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ネットワーク アーキテクチャ考 (22) 「変わらないもの」「変わりゆくもの」


2017年11月16日


シスコ社員は、申請すればCVO(Cisco Virtual Office)というシステムを利用することができます。自宅などに設置したルータから会社の Intranet に VPN で入るため、IP 電話や Intranet の Wifi が、オフィスにいるときと同じように使えます。私も以前から CVO を使っていましたが、この度使用していたルータが EOS(End of Support)となったため、ルータの機種交換を行いました。

しかし、何だか違和感があります。ZTD(Zero Touch Deployment)とは言いながら、ルータにPC(ブラウザ)を接続して若干の作業をしなくてはなりません。まぁこれは良いとしても(本当はよくない)、何だかユーザ インターフェイスがレトロです。イマドキ感がない。

CVO の提供開始は確か 2008 年頃です。この 10年、Apple iPhone が発売され、Web UI の Look and feel も格段に進化しました。もちろん、CVO などのインフラ寄りのシステムは、初期設定さえしてしまえば後は触らないので、改良の必要性は特にはないのです。でも、全く変化していなくて昔のままというのは、何とも寂寥感があります。しかも、今はスマフォや PC などの End device から VPN をはれるし、PC からの通話でも音質の問題はないので、少なくとも私の場合、CVO 自体の必要性もなくなってました。やっぱり今だったら、Meraki とか Cisco Start とかの方が良いですよね。

世の中には「変わらないもの」と「変わりゆくもの」があります。これまでは私は漠然と、両方とも良いものだと思っていました。多くのものは変化しますが、だからこそ、変わらないものもあってもよいのではないか。

しかし、今回この CVO 更改の経験を経て「変わらないものは存続し得ない」と、強く思いました。考えてみれば、変わらないものの代表と思っていた老舗の名品とか伝統工芸とかも、これからも続くと思われるものは、実は時代に合わせて微修正を繰り返しています。そう言えばクラシック音楽もそうです。数十年から数百年前の音楽を再現する訳ですが、楽器の奏法、ピッチ、曲の捉え方などは、常に刷新されています。

こんなとき、最近の電子情報通信学会誌(2017年10月号 Vol.100 No.10)に、小説家・脚本家の冲方 丁先生のインタヴュー記事が載っていたのを目にしました。私はこれまで存じ上げなかったのですが、この人めちゃめちゃすごいですね!!普段学会誌あまりまじめに読んでないのですが(すみません)、これには思わず読み耽ってしまいました。一つひとつの言葉が本質を突いています。以下、少しだけ引用させて戴き、今回の記事の結びとします。

「変わらないもの」とは実は忘れられていくもの、

「変わったもの」は残っていくものです。

人間は、その環境に合わせて変化していかないものを

継承しません。

 

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