管理されている方もいるでしょうから、その電話帳をデスクの電話機に移動させることも可能になります。
ところで、会社のセキュリティポリシーによっては、逆にこの機能を使わせたくない、という場合もあるかと思います。企業の IT 管理者はこの機能のオン/オフを設定することができます。下記は Cisco Unified Communications Manager 管理者画面となります。 各 DX650 の Bluetooth 設定を集中管理できます。
Bluetooth PBAP(Phone Book Access Profile)に対応したスマートデバイスであれば、アプリケーションを追加インストールすることなくこの機能をご利用いただけます。
2つ目の Cisco Intelligent Proximity : 資料表示
2 つ目の Cisco Intelligent Proximity として、これからシスコが MX シリーズおよび SX シリーズと言った会議室向けビデオ エンドポイントに実装しようとしている機能をご紹介します。
会議室のビデオ会議で、資料共有はご利用したことがありますでしょうか?ビデオ会議中にビデオの中に埋め込むタイプが主流かと思います。文字が多い資料だと、「手元で資料を閲覧したいな」あるいは「1枚前のスライドを確認したいけど、会議全体の進行を妨げたくないな」という場合もあるかと思います。そういう場合に備えて、資料を紙で印刷しておく、という方もいらっしゃいますが、その費用や利用後の処理を考えるとデメリットの方が大きいでしょう。
さて、シスコの回答はスマートデバイスとの連携です。会議中の部屋にご自身のスマートデバイスを持ち込み、ご自身のスマートデバイスで資料を表示し、自分のペースで1枚前のスライドをチェックする、あるいはスクリーンキャプチャできると便利かと思います。
シスコは会議室向けのビデオ エンドポイントにスマートデバイスのアプリケーションを提供し、部屋の中のスマートデバイスにビデオエンドポイントが送信した資料表示させる機能を開発中です。人間の耳には聞こえない周波数の音(超音波)を利用しているため、同じ部屋にいる複数ユーザがアプリを起動するだけで簡単に利用できます。
現在、コンセプトデモをお見せしており、2014 年中にはこの機能を広くご利用いただけるよう準備中です。
まとめ
最後に 2 つの機能の共通した特徴を述べます。それは、スマートデバイスをネットワーク経由ではなく、Bluetooth や超音波を利用することで、ペアリングすることが利用可能であることです。複雑な認証などが必要なく、簡単な手順で近くにあるデバイスとの連携が可能です。
2 つの Cisco Intelligent Proximity はいかがでしたでしょうか? Proximity は「近くに接している」という意味です。近くにスマートなデバイスと「賢く」オフィスのデバイスとを連携させることで、いっそうオフィス内のコラボレーション が便利になるかと思います。これら 2 つの機能はスマートデバイス連携の入り口にすぎません。シスコはますます普及が予測されるスマートデバイスが企業内外のコラボレーションのキーになるよう、機能開発を続けています。
3 回にわたって新機能をご紹介してきました。今後も本ブログでは新しい情報や日常で感じたコラボレーションについて書いて行きたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。
参考サイト:
- プレスリリース:シスコ、今日のワークスペースに合わせて設計された新しい企業向けコラボレーション ソリューションを発表
- Cisco Desktop Collaboration Experience DX650
- Cisco Intelligent Proximity (英語)
補足 (2014/4/24)
「まとめ」にて誤解を招く記述がありましたので訂正します。資料表示の場合はペアリング時は超音波ですが、コンテンツ表示するときにはネットワーク接続が必要です。今後のブログで詳細を解説します。
補足 (2014/5/12)
2つ目の Cisco Intelligent Proximity : 資料表示について実際の利用方法を投稿しました。機材がご用意できる方はお試しください。
2 コメント
スマートデバイスにビデオエンドポイントの資料が表示できる機能、リリースが楽しみです。とても便利な機能だと思います。
吉田さん、
コメントありがとうございます。
Cisco Intelligent Proximity 資料表示について、実際の利用方法を投稿しました。
(実験室) Cisco Intelligent Proximity 資料表示 : いち早く体験してみる
機会があれば試してみてください。