この記事は、Contact Center Business Unit の Product Management の Director である Nayankumar Vaghela によるブログ「Bringing Cloud Services to On-Premises Contact Centers」(2021/5/20)の抄訳です。
ハイブリッドクラウド戦略
コンタクトセンター業界では数年前から、クラウド化は今後コンタクトセンターが進化するためには不可避であるという話が出始めました。このトレンドを後押しする具体的なメリットとして、イノベーションとアップデートを迅速に提供できることなどが挙げられていました。
クラウドベースのソフトウェア配信には大きなメリットがあります。しかし、オンプレミス型のコンタクトセンターを所有する多くの企業が、コンタクトセンターへの投資をパブリッククラウド型のソリューションに振り向けることを決断できずにいます。そうした企業が求めているのは、これまでの投資を無駄にせず、更には高度な制御、導入の柔軟性、セキュリティといったオンプレミス型ならではの要件を確保し、そしてクラウドが持つメリットが得られる選択肢です。
これらの企業が持つ要望を認識していたシスコでは、以前からハイブリッドクラウド戦略を提唱してきました。オンプレミス型のソリューションであっても、クラウドから配信される機能が最適であることは間違いありません。ただし、配信モデルだけでなく、全体的なユーザエクスペリエンスを強化する必要がありました。例えばスマートフォンが完全にクラウド限定のデバイスだったとしたら、今のようなエクスペリエンスを提供できるでしょうか。恐らく、それは不可能です。スマートフォンは、携帯電話のハードウェアと、クラウドベースのアプリケーションと連動して動作するソフトウェアの両方を兼ね備えた、本質的にハイブリッドクラウドな存在です。だからこそ、世界中で愛される優れたエクスペリエンスを提供できているのです。
運用のレジリエンスを実現するため、管理機能強化
この考え方を念頭に置いて、シスコはハイブリッドクラウド戦略を強化しました。企業の管理者が特に注目するクラウドテクノロジーのメリットを提供し、オンプレミス型のコンタクトセンターの運用方法を改善したのです。
クラウドのようなアップグレード機能
- 新しいダイナミックリリース戦略では、機能を常に最新の状態に維持したいお客様にソフトウェアアップデートとして新機能を継続的に提供します(更新頻度が低い方がよいというお客様は、12.5 などの長期リリースを引き続きご使用いただけます)。ニーズに合ったリリースを選択するにあたっては、新しいリリース戦略ドキュメントが参考になります。
- 新しいパッチや機能が利用可能になるとすぐに、アップデートの通知が自動的に届きます。
- ソフトウェアアップデートは、クラウドでホストされるリポジトリから自動的にダウンロードされます。
- シンプルなワンタッチアップグレードコマンドを使用して、エンドツーエンドのソリューション アップグレードを調整できます。ダウンタイムを最小限に抑えるために、メンテナンスの時間帯の調整も可能です。また、アップデートのタイミングは選択できます。
- グレースフルシャットダウンにより、継続的な運用に影響を与えることなく、ファームウェアのアップグレード、OS のセキュリティアップデート、アプリケーションパッチを適用できます。その結果、複雑なメンテナンス計画を立てる必要性が軽減されます。
- アップグレードの進捗インジケータが表示され、アップグレードの成功と失敗に関する通知がメールで届きます。
- アップグレード時とロールバック時の自動互換性チェックにより、すべてのコンポーネントの互換性が確保されます。こうして、アップグレード時の機能停止リスクが最小限に抑えられます。
コンタクトセンターのエンドツーエンドの可視性
- シスコのエンタープライズ ソリューションが、AppDynamics とネイティブに統合されました。アラート、健全性ダッシュボード、パフォーマンス問題の早期検出によって有用性が高まり、稼働時間とビジネス継続性が向上します。
拡張性の向上
- コンタクトセンターで、最大 36,000 人のエージェントを同時にサポートできるようになりました。これにより、大規模なコールセンターにも対応できます。
エージェントのエクスペリエンスの向上
今回のリリースの新機能開発にあたっては、コンタクトセンターのエージェントを最優先に考えました。日常業務が効率化できるように設計されており、エージェントとしての能力を十分に活かせるように支援し、場所に囚われずに働くためのツールを提供します。
AI を活用したエージェント エクスペリエンス
- Agent Answers は、エージェントと発信者のやり取りに基づいて AI を活用した提案や推奨事項をリアルタイムで提供します。この機能を使えば、エージェントは迅速に回答できるようになります。組み込みのガジェットが通話内容を聞き取り、回答案やナレッジベースの記事をプロアクティブに提供します。回答の検索に費やす時間が減り、優れたカスタマーサービスを提供するためにエージェントがより多くの時間を割くことができるようになります。
- コール トランスクリプト ガジェットは、会話の音声をその場でテキストに変換し、エージェントがリアルタイムで参照できるようにします。
アプリケーションの切り替えの削減
- マルチタブガジェットにより、エージェント向けのデスクトップ アプリケーション内でオールインワン インターフェイスを提供します。エージェントは、簡潔でアクセスしやすい方法で、より多くの情報を確認できるようになります。
自分のスタイルで仕事を進める
- エージェントデバイスの選択により、エージェントは複数のデバイスで内線番号を共有し、使用するデバイスを選択できます。
- リモートで働くエージェントが VPN 経由での接続でなくともデスクトップにサインインできるようになりました(初期フィールドトライアルで利用可能)。
すべての人にメリットを
シスコは、IT 管理者とコンタクトセンターのエージェントのどちらに対しても、仕事がしやすくなる新たなメリットを提供してきました。今回、こうした新たな拡張機能や新機能をオンプレミスのお客様にも提供することで、クラウドによるメリットを享受いただけるようになっています。今後もシスコは、オンプレミスとプライベートクラウド、両方のお客様に、ユーザ・管理者向けの機能を提供するための投資を続けていきます。また同時に、お客様のペースでクラウドに移行するための円滑なエクスペリエンスも提供していきます。
リリース 12.6 の詳細については、Contact Center Enterprise のデータシートを参照してください。
Cisco Contact Center ソリューションの詳細については、
シスコの Web サイトを参照してください。
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