この記事は、Engineering Sustainability Office の Vice President Denise Lee
によるブログ「Building a Sustainable Future Together」(2023/9/13)の抄訳です。
今日世界は数々の課題に直面していますが、その中でも存亡に関わるほど重大な課題の 1 つが気候変動です。経営幹部や取締役会に対してサステナビリティへの取り組みを求める声は年々高まっています。単にサステナビリティ目標を設定するだけでは取り組みとして十分ではなく、確実に目標を達成しなければなりません。シスコは、サステナビリティ目標の達成に向けたお客様の取り組みをサポートすべく、イノベーションを進めています。お客様が排出量削減、エネルギー効率向上、CO2 排出量削減を実現できるよう支援し、可視性とインサイトを提供することがその目的です。
企業は今、自社のサステナビリティへの取り組みについて、ビジネスの成果を生み出し、イノベーションを促進し、競争力を高めるという、より大きな戦略の一環として考えるようになりつつあります。また、サステナビリティに対する組織のアプローチを推進するにあたっては、IT 部門の担う役割がますます重要なものになっています。ですが、サステナビリティ目標の達成に向けた戦略を策定して取り組みを推進することは容易ではありません。ビジネスリーダーの 80%(英語) が、組織全体がネットゼロのビジネスモデルに転換するうえでは技術革新が重要な役割を担うと断言しています。その一方で、IT 部門の上級意思決定者の 75% は、IT 関連の排出量は削減が極めて難しいものの 1 つだと答えています。サステナビリティ目標の達成を固く決意していたとしても、排出量削減のスピードをさらに上げなければ(英語)ほとんどの組織は目標を達成できません。
CO2 排出量の測定:スコープ 1 ~ 3
シスコは 2005 年からサステナビリティに関するレポートを作成しています。すべての人のためにインクルーシブな未来を実現する(英語)というパーパスのもと、意欲的な環境保全目標をシスコは設定しました。その一環として、2040 年までにバリューチェーン全体(スコープ 1、2、3)で温室効果ガス(GHG)排出量をネットゼロにするという目標を掲げています。スコープ 1 と 2 については、2025 年までに 90% 削減する予定です。購入した商品とサービス、上流の輸送と流通、販売した製品の使用に関連するスコープ 3 排出量については、2030 年までに絶対量で 30% 削減する計画を立てています。
GHG 排出量の目標達成に向けて取り組むにあたっては、これら 3 つのスコープすべてで同じように排出量を測定できるわけではないことを知っておくことが重要です。スコープ 1 と 2 は、企業が所有または管理する事業に直接的あるいは間接的に関連する排出量なので、数値化も削減もかなり容易です。一方スコープ 3 は、サードパーティを含む企業のバリューチェーン全体にまたがる可能性があります。サステナビリティ目標の達成に本気で取り組むなら、スコープ 3 の排出量の課題を解決できる戦略と実践的なアプローチが必要です。
持続可能なソリューションを提供
シスコは、サステナビリティ目標の設定とその達成に向けた取り組みをお客様が促進できるよう、イノベーションを進めています。
- エネルギー管理。シスコは、お客様が正確に排出量を測定できるよう、データセンターからキャンパスまでの可視性とインサイトを標準化すべく、可能性を切り開いています。エネルギー管理機能(英語)をシスコのポートフォリオ全体に組み込むことで、ネットワークをコントロールプレーンとして活用し、エネルギーの測定、モニタリング、管理を行えるようにするというものです。
- 電力とデータを連携させるエネルギーネットワーキング。新たなユースケース実現のために自動化とエネルギー消費の管理を促進するエネルギー ネットワーキング(英語) ソリューションの開発も進めています。サステナビリティに対応するために電力とデータを連携させるというシスコの取り組みは、よりシンプルで安全な方法でのエネルギー供給に資するものです。
シスコは、お客様がそれぞれのユースケースでテクノロジーを自由に選んで活用することのできる持続可能なソリューション(英語)とオファーを提供しています。
- データセンター ソリューション。データセンターでは、サステナビリティの基盤を構築しようとしています。これにより、エネルギー消費削減、エネルギー効率向上、クラウド管理によるサステナビリティを実現することができます。シスコのソリューションは、冷却効率、環境モニタリング、電力最適化などのユースケースに対応できます。AI 需要の増加に伴い、データセンターのインフラストラクチャに対する要求の高まりによって、エコシステムとアーキテクチャ全般の大幅なアップグレードが必要になると見込まれます。
- シスコのスマートビルディングとインテリジェントなワークスペース。シスコのソリューションは、お客様が物理スペースについてのインサイトを入手し、安全でスマートかつシームレスなワークプレイスを実現するのに役立ちます。お客様は、利用状況、環境の健全性、ビル制御、照明に関連するユースケースに対処できるようになります。また、あらゆるエンドポイントとデバイスで POE を接続することにより、現在進められているハイブリッドワークへの移行をさらに下支えしていきます。
- 未来のインターネット。シスコのイノベーションは、エネルギー消費と使用スペースの削減、メンテナンスサイクルの短縮、サービスプロバイダーのキャパシティと拡張性の向上に役立ちます。
ネットゼロ達成に向けた取り組みをスタート
シスコはエンジニアリング サステナビリティ オフィスを通じて、シスコのポートフォリオ全体への持続可能なテクノロジーの組み込みを促進すべく継続的に投資を行っています。設計から市場投入までエンジニアリングチームと直接連携し、ポートフォリオのロードマップにサステナビリティを組み込んでいます。また、シスコのチーフ サステナビリティ オフィス、サプライチェーン部門、法務部門と連携してエネルギー効率と排出量の指標の変化に対応し、お客様のネットゼロ達成に向けた取り組みを支援します。
シスコはサステナビリティをシスコのビジネスやソリューションの中核に組み込むべく取り組みを進めています。このシスコの取り組みは、お客様が自社のサステナビリティ目標の達成に向けて歩を進める助けとなるものです。お客様が目標達成に向けて順調に進むには、包括的な可視化(最新化と測定の計画策定)と、長期的なサステナビリティに対するエンドツーエンドのアプローチが必要です。では、取り組みを始める方法についてご紹介しましょう。
- 最大限の可視化。目標を達成するには、排出量の現状を包括的に把握し、それを基準として目標の進捗を測定できる仕組みが必要です。シスコの組み込み型のエネルギー管理機能(英語)は、GHG 排出量と CO2 換算量の測定に必要な支援を提供するものです。
- 最新化と測定。現状を把握したら、ネットゼロ達成に向けて歩を進めていけるよう、行動計画を作成することになります。シスコは、インフラストラクチャの最新化を支援し、お客様が循環型設計(英語)の原則をもとに構築されたハードウェアを使用できるようにします。IT インフラストラクチャを最新化すれば、パフォーマンスが向上し、エネルギー効率が高まり、全体的な環境フットプリントを削減できるようになります。IT インフラストラクチャがサステナビリティにとって最も適した状態になったら、エネルギー消費をモニタリングして測定します。Nexus Dashboard、Cisco Intersight、Cisco IoT、Meraki センサーなどのシスコのコア製品には、エネルギー管理機能が組み込まれています。これを活用すれば、ネットワークに関するリアルタイムのインサイトを入手できます。
- エンドツーエンドのサステナビリティ基盤を構築。IT、OT、エネルギーネットワークの運用管理に関する戦略を見直し、自動化、エネルギー、リソースの効率化に力を入れます。使用済みの機器を再利用またはリサイクルし、環境への影響をエンドツーエンドで低減します。シスコは、環境への影響の低減に役立つ、製品ライフサイクル循環型 IT プログラムとサービスを提供しています。シスコでは、返品された機器のほぼ 100% を再利用またはリサイクルしています。
シスコのソリューション、そしてサステナビリティに重点を置いた長年にわたる取り組みの両方で、企業や IT 部門がより持続可能な未来を見据えた選択を行えるようサポートします。持続可能な未来の構築に向けて、次の一歩をともに踏み出しましょう。
サステナビリティ目標の達成に向けた取り組みのベストプラクティスについて詳しくは、
新たに公開したホワイトペーパーをご覧ください。
CIO/IT リーダー向け:サステナビリティに関するスタートアップガイド(英語)