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シスコ派遣記5 ~京都府とシスコが進める新たな試み~

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シスコに来て、はや半年になりますが、その間に、シスコがロンドン、リオに続いて、ネットワーク製品カテゴリーにおいて、東京2020オリンピック・パラリンピックオフィシャルパートナーになる等、シスコを取り巻く環境も目まぐるしく変化しています。そのような中で、京都府とシスコとの新たな試みもいくつかスタートしており、今回はその一部を紹介したいと思います。

京都府に新しい風を

私がシスコに来た当初、いくつか目標を設定しました。その中には、シスコのカルチャー、ワークスタイル、IoT の先進事例を学ぶことや自分自身のスマート化を図るといった個人的な目標もさることながら、これまでブログで紹介してきたような気づきや発見を個人的なもので終わらすのではなく、京都府に何らかの形で還元したいという目標がありました。もう少し平たく言うと、私が感じたような気づきや発見を多くの府職員の方にも感じてもらい、何かしらのきっかけに繋げたいというものです。

それは、漠然としたシスコの魅力や製品の良さだけではなく、このような働き方があることを知ってもらったり、働き方が変えられることを実感してもらったりと、根本的な意識に基づく部分を共感したいとの思いがありました。そのような中で、今回、京都府で「働き方改革」を推進している政策企画部をはじめとした関係部署と話し合いを進め、新たな試みがスタートすることになりました。

シスコの知見やノウハウを京都府へ

cisco-dispatched-05-new-challenge-kyoto-with-cisco-fig01近年、京都府における「働き方改革」も加速しつつあります。昨年、政策企画部では不要な書類を大幅に処分することで、デスク面積を 15% 削減し、執務スペースの効率化を図ったり、管理職含めた職員の配席を、業務状況に応じてフレキシブルに変更するといったグループ アドレス制を一部導入したりと、先行的な取組みを試験的にスタートしています。こうした取組みは、総務省行政管理局(参照:HP 概要資料)でも先行事例として紹介されており、徐々に注目を浴びつつあります。

そのような中で、働き方改革を革新的に進めているシスコとして、長年培ってきた知見やノウハウを京都府へ提供し、京都府の「働き方改革」をさらに加速させるため、その取組みをバックアップする試みをスタートしました。

(1) 京都府職員のシスコ視察、シスコ製品体験

cisco-dispatched-05-new-challenge-kyoto-with-cisco-fig02第三回のブログで、働き方改革を進めるためには、「固定概念からの脱却」と「新しい発想・変化を許容すること」に加え「体験することが重要」だと指摘しましたが、やはりどれだけブログに書いても文面だけではなかなか伝わらないという歯がゆさがあります。それを解決するためには、できるだけ多くの府職員の方にも、実際にシスコの働き方を見てもらい、シスコの製品を体験してもらうことが必要だと感じ、「京都府職員をシスコへ」という取組みを始めました。

現在、既に10名近くの職員の方にシスコに来社していただいており、いろいろな反応をいただいています。視察内容としては、シスコの働き方改革の事例紹介、オフィスツアー、シスコ製品体験等です。多くの職員の方は、やはり「デスクにモノがなくオフィスがきれいに保たれていること」や「テレビ会議システム(Cisco TelePresence)の品質の良さ」に驚かれています。同時に、「なぜこういった働き方が実現できるのか」、「この部分は自治体では難しい」、「シスコだからできるのでは」といった厳しい意見もいただき、新しい気づきと課題を与えてもらっています。

cisco-dispatched-05-new-challenge-kyoto-with-cisco-fig03また、視察だけではなく、日常業務内でもシスコ製品を体験してもらう取組みも進めています。実際に、私と政策企画部との担当者間の調整は WEB 会議システム(Cisco WebEx)を使って行っており、京都と東京間のリモートでのやりとりが違和感なくできています。電話やメール以上に、意思決定が早く個人的にも非常に便利だと感じています。

資料のやりとりや細かい連絡調整については、SNS(Cisco Spark)を使って行っており、従来のメールのような堅苦しいやりとりからチャットのような気兼ねないやりとりに変え、必要な情報をスピーディかつフレキシブルに共有できています。

さらに、京都府の山田知事に、テレビ会議システムや WEB 会議システムを使って私の派遣報告をさせていただく機会もいただきました。他の職員の方が初めてテレビ会議システムを使われた際は、新しいテクノロジーへの若干の抵抗感も見受けられましたが、知事の場合、テレビ会議システムで職員から報告を受けることに、全く違和感なく対応されている姿が非常に印象的でした。

知事室と京都府東京事務所をテレビ会議システムで結んだ際も、当初は製品の品質についての話が中心でしたが、気付けば途中から、東京事務所長と業務の話をされており、このような新しいテクノロジーにすぐに慣れておられることに驚きました。やはり、新しいものを自らの先入観で敬遠するのではなく、まずは気軽に触れ、体験することが大切だということを知事のふるまいを拝見する中で、改めて再確認する機会になりました。

知事デモ

(2) 京都府政策企画部×シスコの幹部対談

cisco-dispatched-05-new-challenge-kyoto-with-cisco-fig05京都府では、平成28年度より、新しい ICT 等の積極的な活用により、地域課題の解決や新しい価値創造、庁内の業務の効率化(働き方改革)を進める「スマート京都推進プラン」というアクションプランを新たにスタートしており、外部有識者から意見を聴取するという位置づけで今年 5月にシスコに来社されました。シスコからも幹部社員に同席いただき、主に「働き方改革」について意見交換を行いました。

京都府からは、現状の働き方の課題やこれから進めるプロジェクトについての相談があり、シスコからは、テレワークの重要性、働き方改革の 3つの要素や働き方改革による効果といった話があり、非常に有意義なディスカッションになりました。このようなディスカッションをすることで、今までそれぞれの立場からでは見えなかった課題やアイデアが、少しずつ共有できている感触がありました。

シスコに来て、社内で議論する中で、「自治体等において、働き方改革が進まない理由やテレビ会議システムといった新しいテクノロジーがなぜ導入されないのか」といったことを聞かれることが良くあり、答えに詰まる時があります。確かに、「シスコは働きやすい、テレビ会議システムは便利」というのは感覚的に理解していますが、一概に当てはめられない自治体ならではの組織・カルチャーの違いがあり、そのあたりをうまく説明できないところにジレンマを感じています。「近い将来、自治体でもシスコのようなスマートな働き方や最先端のテクノロジーは必ず必要になってくるもの」というのは漠然と感じていますが、それに対する根拠やどのような部分であれば現状の自治体の中で落とし込めるのかといった点がまだクリアにできていません。

そういったことをクリアにしていくためには、このような自治体とのディスカッションの機会を増やしていくことが必要であり、その中で自治体の組織・カルチャーや取り巻く環境、さらには求められているものを的確に把握していくことが重要だと感じています。

(3) 京都府 TP(テレビ会議システム)活用実験スタート

cisco-dispatched-05-new-challenge-kyoto-with-cisco-fig06今年 6月から、シスコが京都府へテレビ会議システム(Cisco TelePresence)を無償で貸し出し、新しいテクノロジーを使った働き方がどのようなものなのか、またどういった活用ができるのかといったことを体験してもらう実証実験をスタートしています。このような新しいテクノロジーを使った働き方を体験してもらうことで、働き方改革を進める上で一番ハードルの高い「職員の意識改革」のきっかけにしたいという思いが大前提にあります。

また、このような実験は、どうしても製品を買ってもらうことを見越してやっているように見えがちですが、今回シスコとしては、自治体への導入がうまく進まない点やその他の課題を直接マーケティング調査できる貴重な機会として捉えており、京都府に売り込むためだけではない、新しい働き方を模索するような、より大きな目的のもと進めています。

現在、テレビ会議システム(Cisco TelePresence)を京都府の出先機関(東京事務所、広域振興局等)を含む各拠点に設置し、いろいろな職員の方に体験いただき、日常業務への活用やテレビ会議システムを使ったワークショップ等を行っており、これまで想定していなかったような新鮮な意見を多くいただいています。

本実験については、次回以降のブログで詳しく概要や進捗状況等を紹介していきたいと思います。

今回のブログでは、京都府とシスコが進める新しい試みについて紹介しましたが、やはり「目で見て、肌で感じて、知る」ということは非常に重要なポイントであり、多かれ少なかれ新しい気づきや発見に繋がっていくのだと実感しました。

このような新たな試みを通じて、「それはシスコだからできる、自治体にはできない」といった否定的な意見から、「こういう部分は取り入れられる、こういう使い方もできる」といった新しい意見まで幅広く集めることで、これまでの「なぜ」という問いの答えに近づけるのではないかと感じました。次回のテーマは「シスコ派遣記6~京都府とシスコの「スマートシティ」への挑戦~」です。

先日、京都大病院(京都市左京区)が府立医科大(同市上京区)と連携し、府北部等にある 11の医療機関とテレビ会議で結ぶネットワーク「京都メディオネット」の試験運用を開始したとの記事が出ました。これは、府の事業の一環で、遠隔地で活躍する若手医師の教育や医療に関する相談体制を充実させるとともに、医師不足に悩む地域医療の強化を図る狙いがあるそうです。ここに入っているのがシスコのテレビ会議システム(Cisco TelePresence)です。個人的にも、このような新しい分野でのテクノロジーの活用が、さらに拡大していくことを期待しています。

Authors

籾井 隆宏

Japan Public Sector Operations

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6 コメント

  1. 昨夕、古橋さんの同僚の方達が、研修打合せに来られていましたよ。
    丹後と繋いで、笑い声もあり、真面目に活発に議論されていました。
    皆さん(計4名かな?)「初めて」と言いながら、画面切替や音声調整、協議資料の表示等、TPを上手に使っていらっしゃいました。
    これからも、いろんな使い方を試してもらえるといいなあ…と思います。

    • 田中様 コメントありがとうございます。そうみたいですね!古橋さんからもご連絡いただきました。反応が良かったみたいですね。有り難い限りです。やはり若い世代を巻き込んでいくことも大事だと思っています。あまり「府庁の働き方こうだ」と先入観がない若手の方がこういった新しいテクノロジーに自然と馴染んでいただけると思っており、そういったアプローチを増やしていくことも必要なのかなと最近思っています。

  2. 百聞は一見にしかず。
    確かに籾井さんの職場を訪問した際には、職場のすっきり感に感銘を受け、自分も少しでも近づけようと思ったのですが(ホンマです)、私の机は全く片付きません・・・。
    自分のデキの悪さを棚に上げて何ですが、「体験」で得たモチベーションなんかをうまく持続させる、あるいは感銘が冷める前に具体的な改善につなげる、ためのもう一工夫というか、何かが欲しいと感じます。

    • 古橋様 コメントありがとうございます。視察に来ていただいたのが、かなり前のように感じます。少しでもそういった行動に移していただけたことを嬉しく思います。おっしゃるように「体験」で得た新鮮な感覚を保つのは難しいですね。時間が経つといつものに環境に戻ってしまうので、悩ましい問題です。庁内にいくつかテレビ会議システムを置いているので、またお試し体験してください。日常業務への活用も歓迎です。一人ではどうしようもないので、気持ちが新たなうちに、周りの人にも自分の気づきを共有し、巻き込みながら、そういう環境に仕向けていくことが大事なのかなと思います。京都に帰ってからの自分に言い聞かせているようですが…。

      • 件のテレビ会議システム、同僚が来週利用させていただくそうです。
        研修で同じグループの職員が丹後におられ、研修課題の打ち合わせに使うとのこと。
        また使ってみての感想とか、聞いておきます。

        • 古橋様 そうでなんですね。大変有り難いです。使うまでがハードルが高いですが、使ってみれば「意外に使えるかも」と感じていただけると思います。拠点を結ぶだけがテレビ会議ではないので、窓口対応に活用することで府民サービスの向上に繋がったりと活用の幅は広いと思います。なかなか企業目線だけでは気づけない部分もあるので、職員の皆さまに使っていただく中で、想定もしなかったような斬新な活用事例を見出したいところです。