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やわらかいインフラ(8) – 5つの要素(5)「Observe」

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今回は、「やわらかいインフラ」を構成する5つの要素、Connect / Secure / Optimize / Automate / Observe のうち、最後の要素となる「Observe」について解説します。 

「Observe」では、ユーザーからアプリケーションに至るまでエンドツーエンドで可視化を行い、ユーザーのデジタル体験に影響を及ぼす問題を迅速に解決することを目的としています。

やわらかいインフラの構成要素

やわらかいインフラの構成要素

アプリケーション、データ、ユーザー、デバイスの変化に伴うIT インフラの変化

はじめに、いまなぜエンドツーエンドの可視化の重要性が増しているのか、IT 環境の変化を踏まえながら説明したいと思います。

それほど遠くない昔、業務で利用するアプリケーションやデータの多くは、社内のイントラネットワーク上に存在していました。従業員はオフィス LAN、あるいは VPN 経由で社内ネットワークに接続し、業務アプリケーションやデータにアクセスしていました。

しかし今では、Webex や Office365 に代表されるような SaaS、さらにパブリッククラウドの利用が急速に進み、業務で利用するアプリケーションやデータは、社内だけでなく、社外にも存在するようになりました。それらの変化に伴い、ITインフラも変化が求められるようになり、ダイレクト インターネット アクセス や ダイナミック スプリット トンネリング などの通信最適化技術の導入が進んでいます。また、社内外を出入りするユーザーやモバイルデバイスの増加、さらに IoT など、ネットワークに接続するユーザーやデバイスも多様化しています。

ここで重要な点は、アプリケーション、データ、ユーザー、デバイスの変化に伴い、ITインフラも変化し、IT 環境全体が複雑化しているということです。

アプリケーション、データ、ユーザー、デバイスの変化に伴うITインフラの変化

アプリケーション、データ、ユーザー、デバイスの変化に伴うITインフラの変化

複雑化した IT 環境におけるエンドツーエンドの可視化

このように複雑化した IT 環境において、多くの企業が直面している課題の1つに、ユーザーからアプリケーションに至るまでのエンドツーエンドでの可視性がないことが挙げられます。そのため、ユーザーのデジタル体験に影響を及ぼす問題が起きた場合に、問題の被疑箇所の特定に時間がかかり、結果として、ユーザーの業務に大きな影響を及ぼす可能性があります。

やわらかいインフラの要素「Observe」では、ユーザーからアプリケーションに至るまでのエンドツーエンドの可視化を実現し、問題発生時の迅速な解決を支援します。その実現のためには、「ユーザーのデジタル体験の可視化」と「IT インフラの可視化」 の 2つ側面での可視化が必要となります。前者を実現する方法の1つとして、シスコ フルスタック オブザーバビリティ (FSO) があります。また後者は、ドメイン毎に抽象化されたコントローラにより実現します。

やわらかいインフラの全体図では、以下の図のように表現されます。

やわらかいインフラでのObserveの立ち位置

やわらかいインフラでのObserveの立ち位置

シスコ フルスタック オブザーバビリティによるユーザーデジタル体験の可視化

シスコ フルスタック オブザーバビリティは 3つの柱から成り立ちます。

  1. フルスタック Visibility: デジタル体験に関連する複数のドメインのデータ収集
  2. フルスタック Insights: 複数ドメインにまたがるデータの紐づけからインサイト獲得
  3. フルスタック Actions: デジタル体験に影響を与える問題に対処

これらを実現するのに重要なソリューションが、AppDynamics と ThousandEyes です。

ThousandEyes は、インターネットを含む、全てのネットワークを自分のネットワークのように可視化することを可能とします。AppDynamics は、1つ 1つのビジネストランザクションすべてを監視します。この 2つを組み合わせることで、ユーザーからアプリケーションに至るまでのエンドツーエンドで、問題の被疑箇所を迅速に特定することが可能となります。

AppDynamics と ThousandEyes によるエンドツーエンドの可視化

AppDynamics と ThousandEyes によるエンドツーエンドの可視化

抽象化されたコントローラによる IT インフラの可視化

抽象化されたコントローラによる IT インフラ可視化の例として、データセンター ネットワークの代表的装置である ACI (Application Centric Infrastructure) と Nexus Dashboard Insights (NDI) が挙げられます。APIC コントローラ (Application Policy Infrastructure Controller) により、複数台の Cisco Nexus スイッチが1台の論理スイッチとして抽象化されます。高度な可視化機能を提供する NDI と組み合わせることで、各スイッチのテレメトリ情報が NDI に集約され、AI / MLによるデータの関連付けが行われ、データセンター ネットワーク全体で何が起きているのかを把握できます。

もし何らかの異常が発生した場合、NDI が Anomaly (異常) を識別し、その問題箇所の特定、根本原因の究明、および修復策の提示まで行うことが可能です。

Nexus Dashboard Insight と ACI によるデータセンター ネットワーク可視化

Nexus Dashboard Insight と ACI によるデータセンター ネットワーク可視化

 

 

ユーザーのデジタル体験データをもとにした迅速な問題解決

やわらかいインフラの要素「Observe」では、ユーザーのデジタル体験に関するデータを元にして、問題調査を進めることで、迅速な問題解決を支援します。例えば、以下のような問題解決フローが挙げられます。

  1. ある業務用 Web サイトへの接続の問題が発生しはじめたことを FSO により検知 ※ユーザーからの問い合わせが来る前に FSO で検知可能
  2. ユーザーからアプリケーションに至るまでのエンドツーエンドの内、問題の被疑箇所がデータセンター ネットワークであることを FSO により確認
  3. Nexus Dashboard Insights により、データセンター ネットワーク内の Anomaly (異常) を把握
  4. Nexus Dashboard Insights により、Anomaly の根本原因の特定、修復策の推奨に基づき対処

 

最後に

今回のブログでは、「やわらかいインフラ」の最後の要素「Observe」について解説しました。アプリケーション、データ、ユーザー、デバイスの変化に伴い、IT インフラも変化が求められ、IT 環境全体の複雑性が増す中、エンドツーエンドの可視化はますます重要性を増しています。シスコ フルスタック オブザーバビリティ (FSO) を活用し、ユーザーのデジタル体験の可視化を行うとともに、高度な IT インフラの運用が可能となる Nexus Dashboard Insights のようなソリューションを組み合わせることで、迅速な問題解決を目指します。

 

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Authors

冨田 誠

Customer Delivery Architect

Customer Experience

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