この記事は、シスコ セキュリティ&トラスト グループのリーダーである John Stewart によるブログ「Rethinking Cybersecurity: A New Driver for Growth」(2016/5/3)の抄訳です。
あらゆる国、都市、そして大小さまざまな企業が、現状に対応してセキュリティを確保するだけでなく、長期的な卓越性を獲得し、保持するためにさまざまな課題に取り組んでいます。それには、プライバシーとセキュリティを侵害しようとする犯罪者の先を行くことが求められます。同時に、デジタル イノベーションを利用して業界の勢力図を塗り替えようとする勢力とも戦わなければなりません。サイバーセキュリティは、そのどちらにとっても有益なソリューションです。
新しいデジタル時代において、サイバーセキュリティは、組織が自社を保護し、信頼性を維持し、迅速に行動し、高い価値を付加して成長するために必要となる重要な基盤となります。
シスコが新たに行った調査「ビジネス成長の武器となるサイバーセキュリティ」によれば、多くの企業がこの状況を理解し始めています。財務および基幹業務に従事する 1,014 人のエグゼクティブを対象としたこの調査によれば、ほぼ 3 分の 1 の回答者が、サイバーセキュリティを主要な成長要因であると考えています。さらに、44 % が、サイバーセキュリティが競争優位性につながると見ています。今日のビジネス環境では、「防御」という基本的な役割を超えた視点から、サイバーセキュリティを広く捉えることが求められています。
そこには大きな経済価値の可能性があります。シスコは、今後 10 年間に、7.6 兆ドルの経済価値を創出すると見なされる、414 のサイバーセキュリティが対応可能なデジタル ユース ケースを特定しています。そのうち 4 分の 3 を超える経済価値が、イノベーションと成長におけるサイバーセキュリティの基本的な役割から発生しています。つまりこれには 5.8 兆ドル相当のデジタル経済価値が見込まれているわけです。言い換えれば、デジタル資産を活用する能力に応じて、新たな価値が創造され、企業間で価値がシフトすることになります。
ここでの課題は、多くの企業で、成長速度を低下させる要因が発生していることです。シスコの調査では、71 % が、サイバーセキュリティにはイノベーションを妨げるリスクがあると回答しています。さらに、39 % がサイバーセキュリティへの懸念によって、ミッションクリティカルな取り組みが停滞していると回答しています。
ただし約 4 分の 1 の回答者が、真の「セキュリティ主導型デジタル組織」にギアを切り替えているという、明るい兆候も見えています。セキュリティ主導型デジタル組織では、サイバーセキュリティ上の問題があれば、イノベーションと成長が阻害されることを認識しており、それに果敢に取り組んでいます。こうした組織では、サイバーセキュリティを主体としたデジタル化への取り組みをプロアクティブかつアグレッシブに進めています。その結果、ビッグ データ/分析、クラウド コンピューティング、Internet of Things(IoT)という主要な 3 つのデジタル機能のセキュリティに自信を持つことができるようになり、大きなメリットを得ています。この自信に基づいて、「セキュア デジタイザ」としての組織は、デジタル オファリングをさらに積極的に追求し、その結果として、イノベーションを推進し、市場投入までの時間を短縮しています。
次のグラフに示すように、こうした組織のサイバーセキュリティの自信の程度は、他の回答者に比べて非常に高くなっています。
サイバー攻撃を受ける可能性がない業界はありません。しかしセキュリティ主導型デジタル組織は、サイバーセキュリティに対するプロアクティブで総合的なアプローチによって、迅速なデジタル イノベーションを自信を持って推進できます。そして、イノベーションを高速化して、デジタル経済価値におけるシェアをさらに増やすことができます。実際に、セキュア デジタイザの 62 % が、新しい製品やサービスの収益において同業他社に勝っていると回答しています。
今こそ、サイバーセキュリティをビジネス成長の武器とすべきです。セキュリティ主導型デジタル組織の事例にならい、イノベーションを大胆に追求し、デジタル時代における成長を加速させてください。成長の促進要因としてのサイバーセキュリティに全力で取り組みましょう。