「VMware Horizon View と Cisco UCS とで 3D グラフィックス」の続編です。
VMware Horizon View で高度な画像処理を実現するハードウェア アクセラレーション技術である vSGA および vDGA を Cisco UCS で動作させるには、NVIDIA の最新 GPU(Graphics Processing Unit)である、NVIDIA GRID K1 / K2 が必要です。vSGA と vDGA の前に、NVIDIA GRID K1 / K2 についての話をしましょう。
ここで、ひとつ問題です。NVIDIA GRID K1 / K2 は、サーバで使用する GPU を搭載した PCI カードですが、NVIDIA GRID K1 / K2 には、PC やワークステーションで使用する一般的なグラフィックス処理を行う GPU カードには必ずあるはずの何かがありません。それはなんでしょうか。
答えは、VGA や DVI などの映像出力端子です。PC やワークステーションで GPU カードを使う場合、GPU で描画された映像は、映像出力を通じてディスプレイに出力されます。しかし、NVIDIA GRID K1 / K2 には映像出力端子がありません。では、NVIDIA GRID K1 / K2 で描画された映像は、ディスプレイではなくどこに行くのでしょうか。それは、PCoIP などのディスプレイ配信プロトコルを通じて、リモートのクライアントに配信されるのです。まさに NVIDIA GRID K1 / K2 は、仮想デスクトップのための GPU と言うことができます。
では、現在 Cisco UCS で利用できる NVIDIA の GPU である、GRID K1 と GRID K2 のスペックをみてみましょう。
GRID K1 | GRID K2 | |
GPU 数 | 4 x エントリ Kepler GPU | 2 x ハイエンドKepler GPU |
合計 NVIDIA CUDA コア | 768 (1GPU あたり 192) | 3072 (1GPU あたり 1536) |
合計メモリサイズ | 16 GB DDR3 | 8 GB GDDR5 |
GRID K1 と GRID K2 の違いで重要なのは、搭載されている GPU の数とパフォーマンスです。
- GRID K1 は、エントリレベルの GPU を 4 つ搭載したモデル
それに対して、
- GRID K2 は、ハイエンドの GPU を 2 つ搭載したモデル
です。ネットワーク インターフェイス カード(NIC)に例えるなら、K1 は 4Port 1GB NIC、K2 は 2Port 10GB NIC といったところでしょうか。
この NVIDIA GRID K1 / K2 を取り付けられるのが、Cisco UCS C240 M3 ラック サーバです。C240 M3 は、
- 2 ソケット Intel Xeon E5-2600 プロセッサ
- 24 の DIMM スロットで最大 768 GB の RAM
- 24 基の 内蔵ストレージ スロット
- 5 つの PCI スロット
を持つ、非常に拡張性の高い 2RU サイズのラックサーバです。この C240 M3 に、
- NVIDIA GRID K1 x2 枚 または NVIDIA GRID K2 x2 枚
装着することができます。よって、
- GRID K1 を 2 枚装着した場合、エントリレベルの GPU が 8 つ
- GRID K2 を 2 枚装着した場合、ハイエンドの GPU が 4 つ
C240 M3 で使用できます。
また、NVIDA GRID GPU を搭載した C240 M3 も Cisco UCS C シリーズ ラック サーバの特長である、Cisco UCS Manager との統合が可能であるため、Cisco UCS Manager で管理すれば、Cisco UCS のサービス プロファイルを利用することもできるようになり、ブレードサーバ同様の運用が可能です。
NVIDIA GRID K1 または NVIDIA GRID K2 を載せた UCS C240 M3 を VMware Horizon View で使う方法が 2通りあり、それが vSGA と vDGA なのですが、これらについては、次回にさせていただくことにしましょう。では。
関連エントリ
- VMware Horizon View と Cisco UCS とで 3D グラフィックス
- NVIDIA GRID K1 / K2 と Cisco UCS C240 M3(当エントリ)
- vSGA と vDGA を UCS C240 M3 で!