この記事は、シスコ インターネット ビジネス ソリューション グループ(IBSG)の Rachael McBreartyによるブログ「Realizing the Benefits of Internet of Everything for Customer Experience: Part 1」(2013/4/19)を翻訳したものです。
The Internet of Everything(IoE)の時代に入りつつあります。IoE の時代とは、インターネットが物理的な世界(人、プロセス、データ、モノ)につながる時代です。現在はIoE の初期段階にあり、約 100 億のデバイスがネットワークにつながっています。シスコは 2020 年までに接続される「モノ」の数が 500 億に達すると予測しています。The Internet of Everything 経済の影響を調査したシスコのレポート、『The Internet of Everything の活用で 14兆4000億ドルの利益を獲得』では、重要な分野としてカスタマー エクスペリエンスを挙げています。このレポートでは、より多くの顧客を獲得するによって、先ほど述べた約 14.4 兆ドルのうち 3.7 兆ドルの価値が生まれると予測しています。
IoE を活用することで、企業はまったく新しい方法で顧客を引き付け、新たなビジネス モデルを構築することができます。IoE は、人と人、人とデバイスをつなぎます。また、デバイスがアプリケーションやデジタル サービスを介して他のデバイスと通信する、さらにこれらの通信を元にアクションを起こすものでもあります。
世界中にあるより多くのモノがつながれば、現在の Web サイトという枠を超え、オフィスや店舗の外にまでカスタマー エクスペリエンスを提供することが可能になります。Google Glass、IP 対応電球、新しいジェスチャー テクノロジーやセンサーなどを含め、インターネットへの接続を実現する新たなテクノロジーが IoE の基盤を形成します。しかし、顧客との関係に最も大きな影響を与えるのは、これらの新たな接続によって生まれるデータ ストリームです。
IoE の世界では、顧客エクスペリエンスをパーソナライズし、IoE が生成したデータに基づいて厳選した製品を提案することで、ブランドへのロイヤリティを高めることができます。IoE が普及した未来の顧客体験を想像してみてください。
- 顧客のニーズ予測に役立つ信号を感知するセンサーなど、さまざまな情報源からデータを集めることで、認知度の構築や購入促進のプロセスは一変します。履歴や場所、アクティビティに基づき、リアルタイムで顧客をターゲットできます。
- 複数ブランド製品の比較ができるアプリケーションは、最安値や製品レビュー、買い物に最も便利な小売店の場所(到着までの時間や待ち時間を自動的に考慮)を含め、顧客が設定した条件に基づいて、どこで製品を購入すべきかを知らせることまで可能になります。
- 自動販売機やデジタル サイネージが、顧客を認識してその場で顧客に合ったコンテンツを提供します。
- 商品は、顧客の場所を問わず、携帯電話から注文、配送されます。
- ポストセールスも大きく変わります。新たな販売機会を創出したり、イノベーションのヒントを得るなど、新たな価値が生まれます。問題が起こる前に予防する方法や、顧客の生活向上に役立つ提案の仕方を考えてみてください。
- 環境に応じて、顧客のソーシャル サークルに個別のメッセージを送信するように、モバイル デバイスやセンサーを設定する。
- 洋服に取り付けられたセンサーが顧客の健康状態を監視し、情報を収集、分析して、一人一人の生活習慣を最適化したり、問題があれば介護者に警告を通知します。
- 接続された車はパフォーマンスの監視にとどまらず、運転習慣に関するデータを収集し、保険の見積もりを即座に提供したり、ルート上のモノと通信することまで可能になります。
こうした機能はサービスとして提供できるだけでなく、段階的なアップデートが可能という利点もあります。たとえば、Nike はすでに NikeFuel という先進的なサービスを持っています。これは、私のフィットネス目標の達成に欠かせないものとなっており、これまでの私の運動履歴はすべて Nike に蓄積されているため、当分他社に乗り換えるつもりはありません。
この新しい世界で自社ブランドがどのような役割を果たすことができるのかについて考えるべき時が来ています。カスタマー エクスペリエンスを設計する最初のステップは、顧客のニーズや傾向に関する十分な情報を収集することです。シスコは、医療業界向けのコネクテッド カスタマー エクスペリエンスに関するレポートなどの主要な研究を通じて皆様を支援しています。シスコ カスタマー エクスペリエンスの Facebook ページと Twitterを新しく開設しました。最新情報はそちらでご確認ください。
IoE が既存のカスタマー エクスペリエンスをどのように再定義するかについて、ぜひ皆様のご意見をお寄せください。