前回のブログでは「やわらかいインフラ」誕生の背景と概要について解説しました。今回は「やわらかいインフラ」のメリットと構成要素の概要について解説します。
「やわらかいインフラ」の特長
第1回では、IT インフラをとりまく環境の変化は早く、DX ビジネスを成功するためには、抽象化され、柔軟な「やわらかいインフラ」が必要になると解説しました。また「やわらかいインフラ」によって多様性・順応性・拡張性・セキュリティ・迅速性が実現され、これからのインフラに求められる要件に対応します。
これまでのインフラは、DX ビジネスやアプリケーションが要求する要件が確定されてから設計・構築するため、インフラへの要件が変化するたびに変更が必要となる受け身の「かたいインフラ」でした。
様々な DX ビジネスやアプリケーション要件の追加・変更に、柔軟且つ迅速に対応するためにはインフラを最初に考える「インフラファースト」で構築することが必要であり、「やわらかいインフラ」の構築方法です。
「やわらかいインフラ」の要素
「インフラファースト」で「やわらかいインフラ」を構築するためには、従来の「かたいインフラ」を抽象化によりやわらかくすることがポイントになります。また、やわらかくするための要素がインフラ全体で提供されていることが必要です。
従来は、コンピュートおよびクラウド上でデータやアプリケーションが動作し、インフラを利用するユーザーや接続されるデバイスごとに回線を設定し、セキュリティは境界型でした。「やわらかいインフラ」は Connect / Secure / Optimize / Automate / Observe の 5つの要素により、抽象化された柔軟なインフラを構成します。
1つ目の Connect は IoT デバイス、5G、Edge などの今後の様々接続ニーズに対応し、2つ目のSecureで物理的境界から脱却して柔軟かつ堅牢にインフラ・データ・アプリケーション・デバイス・ユーザなどの全体を守ります。3つ目の Optimize で、固定的な物理デバイスを抽象化し、論理的な「やわらかいインフラ」として表現することで、様々な変更に柔軟に対応し IT インフラのリソースを最適に利用できます。
4つ目のAutomateでインフラ運用の自動化により省力化され、オペレーションミスが発生しない運用が可能となりワンストップでの迅速な運用を実現します。さらに 5つ目の Observe でユーザやアプリケーションからインフラに至るまでエンドツーエンドでの可視化を実現し、相関関係を明確にして自律的な運転を可能にすることで、ユーザのデジタル体験を最適化します。
インフラファーストで構築された「やわらかいインフラ」に移行することで、「クラウド時代の DX プラットフォーム」として今後の DX ビジネスで活用される新たな DX アプリケーションにも対応できるようになります。さらに変化の激しいビジネスにおいて頻発するデータ層やアプリケーション層の変更にも、アジャイルで対応できるようになります。このようにユーザのデジタル体験を向上させることは、企業 DX ビジネスの成功およびビジネスの成長につながります。
新たな DX アプリケーションを構築する前に「やわらかいインフラ」に移行することが、DX ビジネスを推進するために重要であることを理解いただけたでしょうか。
「やわらかいインフラ」の構成
5つの要素を取り込んだ「やわらかいインフラ」を技術的な要素にしてみると、全体として以下のような構成が考えられます。
ここでは、大きく3つの層で構成され、ユーザやアプリケーションは柔軟にリソースを利用することができます。
- 固定的で柔軟な変更が難しい物理アンダーレイ
- 2つ目は抽象化により柔軟な変更を実現する論理オーバーレイ
- 3つ目が全体を一元的な制御監視する制御コントロールレイヤ
ここまで、「やわらかいインフラ」の全体概要について説明しました。次回から、やわらかいインフラを構成する各要素を説明していきます。
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