この記事は、AppDynamics のグローバル コミュニケーションチームの責任者である Laura Slade によるブログ「The Agents of Transformation Report 2020: COVID-19 Special Edition」(2020/5/26)の抄訳です。
世界中の IT プロフェッショナル 1,000 人に対してインタビューを実施し、現在のコロナ禍が事業継続の取り組みにどのような影響を及ぼしているかを調査しました。その結果明らかになった事実は以下のとおりです。
膨大な数の従業員がテレワークに移行し、多くの企業がデジタル限定でサービスや製品を提供する戦略に切り替えています。また、データや情報を求めて Web サイトやアプリケーションにアクセスする人も増大しています。テクノロジーと IT 部門の管理者に対するプレッシャーは、世界中でかつてないほど高まっています。
世界は短期間のうちに大きく変わりました。IT 部門は、準備期間もなしに突きつけられる新たな優先課題に追われています。技術者たちは、組織内でもまた外部に対しても、ワールドクラスのデジタルエクスペリエンスを維持するために必要なインフラ、アプリケーション、セキュリティを提供しなければならないという、強烈なプレッシャーにさらされています。かつてないほどの大きな変化が続き、しかも自身もテレワークでの業務が増えているなかで、そうした課題にリアルタイムで対応していくことを強いられています。
2018 年 11 月に AppDynamics が実施したグローバル調査では AppDynamics released a global study、デジタル変革を成功に導くエリート技術者(別名「変革のエージェント」)が、世界中の技術者のわずか 9% に過ぎないことが判明しました。この数は驚くほど少ないものでしたが、希望もありました。世界中の技術者の 97% が、組織を変革し、イノベーションを起こし、デジタル化を推進することに対して意欲的だからです。
コロナ禍が続く現在にあっても、さらに多くの技術者が変革のエージェントを目指してステップアップする必要があることに変わりはありません。劇的に変わったのは、その緊急性です。
現在、多くの組織が必要としているのは、「将来」ではなく「今すぐ」に組織の可能性を引き出し、新たなイノベーションへと導ける、最高レベルの技術者です。そのような人材が現れてこそ、企業や周囲のコミュニティはコロナ危機に最も効果的かつ迅速に対応し、今後数か月で経済を再建して、成長を促せるのです。
本レポートでは、技術者たちが今直面しているプレッシャーと、コロナ禍により変化した物事の優先順位について、詳しく解説しています。また、組織内で至急かつ持続可能な形でイノベーションを推進するために技術者たちが克服しなければならない課題と、彼らの能力を引き上げるために必要なスキル、ツール、サポートについても調査しています。
変革のエージェントは、世界中の IT 部門にとってヒーローです。Cisco AppDynamics は、変革のエージェントたちが十分な成果を上げるために必要なテクノロジー、テクニカルサポート、リモート学習、トレーニング、財政的サポートを提供し、現在のコロナ禍とそれ以降を見据えた技術者支援に全力を注いでいます。
COVID-19:まったく前例のない課題
コロナ禍は、ほんの数か月前には想像もできなかった形で世界中のテクノロジー部門に影響を及ぼしています。戦後最大の世界的経済危機に対して、技術者たちは組織の先陣に立たされています。多くの場合、企業が今を存続できるかどうかは彼らの肩にかかっています。
81% の技術者は、COVID-19 により、これまで経験したことのない過去最大の技術的プレッシャーがテクノロジー部門にのしかかっていると述べています。
また個人レベルでも、61% の技術者がかつてないほど大きなプレッシャーを感じています。
本調査により、技術者たちがあらゆる方面からプレッシャーを受けていることが明らかになっています。デジタル化をスピードアップし、従業員の大部分を在宅勤務に移行させると同時に、ネットワークを管理して、テクノロジースタック全体のセキュリティを維持しなくてはならないからです。
あらゆるものが変化しています。構造やプロセスが一変し、物事の優先順位が大転換しました。各従業員はそうした変化に合せて、職責を果たせるよう適応しなければなりません。
調査対象となった組織の 95% では、コロナ禍でテクノロジーの優先順位が変化しました。88% の技術者は、デジタル カスタマー エクスペリエンスがトップ事項になったと回答しています。
また、ほぼ 3 分の 2(64%)の技術者が、これまでに経験したことのないタスクやアクティビティへの従事を求められています。
スピードアップが求められるデジタル変革
多くの組織では、市場投入の戦略を現状に適合させ、新しいデジタルサービスやアプリケーションを開発して市場に投入することが急務になっています。その結果、技術者たちは、今までには考えられなかった厳しいスケジュールで大規模な変革プロジェクトを遂行する必要に迫られています。その間、完璧なカスタマーエクスペリエンスも維持し続けなくてはなりません。
66% の技術者が、パンデミックにより既存のデジタル戦略の弱点が露呈し、それまで数年のスパンだったデジタル変革プログラムを今すぐ完遂することが急務になっていると述べています。
74% の技術者が、通常なら承認までに 1 年以上かかるデジタル変革プロジェクトが数週間で承認されたと報告しています。
71% の技術者が、パンデミック以前ならば数か月または数年以上かかるデジタル変革プロジェクトを数週間以内で遂行したと述べています。
65% の技術者が、以前は不要として却下されていたデジタル変革プロジェクトをパンデミックの間にすでに実施したと報告しています。
これほど驚異的なペースでプロジェクトを遂行しなくてはならないというプレッシャーのため、長期にわたるプランニングサイクルや包括的な概念実証に費やす時間的余裕はありません。妥協が必要です。そのために多くの技術者は、将来を見据えた取り組みが後回しになっていることを危惧しています。
59% の技術者が、付け焼刃の応急処置で技術的問題に対処していることを認めています。
76% の技術者が、コロナ禍により急ピッチで進めたデジタル変革プロジェクトが将来及ぼす長期的な影響を危惧しています。
ビジネスに長期的な価値をもたらせるよう正しい判断を下すためには、問題を迅速に特定して解決してワールドクラスのデジタルエクスペリエンスを一貫して提供するために、アプリケーションのパフォーマンスをリアルタイムで可視化してインサイトを入手する必要があると、あらゆる業種の組織が認識しています。
コロナ禍が続く中、最適なデジタルエクスペリエンスの提供を阻む新たな障壁
目の前の課題の規模と緊急性を考えれば、こうした未知の領域を進む中で技術者たちが数多くの問題に直面しているのは当然のことと言えるでしょう。そうした問題は、たとえば Web サイトのトラフィックとアプリケーション需要の劇的な増加への対応や、セルフサービスとデジタルセールスの機能拡張、さらにはリモート勤務しながら平均復旧時間(MTTR)レベルを維持することなど、多岐にわたります。
80% の技術者は、アプリケーションとデジタルサービスのパフォーマンスを維持することがパンデミック中のビジネスには不可欠であると考えています。その一方で、同じ割合の技術者が、テクノロジースタックのパフォーマンスを可視化して分析する仕組みがないため、適切に対処できていないと述べています。
今日ではアプリケーションこそがビジネスです。現在の技術者たちは、情報に基づく戦略的意思決定をリアルタイムで下し、アプリケーションとデジタルパフォーマンスを重要なビジネス成果に結び付けるためのツールと正確なデータを、かつてないほど切実に求めています。
適切で実用的なインサイトが得られてこそ、技術者たちはあらゆるデジタルサービスで最高レベルのパフォーマンスを実現でき、パンデミック期間中だけでなくそれ以降も顧客のデジタル エクスペリエンスを改善することが可能になるのです。
テレワークへの移行に伴う課題
本調査では、従業員に最適なデジタルエクスペリエンスを提供するうえでの課題も浮き彫りにしています。多くの従業員は、オフィス以外の場所から完全リモートで生産性アプリケーションやプラットフォームを利用することに慣れていません。
また、業務に利用できるインターネット接続、デバイス、ソフトウェアが自宅の環境になく、単純な問題を解決するためのスキルや知識も十分に持たないまま、突如として在宅勤務を余儀なくされた従業員も膨大な数に上ります。こうした問題への対応に追われるのは、やはり IT 部門です。
テレワーカーの生産性を維持するには、デジタルサービスとアプリケーションが不可欠です。したがって、それらの需要の急増に IT 部門が対応できるようにすることが極めて重要です。そのためには、アプリケーションレイヤでのユーザエクスペリエンスから、ネットワークの状況に至るまで、テクノロジースタック全体を適切に監視・管理できるツールが欠かせません。
変革のエージェントに対する緊急のニーズ
組織内のユーザと組織外の顧客に優れたデジタルエクスペリエンスを提供することを最優先に掲げるのであれば、コロナ危機で技術者が果たしている極めて重要な役割を認識する必要があります。
特に、ビジネスリーダーや IT リーダーは、今の極めて困難な状況においても、デジタル変革やイノベーションを推進できるだけのスキル、ビジョン、決断力を併せ持ったエリート技術者を見極めて、的確にサポートする必要があります。コロナ禍から生じた前例のない課題に対処できるのは、「変革のエージェント」と呼ばれる、こうしたエリート技術者たちだけなのです。
本調査の結果、パンデミック期間中とそれ以降に自らが果たすべき重要な役割を、多くの技術者がはっきり認識していることが明らかになりました。
83% の技術者が、コロナ禍の影響からビジネスを迅速に立て直すには、変革のエージェントが不可欠であると考えています。
調査が浮き彫りにした別の点は、さらに多くの技術者が今のレベルからステップアップして、ポテンシャルを今すぐ出し切ることが求められているという事実です。
2018 年には、変革のエージェントとして活躍していた技術者はわずか 9% でした。しかし当時の組織は、技術者の 45% が 10 年以内に変革のエージェントへと成長すれば競争力を維持できると考えていました。
それから 2 年が経過した今、状況が一変したことで、緊急性が格段に高まっています。
組織は全技術者の 46% に、(10 年以内ではなく)今すぐに変革のエージェントとなることを求めているのです。
組織がコロナ禍の影響から完全に脱却するためには、変革のエージェントを早急に増やすことが不可欠であると技術者たちは考えています。
かつては技術者が最高レベルのスキルを身に付けるまでに 10 年以上かかるのが当然とされていましたが、現在の状況では即座に身に付けなければならないのです。
変革のエージェントへの成長をスピードアップする
とてつもなく巨大なプレッシャーが技術者にのしかかっている現状からは信じがたいことですが、多くの技術者たちは現状を絶好のチャンスと見なしています。87% の技術者が、コロナ禍への対応を、自らの価値を会社にアピールするチャンスと考えているのです。
すでに 80% の技術者は、コロナ禍への対応が評価され、IT チームに対する組織内の認識が改善されたと報告しています。
変革のエージェントは自らの成功に対して責任を持ち、スキルと資質を磨き続け、より戦略的な価値のある成果を上げようと常に努力し続ける人々です。また、イノベーションに適した環境を築くための構造的変化や文化的変化を推進することにも長けています。
この点を裏付けるかのように、コロナ禍ではコラボレーション、分析的思考、成果主導型の意思決定といったスキルを技術者が最も重要視しています。
また、デジタル変革を成功に導き、組織にとってプラスとなるビジネス成果をもたらすための、適切なツール、サポート、環境も重視しています。
とりわけ 92% の技術者は、コロナ禍の中で変革のエージェントへと成長するために最も重要な要素として、テクノロジースタックのパフォーマンスとそれが顧客やビジネスに及ぼす影響を可視化して分析するしくみを選んでいます。
エリート技術者になるために欠かせない他の要素には、自律性と説明責任、必要なときに入手できるリアルタイムデータ、社内の熟練メンターや変革のエージェントによる指導などがあります。
技術者たちは、現状を乗り越えられるよう手を差し伸べ、変革のエージェントへと成長するまでの道のりをサポートしてくれる、長期的な戦略的テクノロジーパートナーと連携したいと考えています。
実際に 78% の技術者は、コロナ禍でも柔軟にサポートを受けられ、確かな実績を持ち、安定性と信頼性に優れたベンダーとの連携を望んでいます。興味深いことに、66% の技術者は、コロナ禍に伴う技術的課題を乗り越えるため、信頼できるテクノロジーパートナーやベンダーから無料または格安で提供されているソフトウェア、サービス、サポート、トレーニングを活用していると回答しています。
よりスマートな意思決定を下すために必要なデータとインサイト、適切な組織構造と企業文化、戦略的テクノロジーパートナーによる緊密なサポートがあれば、現在の危機を切り抜けられるように技術者たちが組織を導くことができます。
87% の技術者は、コロナ禍への対応やその後の立て直しにおいて、自らが大きく貢献できると考えています。
将来に向けたテクノロジー戦略の見直し
コロナウイルスの影響は長引くでしょう。人々の働き方、移動方法、コミュニケーション手段も当面、制限が続くことを覚悟しなければなりません。物事が単純に「元の状態に戻る」ことは決してなく、人々のデジタルサービスやアプリケーションの利用方法も永久に変わったままとなるでしょう。
テレワーカーが増えることの利点に組織が気付けば、採用や研修から、社内コミュニケーションやチーム間のコラボレーションに至るまで、従業員ライフサイクルのあらゆる場面で以前よりも機敏な対応が可能になります。仕事以外でも、友人や家族と直接会えない状況では、今後もビデオ通話が利用され続けるでしょう。また、ジムに通わず、バーチャルレッスンでエクササイズを続ける人たちも多いはずです。消費者はかつてないほど多様なデジタルサービスを利用して食料品を購入し、子供に教育を受けさせ、エンターテインメントを楽しむことになるでしょう。また、コロナ禍でにわかに脚光を浴びている新たなデジタル医療サービスも、今後さらに利用を拡大すると考えられます。
パンデミック後の組織では、アプリケーション セキュリティとディザスタリカバリがいっそう重視されるようになると技術者たちは予測しています。デジタル カスタマー エクスペリエンスを監視するテクノロジーや、技術者自身のトレーニングと育成に対する投資が増えるだろうとも予測しています。
全体的に見ると、今回のコロナ禍について 87% の技術者は、デジタルビジネスと長期的な復元力の重要性について組織に警鐘を鳴らしたと考えています。
変革のエージェントが業績を残す時代の到来
変革のエージェントに関する 2018 年の調査では、テクノロジーを利用して組織の内外でプラスの変化を生み出すという決意を多くの技術者が表明していました。69% の技術者が、仕事を通じて世界に変化をもたらし、長く語り継がれる業績を残したいと考えていました。
また、デジタル変革を大きなチャンスだと見なしていました。76% の技術者は、今後数年間の急速な技術進歩により、キャリアとスキルを向上させる大きなチャンスが到来するだろうと考えていたのです。
それから 2 年経過した今、そう回答した当の技術者たちは、自分の可能性を十分に発揮し、夢をかなえるチャンスを思いがけない形で手に入れました。これはキャリアを決定付ける契機と言えるでしょう。
技術者たちは現在、課題とチャンスの両方に直面していることを肌で感じています。
79% の技術者は、今回のパンデミックの結果、世界中のテクノロジーチームで勝ち組と負け組が鮮明になると考えています。
技術者たちは、組織が助けを求めている状況の中、自らのステップアップを図り、今の危機で組織を導き、成長への復帰を早めようと日々奮闘しています。技術者が今最も頼りにしているのは、アプリケーションから IT インフラストラクチャ、ネットワークにまで及ぶ、テクノロジースタック全体のパフォーマンスを可視化して分析するしくみです。彼らはこうしたインテリジェンスを活用してイノベーションと適応を図り、顧客のニーズに応えるため、安全ながらも驚異的な速度で対策を講じ、新たな戦略を実践しています。また、アプリケーションの再イメージ化、データの保護、インフラストラクチャの変革、チームの強化といったタスクも並行して行っています。
組織は、技術者に対し、変革のエージェントになるまでの道のりを後押しし、現時点で必要とされるプラスのビジネス成果を達成するために必要なツール、リーダーシップ、サポートを提供するために、できる限りのことを行うべきです。
何よりも重要なのは、変革のエージェントのスキル、ビジョン、決断力こそが、この激動の時代を乗り越えるとともに、以前よりも確固たる地位を築くうえで決め手となるという事実です。
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Cisco AppDynamics は、コロナ禍に伴うさまざまな課題を解決し、組織内で積極的かつ持続可能なデジタル変革を推進できるよう、技術者を全力で支援します。この前例のない時代に、世界で最も革新的な企業の多くと密接に連携しています。トップクラスのスキルを持ち、先見性があり、極めて意欲的な技術者をサポートできることを誇りに思っています。Cisco AppDynamics は技術者と手を取り合い、「変革のエージェント」になるまでの道のりを後押しし、組織に画期的なビジネス成果をもたらすために必要なツール、インサイト、トレーニングを提供し続けています。
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