本記事ではシスコ 5G ショーケースでご覧いただける、複数拠点データセンターネットワークを一元管理する Data Center Anywhere の概要とデモ内容についてご紹介します。
Cisco Data Center Anywhere
5G ネットワークの本格導入が進む昨今では、5G 化に伴うデータ量の増加、高速低遅延サービスを実現するためのエッジコンピューティング、クラウドサービスの拡張などデータセンターの分散化が進んでいます。
これに伴ってデータセンターの運用が複雑化し、物理的に離れたデータセンターの一元管理、クラウドとオンプレミス環境の統合といった様々な課題が生じています。
シスコでは、データが存在し、アプリケーションが展開されるあらゆる場所にデータセンターを拡張する「Data Center Anywhere」ビジョンを実現するため、 NDO (Nexus Dashboard Orchestrator) による複数のデータセンターネットワーク連携機能と、 ACI の Remote Leaf 機能を組み合わせ、オンプレミス、クラウド、そしてエッジデータセンターのネットワークに対して一元的かつ迅速な構築/運用/管理を可能にするソリューションを提供しています。
シスコ 5G ショーケースでは、デモとして以下の 3つをご覧いただけます。
- NDO:データセンター間の相互接続と、複数拠点に対するポリシーの一元管理と展開
- Cisco ACI – Remote Leaf:エッジコンピューティング基盤向けネットワーク延伸
- Cisco ACI – Segment Routing Hand Off:セグメントルーティング連携
Cisco ACI
Cisco ACI は、シスコが提供するデータセンター基盤向けSoftware Defined Networking (SDN) 製品です。
ACI で構成されたネットワークは IP アドレス構成に依存せず、サーバやネットワーク機器をグルーピングして用途ごとに分類できます。つまりデータセンター全体を抽象化する巨大なスイッチとみなすことができます。
ACI は Spine スイッチ、Leaf スイッチ、そして ACI Fabric 全体の管理を司る APIC (Application Policy Infrastructure Controller) で構成されます。APIC の GUI からポリシーを投入でき、Fabric 全体の管理が可能です。
Cisco ACI の詳細については下記の Web サイトをご覧ください。
ACI の概要 : http://www.cisco.com/jp/go/aci
ACI How To : https://community.cisco.com/t5/-/-/ta-p/4039933
Nexus Dashboard Orchestrator
NDO は Nexus Dashboard上で動くサービスで、Cisco ACI および NDFC (Nexus Dashboard Fabric Controller:旧 DCMN) で構築されたオンプレミスデータセンターネットワーク、そして Cloud ACI で管理されるクラウドネットワークとの連携が可能です。
NDO を使用することで複数の ACI Fabric 間ネットワークの L2/L3 延伸による拡張、および一元的な設定の投入が可能になります。
Data Center Anywhereデモ概要
1. NDO:データセンター間の相互接続と、複数拠点に対するポリシーの一元管理・展開
分散データセンター構築における最も大きな課題の 1 つに IP アドレス構成があります。物理的に離れてしまっているサーバや仮想マシンを同一サブネットに収容するには複雑な設定が必要です。しかし、ACI と NDO を使用すると IP ネットワークを介した L2 延伸を容易に実現できます。
これによって、例えば東京と大阪のような、物理的に離れたデータセンター間の L2 延伸が可能になり、地震などの災害時におけるリスク回避、トラフィックの分散といったデータセンター全体の可用性を向上させる施策が可能になります。
5G ショーケースでは、実際に別サイトにある仮想マシン同士が、同一サブネットの IP アドレスを持ちながら通信している様子をご覧いただけます。また、NDO の GUI からどのようにサイト間を連携させているか、どのように複数のデータセンターに対してポリシーの一元管理・展開しているかをご体験いただけます。
NDO はオンプレミスの ACI Fabric に対してだけでなく、AWS、Azureといったクラウドサービス上で動く Cloud ACI に対しても一括でポリシーを設定できます。詳しくはこちらの動画をご覧ください.
2. Cisco ACI – Remote Leaf:エッジコンピューティング基盤向けネットワーク延伸
ACI が提供する「Remote Leaf」機能は、 Mobile Edge Computing (MEC) の実現をサポートし、5G のユースケースに求められるリアルタイムな処理・応答を可能にします。Remote Leaf として必要最小限のスイッチをエッジデータセンターに設置しておけば、セントラルデータセンター上の ACI Fabric に自動的に組み込まれ、物理的に離れていても同一 Fabric 内のスイッチと同様に管理/運用ができるようになります。
5G ショーケースではエッジデータセンターに対して新たにスイッチを敷設し、セントラルのデータセンターに統合するというシナリオをご体験いただけます。詳しくはこちらの記事もご覧ください。
3. Cisco ACI – Segment Routing Hand Off:セグメントルーティング連携
5G におけるトランスポートネットワークにおいて、サービスの要件に合わせたネットワークスライスを実現するソリューションとして Segment Routing (SR) が多く用いられています。
SR Hand Offでは、ACI Fabric 内のスイッチとトランスポートネットワーク側のルータとの間で BGP の MPLS ラベルドユニキャストを行うことで、データセンター内の複数の VRF とトランスポートネットワーク上のスライシングされたネットワークとが紐づけされます。これにより、データセンターネットワークと SR によって構築されたトランスポートネットワーク間が統合され、サービス要件に沿ったネットワークポリシーのエンドツーエンドでの適用が可能となります。
5G ショーケースでは、Web GUI を用いてシンプルかつスピーディに展開されるデータセンター – トランスポートネットワーク間の SR 連携について実際のデモをご覧いただけます。詳しくはこちらの記事もご覧ください。
終わりに
5G 時代においては効率的なハイブリッドクラウド環境に向けた効率的なネットワークの管理/運用が求められます。シスコでは、データセンターソリューションはお客様のデータセンター運用をサポートする、多くの製品や機能を提供しています。
ぜひシスコ 5G ショーケースにお越しいただき、ACI、NDOを含むデータセンターソリューションをご体験ください。皆様の 5G サービスをご支援させていただけましたら幸いです。
シスコ 5G ショーケースの詳細はこちら:
www.cisco.com/jp/go/5gsc