3回連載でお伝えするシスコのコラボレーションソリューションの最新情報。第 1 回では、Cisco Jabber Guest を紹介しました。第 2 回目である今回は、Cisco Jabber の新機能である Cisco Collaboration Edge について説明します。
コミュニケーション ツールのコンシューマライゼーション
昨今、スマート デバイスで動作するインターネット上のコミュニケーション アプリケーションが広まっています。簡単に利用できて便利です。
プライベートで利用しているこれらのアプリケーションをビジネスで利用できれば、取引先から、自宅から、喫茶店で一服しながら、アプリケーションを起動するだけでビデオによる通話ができます。また、電車による移動中にでも、調べもののためにテキスト チャットを使ってちょっとした質問を専門家にするなど、限られた時間を有効に活用することができます。
しかし、ここで考えてみてください。それらは安全で安心に会社で利用できるアプリケーションでしょうか?
企業向けコラボレーションアプリ Cisco Jabber とは?
Cisco Jabber は、ビジネス向けのコラボレーション環境を提供するアプリケーションです。チャットやプレゼンス、音声、ビデオ、ボイス メール、電話帳機能が 1 つのアプリケーションに集約され、内線番号を外出先にも持ち歩くことが可能です。Windows や Macといったデスクトップはもちろん、iPhone、iPad、Android といったスマート デバイスにも対応しており、上記にあげたようなコンシューマ向けアプリケーションに備わっている機能を「企業向け」に提供しています。Cisco Jabber の利用者は、さまざまなデバイスから、いつでもどこでも「仕事に関わるコラボレーション」が利用できます。しかも、チャットの履歴管理やファイルの送受信可否など、管理者が設定した適切なポリシーに基づいて制御されます。
Cisco Jabber の利便性をさらに高める Collaboration Edge
Cisco Jabber に実装される Collaboration Edge 機能は、この「どこからでも」をさらに拡張します。会社にいるときは社内のネットワークを経由して、3G や LTE などのモバイル ネットワークを利用しているときにはインターネット接続を経由して、 Cisco Jabber は社内のサーバに接続します。これにより、外出中であっても、Cisco Jabber のすべてのサービスを継続して利用できます。なお、インターネット経由に切り替わると、Cisco Jabber はサーバとの接続をセキュリティ レベルのプロトコルに変更します。
さらに Cisco Expressway が社外との間のゲートウェイ機能を提供します 。 Cisco Unified Communications Manager をはじめとする各種ユニファイド コミュニケーション(UC)サーバと Cisco Jabber との間に Cisco Expressway が入ることで、各種シグナリングを暗号化され、インターネット上の通信に適したプロトコルに変換されます。社内から Cisco Jabber を利用しているときには Cisco Expressway を経由せずにサーバと接続するので、不必要にネットワークやサーバ リソースを消費することもありません。
Collaboration Edge の論理図は次のようになります。これを見ると Cisco Expressway が挿入されることでサーバが増えているように見えますが、コラボレーション関連のサーバ機能はすべて仮想マシンで動作させることができるため、物理的には 1 台の Cisco UCS(Unified Computing System)で十分です。
外出先からのネットワーク アクセスという観点からいうと、Cisco AnyConnect と呼ばれる VPN ソリューションも選択肢のひとつです。Cisco AnyConnect を導入すれば、Cisco Jabber だけではなく、イントラネットの Web ページやメールを含めてすべての社内アプリケーションを、社外からでも利用可能になります。Collaboration Edge は、Cisco Jabber の機能のみを社外から 利用したいという要望に答えるために開発されました。
また、 Cisco Jabber の展開形態には、社内でサーバを設置するオンプレミス型と、すでにインターネット上に提供されているサービスを利用するクラウド型の 2 種類があります。今回ご説明した Collaboration Edge はオンプレミス型での展開する場合のソリューションとなります。
スマート デバイスのコンシューマ向けアプリケーション利用による勝手コラボレーションを黙認する前に、企業向けのコラボレーション ツールである Cisco Jabber をご検討いただければと思います。
参考サイト:
- プレスリリース:シスコ、今日のワークスペースに合わせて設計された新しい企業向けコラボレーション ソリューションを発表
- Cisco Jabber
- Cisco Collaboration Edge Architecture(英語)
- Cisco Expressway Series(英語)