京都府庁から 1 年間シスコに派遣で来ております山本です。今回は、東京オフィスを離れ、10 日間ほど大阪オフィスでサテライト勤務を行いましたので、その際の気付きをお伝えしたいと思います。働き方を変えること、その充実と不安についてです。
上司からの提案
ある日、上司から「夏期休暇で京都に帰省したタイミングで、大阪オフィスでしばらく勤務してはどうか」という提案がありました。私は現在、東京オフィスで勤務をしておりますが、実家は京都にあり、帰省したタイミングで 10 日間ほど実家から大阪オフィスに通勤してはという提案です。
関西には、訪問させていただかなければならないと考えていた自治体もあり、上司の提案を実行することにしました。
いざ、大阪へ
大阪オフィスでの勤務は、大阪の社員の方と直接会って話しができる良い機会になりました。普段、ビデオ会議でお話している方でも、直接場所を共有していると、スケジュールにはないフランクな打ち合わせが生まれ、率直な意見交換をさせていただくことができました。宿題もいただき、考慮しないといけない点を明確にすることができました。
サテライト勤務では、出かけた先でたまたま隣に座った方と思いがけないコミュニケーションが生まれ、新たな発見をすることがあります。フリーアドレスでももちろん新たな発見がありますが、サテライト勤務では各拠点の方とコミュニケーションをとれるので、如実にその効果が現れます。
働き方を変えることは、楽しい
今回の大阪勤務の最大の目的は、関西の自治体に訪問して意見交換させていただくことです。ここで、ある一日を紹介します(下表)。
この日は、午前中から和歌山県庁を訪問し、主に時間外勤務縮減の取組等に関して議論させていただきました。和歌山県庁では、BYOD(職員が個人保有の携帯機器を業務に使用すること)によるモバイルワークで利便性や生産性を向上する先進的な取り組みをされており、感激しました(もちろん会議に直接参加できない東京オフィスの上司や同僚も Web 会議で参加しました)。
また、和歌山県庁では、ワーケーションという新しいワークスタイルを外部に向けて発信されていらっしゃいます。ワーケーションとは、リゾート地等の環境の良い場所で、休暇を兼ねて短中期的に滞在し仕事を行うというワークスタイルで、県外の方に和歌山県(白浜・田辺)を訪問してもらい、ワーケーションしてもらうというものです。とても魅力的な働き方だと思います。
さて、午後からは、一旦大阪オフィスに向かいました。移動の電車内では先程の会議の議事録を作成。最近、このようなモバイルワークが習慣付いてきていることを感じます。話は逸れますが、移動時のモバイルワークは、環境によって思っていた作業をできない場合もあるため、あまり「この移動時間にこれをやろう」とガチガチに考えすぎると余計なストレスを感じるなと最近思います。
大阪オフィスに到着すると、長野県庁とビデオ会議です。こちらも東京オフィスの上司と接続し、3 拠点で会議をしました。長野県庁は今年から Web 会議システムを利用されているため、このようなリモートでの打ち合わせが可能です。また、長野県庁では、職員の働き方改革の推進に向け、「しごと改革・働き方改革プロジェクトチーム」を立ち上げて活動されており、大変参考になります。
電車内での作業 | 長野県庁とのビデオ会議 |
そして、夕方からは派遣元の京都府庁を訪問し、その日の業務を終えました。1 日で和歌山県、長野県、そして派遣元の京都府の 3 府県の皆さんとディスカッションしアイデアを交換することができました。これまでだとまずは忙しい上司の日程を確保するため、自分の都合で 1 日に 3 府県も訪問することは不可能でした。ビデオ会議の利用や移動時間を利用したモバイルワークを通じて、効率的に自分の業務を進めることができました。
シスコに派遣される数ヶ月前には、このような働き方は想像すらできませんでした(シスコと京都府の働き方比較はシスコ派遣記エピソード 1をご覧ください)。自分の働き方を変えることで、これだけ多くの自治体の方と意見交換ができ、この知識や体験を京都府庁や他の自治体に還元できることに喜びを感じました。私がこの働き方を実践できている原動力は、この充実感です。
目標管理への不安も…
大阪オフィスでのサテライト勤務での気付きがもう一つありました。それは、仕事の目標管理に関する不安です。シスコでは社員が時間や場所に捕らわれない環境で働いています。上司が自分の目の前にいない環境で働くことが当たり前で、上司が海外オフィスの外国人であることが珍しくありません。私もその環境には慣れてきていましたが、これほど長期にわたり目の前に上司がいないことはありませんでした。
まるでフリーランスのように自分の裁量で自由に仕事をしていると、自分の目標を管理するのは、自分だけなのだという事実に不安を感じることがありました。自分で設定した目標まで業務が完了せず焦ることや、苦手に思う仕事になかなか手を付けられずモヤモヤした気持ちになることがありました。
one-on-one
そんな時、上司と行った one-on-one が私の不安を取り除いてくれました。シスコでは「one-on-one」と言って上司や同僚と気軽に一対一で面談をする習慣があります。あらかじめ、30 分程度、時間とテーマを決めてディスカッションを行うのです。「one-on-one お願いします」といえば、たいていの社員の方は受けてくれます。気軽に個別面談を行うカルチャーのない地方公務の現場から来たときはとても驚きました。そして、シスコでは週に 1 度、上司と部下がこの one-on-one を行うことになっています。上司との one-on-one では、シスコ社員として求められる行動特性が取られているか上司と確認を行ったり、キャリア形成のコーチングの場であったりします。
私も週に 1 度、30 分間だけ上司に時間を貰い、one-on-one をしています。主な内容は、現在行っている作業項目の棚卸しを上司と一緒に行い、作業項目の要不要、優先順位や締め切りのイメージのすり合わせを行います。シスコでは業務遂行について、社員個々人の裁量が尊重される一方、目標管理に限界を感じる者にとっては、one-on-one を利用して、上司にアドバイスを貰うことができます。
大阪勤務でも、ビデオ会議で東京の上司と one-on-one を行いました。自分の作業の進捗状況を確認し、上司にアドバイスを貰いました。この one-on-one で今の状況を客観的に認識でき、苦手意識から進捗が遅れている業務について行動に移すことができました。
部下にとって上司と個別に話すことは、とてもエネルギーが必要です。私も one-on-one を避けていた部分がありましたが、この 10 日のサテライト勤務をしてみて、自分だけでの目標管理の限界や one-on-one の重要性を改めて確認することができました。テレワークなど上司と部下が日々顔を合わせない場合、定期的な one-on-one はとても有効です(その際は鮮明な画像、クリアな音声でストレスのないビデオ会議システム等を使って面談をしたいものです)。
公務の現場でも、始業後や夕方にチームミーティングを行っていることはあるかと思いますが、上司と部下が定期的に個別面談をすることは、あまりないと思います。テレワークに限らず、普段の業務に関しても、週に 1 回程度、上司と部下が個別面談する時間を設けてみてはいかがでしょうか。最初は若干の気恥ずかしさがありますが、目標管理や部下のキャリア形成にはとても有効だと思います。また、同僚と気軽にone-on-one を行う文化も公務に根付いたらよいなと思います。